(仮称)日本橋本町一丁目3番計画は、東京都中央区日本橋本町一丁目で建設中の地上18階、地下1階、高さ84mの超高層ビルです。立地は、三越前駅東側一帯に広がる「COREDO室町」エリアの南東側、昭和通り沿いに位置しています。 国内最大かつ最高層の木造賃貸オフィスビルとして建設され、構造材として使用する木材量は国内最大級の1,100m³超に達し、CO₂固定量は約800t-CO₂を想定。一般的な鉄骨造と比べ、建築時のCO₂排出量を約30%削減できる見込みです。「日本橋に森をつくる」というコンセプトのもと、北海道に保有する約5,000haの森林からの木材を含む、1,100m³超の国産木材を構造材などに活用し、「植える→育てる→使う」の森林循環型モデルを実現。これにより、建築時のCO₂排出量は一般的な鉄骨造と比べ約30%削減が見込まれています。
空間づくりでは、木のぬくもりややすらぎを活かし、生産性向上や“行きたくなるオフィス”を目指すほか、緑豊かな歩行空間や生物多様性に配慮した環境整備によって、都心における新たな憩いの場を創出します。ZEB ReadyやABINC認証の取得、ペロブスカイト太陽電池の導入、建築廃材のアップサイクルなど、次世代の環境配慮型オフィスとしての先進的な取り組みも展開されます。
さらに不動産協会が策定した「建設時GHG排出量算出マニュアル」を初適用するオフィスビルとして、環境性能の可視化にも取り組みます。構造面では、竹中工務店が開発した大臣認定の耐火・木造技術を多数採用し、「燃エンウッド」や「KiPLUS TAIKA」シリーズ、CLTを用いた耐震・制震壁など、最新のハイブリッド木造技術を導入。これらの技術活用は、国土交通省の「優良木造建築物等整備推進事業」にも選定されており、木造化技術の普及を牽引する先駆的プロジェクトです。 建築主は三井不動産株式会社、設計は株式会社竹中工務店、施工は株式会社竹中工務店です。既存建築物の解体着手は2023年3月3日、着工は2023年11月15日、竣工は2026年9月となっています。
出典・引用元
・三井不動産株式会社/株式会社竹中工務店 国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル着工 ・三井不動産株式会社/株式会社竹中工務店 三井不動産と竹中工務店、日本橋にて国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル計画検討に着手
過去の建設状況
→過去の建設状況
出典:三井不動産株式会社/株式会社竹中工務店
概要
名称
(仮称)日本橋本町一丁目3番計画
計画名
(仮称)日本橋本町一丁目3番計画
所在地
東京都中央区日本橋本町一丁目5番1~29
用途
事務所、研究所、店舗
階数
地上18階、地下1階
高さ
84m (最高84m)
構造
木造、鉄骨造 制振構造
基礎工法
杭基礎
敷地面積
2,502.95㎡
建築面積
1,547.69㎡
延床面積
27,452.22㎡
着工
2024年1月4日 解体着手:2023年3月3日
竣工
2026年9月
建築主
三井不動産株式会社
設計
株式会社竹中工務店
施工
株式会社竹中工務店
最寄駅
JR総武本線「新日本橋」駅、東京メトロ銀座線、半蔵門線「三越前」駅、東京メトロ銀座線、東西線、都営浅草線「日本橋」駅
備考
ー
位置図
標識
▼解体着手のお知らせ
施設構成・イメージ
出典:三井不動産株式会社/株式会社竹中工務店
国内初となる先進的な木造・耐火技術が多数導入され、ハイブリッド木造建築の新たな可能性が追求されています。竹中工務店が開発し、大臣認定を取得した耐火・木造技術を活用し、主要構造部材に木材を積極的に採用。これにより、木造建築の普及拡大を目指す取り組みとして、令和5年度の国土交通省「優良木造建築物等整備推進事業」にも採択されました。
出典:三井不動産株式会社/株式会社竹中工務店
出典:三井不動産株式会社/株式会社竹中工務店
具体的には、3時間の耐火性能を持つ集成材「燃エンウッド」、鉄骨構造の耐火被覆に木材を用いる「KiPLUS TAIKA for CFT」および「KiPLUS TAIKA for BEAM」、さらにCLT(直交集成板)を使用した耐震壁・制震壁など、多様な技術が導入されています。これらの取り組みによって、安全性と環境性能を両立する新しい木造建築のモデルが実現されようとしています。
出典:三井不動産株式会社/株式会社竹中工務店
エントランスホールは、開放的な吹き抜け構造とし、壁面には三井不動産グループの保有林から調達した木材を使用。天井部分には、三井ホーム株式会社が開発した独自の木接合技術を取り入れ、洗練された木質空間を演出しています。また、事務所専有部では、木の構造部材をあえて露出させる「現し」とすることで、仕事をしながら自然と木に触れ、香りを感じることができる設計としています。
