仙台市役所本庁舎建替計画(新本庁舎)は、宮城県仙台市青葉区国分町3丁目で建設中の地上15階、地下2階、高さ77.25mの超高層ビルです。
立地は、東側を勾当台通、北側を北一番丁通り、南側を表小路に囲まれた現在の仙台市役所敷地南側に位置しています。既存の仙台市役所本庁舎は老朽化が深刻な状況となっており、コンクリートの中性化試験の結果、現本庁舎の耐用限界が令和11年から令和12年に到達することが明らかになりました。
そのため、改修では庁舎の分散化を解消できないこと、改修後の供用可能期間が不明であり不確実性を伴うこと、長期的には建て替えが避けられないこと、さらに維持管理費の増加や分庁舎の改修費などが発生し、経済性に乏しいことなどの理由から本庁舎の建て替えが行われることとなりました。
新本庁舎の計画コンセプトは「市民とともに、まちとともに新たな時代に向けてチャレンジする市庁舎」、設計コンセプトは「素朴な技術を活かした庁舎」「小さな要素の集合体としての庁舎」とされており、仙台市ならではの市民協働の力や社の都の魅力、防災環境都市としてのしなやかさや強靭さを備えたものとなります。
施設構成は、地下2階に地下連絡通路、地下1階に地下駐車場、免震層を挟み、1階に情報発信機能と広場、2階に市民利用施設、3階に機械室、4階に災害対策機能、4階~13階に行政機能、14階~15階に議会機能、R-PH階にヘリポートとなります。
外観デザインは、市のランドマークとしての高層部分と、公園や広場とつながる低層部分で構成され、市民の活動を支える空間となります。歴代の市庁舎の堅実なデザインを継承しつつ、明るいグレーを基調としたシンプルな外観で、周囲と調和しながら長く愛されるデザインを目指すものとされています。
内観デザインは、木材を積極的に活用し、市民が木の温もりを感じられる空間とし、低層部の市民利用エリアや屋根付き広場、議場、展望ロビーには、木材を内外装に用いて自然の温かみを演出します。エントランスロビーは、屋根付き広場の軒天井と統一した木質仕上げとし、内外のつながりを感じられる設えとします。また、広場にはトップライトを設け、明るく開放的な空間を実現。耐候性や耐汚性を考慮した素材を採用し、維持管理やメンテナンス性にも配慮したものとなります。
建築主は仙台市、設計は石本建築事務所・千葉学建築計画事務所 共同企業体、施工は大林組・鉄建建設・仙建工業・深松組 共同企業体です。着工は1期工事が2024年7月1日、2期工事が2029年度、竣工は1期工事が2027年11月30日、2期工事が2031年3月31日となっています。
出典・引用元
・仙台市 仙台市役所本庁舎建て替えの検討状況
過去の建設状況
→過去の建設状況
出典:仙台市
概要
名称 |
仙台市役所本庁舎建替計画(新本庁舎) |
計画名 |
仙台市役所本庁舎建替 |
所在地 |
宮城県仙台市青葉区国分町3丁目7番1号 |
用途 |
庁舎等 |
階数 |
地上15階、地下2階 |
高さ |
77.25m 仙台市資料(実施設計):79.8m |
構造 |
鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、木造 免震構造 |
基礎工法 |
べた基礎 |
敷地面積 |
14,595.23㎡ |
建築面積 |
7,475.61㎡ 計画部分:7,363.83㎡ 既存部分:111.78㎡ |
延床面積 |
65,310.89㎡ 計画部分:64,310.89㎡ 既存部分:1,685.18㎡ |
着工 |
1期工事:2024年7月1日 2期工事:2029年度 |
竣工 |
1期工事:2027年11月30日 2期工事:2031年3月31日 |
建築主 |
仙台市 |
設計 |
石本建築事務所・千葉学建築計画事務所 共同企業体 |
施工 |
大林組・鉄建建設・仙建工業・深松組 共同企業体 |
最寄駅 |
仙台市地下鉄南北線「勾当台公園」駅 |
備考 |
▼施設構成 地下2階:地下連絡通路 地下1階:地下駐車場 ー免震層ー 1階:情報発信機能、広場 2階:市民利用 3階:機械室 4階:災害対策機能 4階~13階:行政機能 14階~15階:議会機能 R-PH階:ヘリポート |
位置図
標識
区域図
出典:仙台市
配置図
出典:仙台市
断面図
出典:仙台市
イメージパース
出典:仙台市
施設構成・イメージ
出典:仙台市
新本庁舎の外壁には「大型サイネージ」を設置し、市民に親しまれてきたデジタル時計や各種情報を発信するほか、都市のランドマークとしての役割を強調するため、屋上頂部に誰もが一目で認識できる“市章”が配置されます。さらに、照明によるライトアップを施し、夜間でも高い視認性を確保する計画としているとのことです。
出典:仙台市
「随時更新される情報をまちへと発信するデジタルサイネージ」のイメージパースです。
出典:仙台市
