渋谷スクランブルスクエアは、東京都渋谷区渋谷に竣工した地上47階、地下7階、高さ229.706mの「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期 (東棟)」と、建設が進められている地上10階、地下2階、高さ約61mの「渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (中央棟)」、地上13階、地下4階、高さ約76mの「渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (西棟)」から構成される超高層ビルです。
立地は、「渋谷」駅前、北側をハチ公広場、東側を明治通り、南側を国道246号、西側を渋谷マークシティ、渋谷フクラスに囲まれた場所に位置しており、再開発区域はJR「渋谷」駅直上のほか、坂倉準三設計、地上10階、地下2階、1954年竣工の「東急百貨店東横店 西館」、地上8階、地下2階、1970年竣工の「東急百貨店東横店南館」跡地が含まれます。
渋谷駅及び交通広場の歩行者動線の複雑さや歩行者空間の不足、適正な土地の高度利用が図れず老朽化した建築物の更新が進んでいないなど、駅施設の利便性や歩行者空間の快適性を阻害する要因が多く、ターミナル駅にふさわしい都市基盤が十分に確保されていないことが課題となっていました。課題解決のため、業務、商業、文化・情報発信機能等の集積・強化を図るほか、鉄道改良事業、渋谷駅街区土地区画整理事業と連携し、駅と周辺地域とのネットワークを強化するために、計画地内での適切な歩行者動線や広場空間等を整備し、地域に貢献する事業を行うことを目的として再開発が進められています。
施設構成としては、渋谷駅周辺最大級となる賃貸面積約73,000㎡のオフィスのほか、エンタテイメントシティ「渋谷」の魅力を高める屋外、屋内の展望施設、店舗面積約30,000㎡の大規模商業施設が入っています。また、渋谷スクランブルスクエアの屋上、高さ230m地点には屋外展望台「SHIBUYA SKY (渋谷スカイ)」が設けられ、渋谷で最も高い展望台となっています。
渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (中央棟・西棟)は、JR渋谷駅直上と東急百貨店東横店西館、南館跡地に建設中で、こちらは竣工予定が2028年3月末となっています。規模及び用途構成は、JR「渋谷」駅直上の中央棟が地上10階、地下2階、高さ約61m、東急百貨店東横店西館、南館跡地に建設される西棟が地上13階、地下4階、高さ約76mとなり、地下に駐車場や機械室、中央棟の1~2階にJR渋谷駅、3階に駅コンコース、中高層部分に店舗となります。
地上階では、渋谷の象徴でもあるハチ公広場が再整備される予定で、従来の待ち合わせ場所という役割に加えて、回遊性や滞在性を高める広場空間としての魅力が増す見込みです。また、駅東口には「東口地上広場」が整備され、都市的な開放空間として、歩行者の流れを円滑に導く役割を果たします。これらに加えて、ハチ公改札前および南改札前を通る最大幅員22〜23メートルの東西自由通路が新設され、駅構内を通過せずに東西を行き来できる導線が確保されます。
2階および3階にかけては、歩行者ネットワークが立体的に展開され、特に3階にはJR線・東京メトロ銀座線の主要改札およびコンコースが集約されることで、乗換えや周辺エリアへのアクセスがよりスムーズになります。さらに、駅西口上空には約3,000平方メートルの大規模デッキ空間「西口3階上空施設(仮称)」が整備され、中央街や桜丘方面とをつなぐ動線が強化されます。このデッキは、渋谷スクランブルスクエア西棟にも接続され、多層階にわたるシームレスな移動を可能にします。
4階では、銀座線ホーム直上に新たな回遊空間「東口スカイウェイ(仮称)」が設けられ、東口方面と渋谷スクランブルスクエア中央棟をつなぐ展望性に優れた空中回廊が実現されます。中央棟の4階には、隈研吾建築都市設計事務所が設計を手がける「パビリオン(仮称)」が設けられ、最新のテクノロジーを体感できるコンテンツ施設として、渋谷の情報発信拠点となることが期待されています。また、JR線路上空には「中央棟4階広場(仮称)」という開放的な公共空間が整備され、都市の中に新たな憩いの場が誕生します。これらを縦につなぐのが、地下や地上、デッキ階などを結ぶ垂直動線施設「アーバン・コア」で、誰もが容易に複層構造を移動できるよう支援します。
さらに、中央棟の10階には、SANAAが設計を担当する国際文化交流拠点「パビリオン(仮称)」が整備され、各国大使館と連携した体験型のコンテンツを通じて、世界と渋谷をつなぐ新たな文化的価値を提供します。同じフロアには「10階広場(仮称)」も設けられ、都市の喧騒から離れて眺望や休息を楽しむことができる、開放的で魅力ある空間が用意される予定です。
建築主は第Ⅰ期 (東棟)が東京急行電鉄株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東京地下鉄株式会社、第Ⅱ期 (中央棟・西棟)が東急株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東京地下鉄株式会社、設計は渋谷駅周辺整備共同企業体、施工は第Ⅰ期 (東棟)が東急建設、大成建設共同企業体、第Ⅱ期 中央棟高層部(JR鉄道部分)が渋谷駅改良(中央)工事共同企業体、第Ⅱ期 中央棟低層部(JR鉄道部分)が渋谷駅改良(北)工事共同企業体です。
着工は2014年6月10日、東棟の竣工が2019年9月、東急百貨店東横店西館、南館の解体着手が2020年10月12日、第Ⅱ期 (中央棟・西棟)の着工が2025年5月、竣工が2031年度、広場などを含む全体の完成は2034年度となっています。