木造オフィスビルならではの魅力を最大限に活かし、「行きたくなるオフィス」の実現を目指しています。構造材だけでなく、内装や仕上げ材にも木材を積極的に用いることで、木のぬくもりややすらぎを五感で感じられる空間を創出。自然素材がもたらす快適性を通じて、働く人々の心身にやさしいオフィス環境を提供します。
出典:三井不動産株式会社/株式会社竹中工務店
こうした設計思想の背景には、人が本能的に自然とのつながりを求めるという「バイオフィリックデザイン」の考え方があります。近年では、木質空間が集中力や創造力を高め、ストレスを軽減するなど、オフィスワーカーの生産性向上にも寄与するという研究も進んでいます。
さらに、三井不動産は東京大学と連携し、農学生命科学研究科の恒次祐子教授とともに、木質空間が身体に及ぼす影響を科学的に検証する共同研究にも取り組んでいます。本プロジェクトにおいてもその成果を活かし、木造オフィスならではの快適で創造的なワークプレイスの実現に貢献していきます。
出典:三井不動産株式会社/株式会社竹中工務店
三井不動産として日本橋で初めて、都心型の賃貸ラボ&オフィス「三井リンクラボ」の整備が予定されています。日本橋は、製薬・医療関連企業が集積する国内有数のライフサイエンス・ビジネスエリアであり、本プロジェクトはその中心地に位置します。
三井不動産はこれまで、アカデミアや研究者らと共に、ライフサイエンス分野の交流・連携を促進する「一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワークジャパン(LINK-J)」を2016年に設立。2023年12月時点で会員数は761に達し、活発なコミュニティを築いてきました。
今回整備される「三井リンクラボ」は、そうしたLINK-Jの活動拠点としての機能も担いながら、希少性の高い本格的な研究環境を都市部で提供するものです。これにより、ライフサイエンス分野の企業や研究者が集い、先進的な技術開発やイノベーション創出を加速させる拠点となることが期待されています。
出典:三井不動産株式会社/株式会社竹中工務店
「日本橋に森をつくる」というコンセプトのもと、生物多様性に配慮した緑化を推進し、約480m²の緑地整備によって自然と触れ合える都心の歩行空間を創出します。蝶などの生物が生息しやすい植栽を取り入れ、「ABINC認証」の取得も目指しています。
さらに、屋上には国内オフィスビルで初となる有機質肥料による水耕栽培システムを導入し、無農薬・無化学肥料のオーガニック農法を実践。室外機緑化による省エネ効果も期待されており、地上から屋上まで多層的に自然共生を図る都市型緑化モデルとして注目されています。
出典:三井不動産株式会社/株式会社竹中工務店
次世代の環境配慮型オフィスビルとして、最先端技術やサステナブルな建材の活用を通じて、脱炭素社会の実現と持続可能な都市開発を目指しています。
主な取り組みのひとつが、東芝エネルギーシステムズと連携した「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」の実証実験です。軽量かつフレキシブルな次世代型太陽電池の都市部オフィスビルへの適用可能性を探り、再生可能エネルギーの普及に貢献します。また、共用部にはアサヒ飲料の「CO2を食べる自販機」を新築オフィスビルとして初導入。特殊素材により大気中のCO2を吸収し、年間でスギ約20本分に相当するCO2を削減します。
さらに、解体や建設時に発生する廃材を什器や建材にアップサイクルする竹中工務店の取り組みをモデルとして導入。資源の有効活用と廃棄物削減に努めます。建材にも環境配慮型製品を多数採用。CO2排出を6割削減する「ECMコンクリート」や、再生紙を活用した不燃ダクト「エボルダン」、漁網などを再利用した「漁網カーペットタイル」など、製造・施工・使用の各段階で環境負荷を抑えています。
これらの包括的な取り組みにより、ZEB Ready認証、DBJ Green Building認証、CASBEE(Sランク)、ABINC認証といった環境評価制度の取得を目指し、次世代の都市型オフィスのあり方を提案しています。
2025年6月建設状況
北東側から見た建設中の(仮称)日本橋本町一丁目3番計画の様子です。
北東側から見た建設中の(仮称)日本橋本町一丁目3番計画の低層部分の様子です。
公表資料の構造のイメージ図からは、4階付近までがCFT造もしくは鉄骨造で4階付近以上がKiPLUS TAIKAや燃エンウッドなど木との混合構造が用いられると読み取れます。なお、仮設材でしょうか、木が用いられていました。
北西側から見た建設中の(仮称)日本橋本町一丁目3番計画の様子です。
南西側から見た建設中の(仮称)日本橋本町一丁目3番計画の様子です。
南東側から見た建設中の(仮称)日本橋本町一丁目3番計画の様子です。
(仮称)日本橋本町一丁目3番計画と奥で建設が進む日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業の様子です。
最終更新日:2025年6月15日