低層部には、市民が散策できる2階デッキや、多様なイベントを支える大屋根が設けられ、仙台の豊かな街路空間を感じさせる象徴的な空間となります。また、広場を囲むデッキは市民利用や情報発信の場として機能し、観客席や軒下としても活用されます。このデッキをバルコニーとして高層部にも展開することで、庁舎全体の統一感を生み出すほか、自然通風の活用や日常的なメンテナンス・設備更新への配慮も行い、機能性とデザイン性を両立した計画とされています。
出典:仙台市
「まちの魅力を発信する屋根付広場の大型スクリーン」のイメージパースです。
出典:仙台市
「南東側執務エリア」のイメージパースです。
出典:仙台市
「南東側執務エリア 窓口スペース」のイメージパースです。
出典:仙台市
「議員席からの議場」のイメージパースです。
出典:仙台市
「15階傍聴・展望ロビー」のイメージパースです。
出典:仙台市
「北側低層棟 木造化」のイメージパースです。
出典:仙台市
「北側低層棟 木造化」のイメージパースです。
出典:仙台市
「広域から見た南東面鳥瞰」のイメージパースです。
出典:仙台市
「地下2階~地上2階」構成図です。
出典:仙台市
新本庁舎は、持続可能な社会への貢献を目指し、竣工時にZEB Readyを実現し、将来的にはNearly ZEBを目指します。自然エネルギーの積極的な活用や設備の更新により、さらなる省エネルギーを推進する計画です。また、環境負荷削減や周辺環境への配慮を徹底し、CASBEE Sランクを取得。グリーンビルディングの整備方針に基づき、地球温暖化対策や緑化推進、景観や水環境の保全など、幅広い環境配慮を行います。
さらに、建設費・運用費・更新費を総合的に考慮し、ライフサイクルコストの最適化を図ります。外装にはバルコニーを設置し、省エネ性を向上させるとともに、ゴンドラ清掃を不要にする計画とします。また、設備機器のコンパクトな配置や耐久性の高い機器の採用により、メンテナンス性とコスト効率を高めます。
出典:仙台市
仙台市は、東日本大震災の教訓を踏まえ、市民の安全と安心を支える「防災環境都市」の実現に向けた庁舎づくりを進めています。災害時にも業務を継続できる中枢拠点として、強靭な防災対策を整備します。庁舎には災害対策本部を設置し、情報の収集・発信を迅速に行える体制を構築します。屋上にはヘリポートを設け、救援物資の搬送や負傷者の搬送を可能にするほか、一時避難者用の備蓄品を保管する倉庫を設置し、市民利用が主となる低層部を避難エリアとして活用します。さらに、主要設備機器を3階に配置し、浸水の影響を受けない設計とします。
ライフライン確保のため、電力は二重化し、非常用発電機を2基設置して3日間の電源供給を可能にします。太陽光発電と蓄電池を併用し、燃料が枯渇しても最低限の電力を確保します。飲料水は7日分を備蓄し、井戸水や緊急排水槽を活用してトイレの使用も維持します。自然通風や採光を取り入れ、エネルギー効率の向上も図ります。さらに災害時には1,000人規模の避難者を想定し、広場や会議室を避難スペースとして活用します。
出典:仙台市
構造面では、東日本大震災の経験を踏まえ、余震や将来の巨大地震に備えた高い耐震性能を備え、市庁舎機能を維持し業務継続が可能な施設とします。高層棟(1期工事)には、防災拠点としての役割を果たすため、「免震構造」を採用し、国の重要施設基準である耐震性能Ⅰ類(重要度係数1.5)を満たします。さらに「制振装置」を組み合わせることで、地震時の揺れを低減し、家具の転倒や天井落下などの被害を抑える設計としています。また、敷地北側の低層建物(2期工事)は、耐震性能Ⅱ類(重要度係数1.25)を確保した「耐震構造」とし、多くの市民が安心して利用できる施設としています。
出典:仙台市
「施工順序」のイメージです。
2025年3月建設状況
南東側から見た建設中の仙台市役所本庁舎建替計画(新本庁舎)の様子です。
既存の仙台市役所本庁舎です。地上8階、地下2階、延床面積33,342.85㎡、1965年10月31日竣工の庁舎で、「杜の都」を表現する窯変磁器タイルを外壁タイルに採用、頂部には一番町四丁目商店街からも見える位置に電光時計が設置されていることが特徴です。
南側、勾当台公園市民広場から見た建設中の仙台市役所本庁舎建替計画(新本庁舎)の様子です。
南側の表小路です。
南西側から見た建設中の仙台市役所本庁舎建替計画(新本庁舎)の様子です。
既存の仙台市役所本庁舎の概要が仮囲いに掲載されていました。
北西側から見た建設中の仙台市役所本庁舎建替計画(新本庁舎)の様子です。
南西側から見た既存の仙台市役所本庁舎です。
北東側から見た建設中の仙台市役所本庁舎建替計画(新本庁舎)の様子です。
仮囲いの除き窓から見た建設中の仙台市役所本庁舎建替計画(新本庁舎)の様子です。撮影時には、基礎工事が進められていました。
南側では、地下鉄勾当台公園駅から新本庁舎へアクセス可能な地下通路の整備が行われています。
仙台市地下鉄南北線「勾当台公園」駅北1番出口です。
現在の地下通路です。
既存の地下通路の途中から西側へ分岐し、地下連絡通路を接続。新本庁舎へ直結します。
現地仮囲いに掲載されている地下連絡通路のイメージパースです。
最終更新日:2025年3月18日