千葉県船橋市は、東武野田線(東武アーバンパークライン)「新船橋」駅周辺において、旧日本建鐵船橋工場跡地や商業施設の再編を通じて都市の機能強化を図る「新船橋駅西地区地区計画」および「新船橋駅商業地区地区計画」の都市計画決定案をまとめ、2025年5月12日から案の縦覧を開始しました。
計画地では、野村不動産、住友不動産、総合地所の3社が1~3工区・合計総戸数1,224戸に及ぶ大規模住宅開発を進めるほか、船橋中央病院の新築移転、地域の商業機能維持の方針が示されています。縦覧期間は5月26日まで。今回の計画は、新船橋エリアの都市機能を再構築し、緑や歩行環境を重視した「WALKABLE PARK CITY」の実現を目指す大規模再開発として注目されています。
→船橋市 第150回船橋市都市計画審議会の会議概要及び会議録
→船橋市 船橋都市計画の決定に関する案の縦覧のお知らせ(新船橋駅西地区地区計画・新船橋駅商業地区地区計画)
新船橋駅西地区大規模開発の概要
- 計画の全体構成
船橋市は、新船橋駅西地区と商業地区の再編計画を発表。住宅、医療、商業を統合した複合的なまちづくりを推進。 - 大規模マンション開発
全1,224戸のマンションが3つの工区、4敷地に分けて建設され、各工区に異なる住宅棟を配置。高さは10〜15階。 - 船橋中央病院の新築移転
2028年度を目指し、船橋中央病院が新たに北西側に移転、最新の医療施設が整備される予定。 - イオンモール船橋の継続活用
現存のイオンモール船橋は、地域商業の中心として引き続き活用され、機能強化が図られる。 - 「WALKABLE PARK CITY」の推進
歩行者優先の環境を重視し、緑豊かな空間と歩行ネットワークを整備。人に優しい都市設計。 - 地域拠点の整備
住宅・商業・医療が連携するエリアづくりで、地域の中心となる拠点を形成。利便性と居住性を高める。 - 計画の進行状況とスケジュール
都市計画案は2025年5月に縦覧され、その後、市の審議会を経て正式決定予定。用途地域変更や防火指定なども含まれる。

船橋市が示した都市計画決定案は、2つの地区計画から構成されます。ひとつは新船橋駅西側の工場跡地(旧日本建鐵船橋製造所跡地)を中心とした約6.8ヘクタールの「住宅・医療地区」、もうひとつは既存の商業施設「イオンモール船橋」が位置する約6.4ヘクタールの「商業地区」です。この都市計画は、従来の工業地域からの大規模な土地利用転換を背景に、市の都市計画マスタープランに基づいて策定されたもので、人口増加や都市機能の更新への対応を目的としています。

住宅・医療地区においては、野村不動産、住友不動産、総合地所の3社が主導し、長谷工コーポレーションの設計・施工によって総延べ床面積11万㎡超の大規模分譲マンションを整備する「(仮称)船橋市山手一丁目計画」が進行します。マンションは全4工区に分かれ、総戸数は1,224戸に達する予定で、地域の住宅供給の大きな柱となります。工期は2025年6月から2031年3月までを予定しており、長期的な視点で段階的に開発が進められます。

建設されるマンションは、それぞれの工区で異なる特徴を持ちます。
1工区はRC造10階建てで延べ36,076㎡、住戸数は387戸。高さは30.99mで、敷地面積6,913㎡に建設されます。
2工区はA敷地(15階建て・253戸、延べ20,808㎡)とB敷地(15階建て・218戸、延べ22,544㎡)に分かれており、両棟の高さは44.99mに設定されています。
3工区は15階建て、住戸数366戸、延べ床面積は32,500㎡で、建築面積5,029㎡。
周辺環境と調和を図りながらも、都市型中高層住宅としての利便性と快適性を追求しています。

住宅街に隣接する北西側の約1.7ヘクタールは、地域医療機能推進機構(JCHO)が運営する船橋中央病院の移転・建て替え予定地として指定されています。旧病院は海神6丁目に所在していますが、2024年3月に新たな用地を取得し、2028年度の新病院開院を目指して整備が進められます。新施設では、より高度で効率的な医療提供体制の構築が期待され、地域住民の医療アクセス向上にも寄与するものとされています。


計画のもうひとつの柱である「商業地区」は、現存する「イオンモール船橋」が対象です。商業施設は2012年4月25日に開業し、敷地面積6.4ヘクタール、延床面積約62,000㎡、駐車場約2,100台を有する地域の中心的商業施設です。今後もその機能を維持・発展させる方針が示されており、都市計画上も「地区拠点商業地」として位置付けられました。これにより、将来的な増改築やリニューアルも視野に入れつつ、地域経済を支える存在としての役割が継続される見込みです。

本プロジェクトの基本コンセプトは「WALKABLE PARK CITY」と名付けられており、歩行者が快適に移動できる都市環境の整備が重視されています。街区内には、街路と公園の機能を兼ね備えた貫通広場や歩行者ネットワークが設けられる予定で、駅から病院、商業施設までがスムーズにつながる導線が確保されます。さらに、大容量の太陽光発電設備、グリーンインフラ、ソーラー街灯の導入など、環境配慮型のまちづくりも積極的に推進されます。
最終更新日:2025年5月21日