東京都が主導する西武新宿線(井荻駅~西武柳沢駅間)の連続立体交差事業が本格的に進展しています。このプロジェクトは約5.1kmの区間にわたって鉄道を高架化し、道路と鉄道が交差する19カ所の踏切を完全に除去することを目的としています。
この取り組みにより、踏切での待ち時間の削減や交通渋滞の解消を図るだけでなく、鉄道によって分断されていた地域を統合し、都市計画道路の整備を進めることで、安全で快適なまちづくりを実現します。また、鉄道の高架化により、側道や駅前広場などの付属施設が新たに整備され、地域住民の利便性が大幅に向上することが期待されています。この事業は、令和6年3月に国から都市計画事業認可を取得しており、2024年12月に用地補償説明会を実施、用地確保がある程度進んだ段階で工事説明会を開催し、その後着工、完了は2037年度末を目指しています。
→東京都 西武新宿線(井荻駅~西武柳沢駅間)連続立体交差事業
→日刊建設工業新聞 東京都/西武新宿線・井荻駅~西武柳沢駅連立事業、用地取得を推進
西武新宿線連続立体交差事業の概要
- 事業範囲と目的
井荻駅(杉並区)~西武柳沢駅(西東京市)間の約5.1kmを高架化し、鉄道と道路を立体交差化。踏切19カ所を撤去し、交通渋滞や安全性の課題を解消。 - 進行状況
- 2024年12月に用地補償説明会を実施。
- 高架橋沿いの側道や駅前広場として利用する土地の取得を開始。
- 計画と認可
- 2021年11月:都市計画決定。
- 2024年3月:国から事業認可取得。
- 事業期間は2037年度まで(都市高速鉄道事業)。
- 高架構造の概要
- 高架の高さ:一般部で5~12m、駅部で15~19m。
- 側道:線路北側に約3km整備。
- 予算と見通し
事業費は2024年時点で2660億円を見積もり。ただし、物価変動により増加の可能性あり。 - 交通利便性の向上
「開かずの踏切」12カ所を含む19カ所を撤去。都市計画道路との交差解消によりスムーズな通行を実現。 - 地域の統合と快適性
鉄道による地域の分断を解消し、安全で快適なまちづくりを推進。側道や駅前広場の整備により地域の利便性向上を図る。

西武新宿線の高架化事業は、東京都が2021年11月に都市計画決定を行い、2024年3月には国から事業認可を取得して着工に向けた準備が進んでいます。この区間では、高架構造を採用し、一般部での高さを5~12メートル、駅部では15~19メートルに設定することで、周辺の都市環境との調和が図られています。事業費は2660億円と見積もられており、物価動向による影響も見込まれています。この高架化事業に伴い、鉄道に並行する側道が北側に約3km整備される計画です。また、駅周辺では広場機能を強化し、地域の公共交通ネットワークをより一体化させることで、都市全体の交通効率を向上させる狙いがあります。

平面図です。事業区間では、都市計画道路の整備が並行して進められます。側道は線路の北側に延長約3km整備され、歩行者や自転車利用者にとっても安全で便利な移動環境が提供されます。これにより、地域全体の移動がよりスムーズになることが期待されています。


断面・縦断図です。この事業により、鉄道に分断されていた地域が一体化され、生活圏の広がりが実現します。高架下の空間は地域の施設や商業スペースとしての活用も計画されており、利便性の向上だけでなく、街全体の活気も促進される見通しです。

上井草駅周辺では、西武新宿線の高架化に合わせて、駅前広場や接続道路の拡幅など、都市基盤の強化が進められています。このエリアでは、交通の利便性を高めるだけでなく、駅周辺の商店街の活性化や住環境の整備にも力を入れています。さらに、商店街の魅力を高めるため、地域資源との連携を進め、地域の魅力向上を図っています。これらの取り組みを通じて、災害に強く、安全で快適な都市環境を実現することを目指しています。

上石神井駅周辺では、西武新宿線の高架化を契機に、交通広場整備や周辺地域のまちづくり、市街地再開発事業が進行中です。
交通広場の整備では、バス、タクシー、自転車、自家用車の乗降スペースを効率的に配置し、駅を中心とした交通の利便性を向上させる計画が進められています。駅前の交通渋滞や混雑を解消し、歩行者と車両が安全に移動できる空間を提供することで、利用者の利便性と安全性を高めます。また、駅周辺の景観向上にも配慮し、緑地や広場の設置を通じて、住民や訪問者が快適に過ごせる空間を目指しています。
駅前エリアを中心としたまちづくりでは、交通広場との連携を図りつつ、歩行者優先の空間づくりを推進しています。公共スペースの整備を通じて、住民同士や訪問者との交流が活性化されるよう配慮されています。また、商業施設の新設や既存商店街の再活性化により、地域経済の発展を図るとともに、災害時には避難所や一時滞留スペースとしての機能を備えた安全で安心な街の実現を目指しています。
さらに、駅周辺に点在する公園や緑地を活用した取り組みも行われています。これにより、自然と共生した街並みが形成され、住民や訪問者が心地よく過ごせる環境を提供します。
上石神井駅周辺では、市街地再開発事業も重要な取り組みの一環となっています。この事業は、老朽化した建物やインフラの更新を目的とし、地域全体の住環境と防災機能の向上を図るものです。再開発区域には、新しい複合施設や住居棟が計画されており、商業施設や公共施設も含まれることで、利便性の高い生活環境が提供されます。また、再開発事業では北西地区の市街地再開発準備組合が発足し、地域のニーズに合った街づくりが進められています。

武蔵関駅周辺では、西武新宿線の高架化と連動して、新たな駅前広場や商店街の整備が進められています。この地域は石神井川の自然景観に恵まれており、その潤いを活かした特色ある生活拠点としての再開発が計画されています。駅周辺では、道路や駅前広場の整備を通じて、バスやタクシー、自転車などの交通手段がより効率的に機能するようになります。また、商店街の活性化や地域の交流の促進を図ることで、地域住民が安全かつ快適に暮らせるまちづくりを目指しています。

東伏見駅では、駅前に交通広場を整備し、バスやタクシー、自転車などさまざまな交通手段の利用をスムーズにする計画が進められています。この広場の整備により、駅を中心とした地域のアクセス性が飛躍的に向上し、周辺住民の日常生活の利便性が大幅に改善されることが期待されています。また、駅周辺のまちづくりも進められており、駅前空間の活性化とともに、安全な歩行者空間を確保するための取り組みが行われています。これにより、地域全体の生活環境が向上し、周辺商業施設の発展も期待されています。

現在、高架化が予定されている井荻駅~西武柳沢駅間のGoogle Earth空撮画像を見ると、踏切による地域分断や交通渋滞に繋がる踏切の存在、細い道路が入り組んでいることが確認できます。この問題が解消されることで、周辺住民の日常生活の質が向上し、より効率的な交通ネットワークが構築されることが期待されています。地上からは見えにくい全体像を空撮画像で確認することで、事業の重要性やその規模の大きさを実感することができます。
最終更新日:2025年1月14日