出典・引用元
・東急株式会社 渋谷駅周辺地区における再開発事業の進捗について
・東急株式会社 渋谷再開発情報サイト
・渋谷スクランブルスクエア 公式サイト
・東急株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社 ~「100年に一度」の大規模再開発、渋谷駅街区計画、最終章へ~2030年度に渋谷駅および駅を中心とした歩行者ネットワークが概成を迎え翌年度、渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)が完成します
・東急電鉄株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社 渋谷駅街区開発計画の施設名称が「渋谷スクランブルスクエア」に決定 オフィス・商業施設のリーシングを開始 -2019年度、渋谷エリア最高となる高さ約230メートル、地上47階建の第Ⅰ期(東棟)開業ー
・東急電鉄株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社 渋谷駅街区開発計画Ⅰ期(東棟)への展望施設設置について ~日本最大級の規模を誇る屋外展望施設が渋谷駅直上に誕生~
・東京急行電鉄株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社 渋谷駅街区開発計画の施設名称が「渋谷スクランブルスクエア」に決定 オフィス・商業施設のリーシングを開始 -2019年度、渋谷エリア最高となる高さ約230メートル、地上47階建の第Ⅰ期(東棟)開業
・東京急行電鉄株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社 渋谷駅街区開発計画Ⅰ期(東棟)への展望施設設置について ~日本最大級の規模を誇る屋外展望施設が渋谷駅直上に誕生~
・東京急行電鉄株式会社/東急株式会社 渋谷駅周辺地区における再開発事業の進捗について○「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」の開業時期、展望施設および産業交流施設の名称・ロゴデザインなどが決定 ○「道玄坂一丁目駅前地区」のビル名称・ロゴデザインなどが決定
・東京都 環境影響評価書案 渋谷駅街区開発事業
・東急株式会社 2021年7月、渋谷駅東口エリアに歩行者デッキ「渋谷ヒカリエ ヒカリエデッキ」がオープン!~歩行者ネットワークが拡充され、新たな賑わいや憩いの空間が誕生します~
過去の建設状況
→過去の建設状況
出典:東急株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社
概要
名称 |
渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期 (東棟) 渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (中央棟・西棟) |
計画名 |
渋谷駅地区駅街区開発計画 |
所在地 |
標識:東京都渋谷区渋谷2丁目24番1ほか 公表資料:東京都渋谷区渋谷二丁目23番 外 |
用途 |
物販店舗、飲食店舗、事務所、駅施設、駐車場等 |
階数 |
東棟:地上47階、地下7階 中央棟:地上10階、地下2階 西棟:地上13階、地下4階 |
高さ |
東棟:229.706m 中央棟:約61m 西棟:約76m |
構造 |
第Ⅰ期 (東棟):鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造 第Ⅱ期 (中央棟・西棟): |
基礎工法 |
第Ⅰ期 (東棟):直接基礎、一部杭基礎 制振構造(制振ブレース、オイルダンパー) 第Ⅱ期 (中央棟・西棟): |
敷地面積 |
15,275.55㎡ |
建築面積 |
18,216.49㎡ |
延床面積 |
276,617.80㎡ 東棟:約181,000㎡ |
着工 |
第Ⅰ期 (東棟):2014年6月10日 第Ⅱ期 (中央棟・西棟):2025年5月 第Ⅱ期部分解体着手:2020年10月12日 |
竣工 |
第Ⅰ期 (東棟):2019年9月 第Ⅱ期 (中央棟・西棟):2031年度 全体:2034年度 |
建築主 |
第Ⅰ期 (東棟):東京急行電鉄株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東京地下鉄株式会社 第Ⅱ期 (中央棟・西棟):東急株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東京地下鉄株式会社 |
設計 |
渋谷駅周辺整備共同企業体 (株式会社日建設計、株式会社東急設計コンサルタント、株式会社ジェイアール東日本設計事務所、メトロ開発株式会社) デザインアーキテクト:株式会社日建設計、株式会社隈研吾建築都市設計事務所、有限会社SANAA事務所 |
施工 |
第Ⅰ期 (東棟):東急建設、大成建設共同企業体 第Ⅱ期 中央棟高層部(JR鉄道部分):渋谷駅改良(中央)工事共同企業体 (代表:大成建設株式会社) 第Ⅱ期 中央棟低層部(JR鉄道部分):渋谷駅改良(北)工事共同企業体(代表:鹿島建設株式会社) 第Ⅱ期 中央棟(ビル部分)(東京メトロ鉄道部分)・西棟:ー |
最寄駅 |
JR、東急電鉄、京王電鉄、東京メトロ「渋谷」駅 |
備考 |
▼施設構成 地下:駐車場、機械室 地上:ハチ公広場、東口地上広場(仮称)、自由通路(ハチ公改札前・南改札前) 地上1階~2階:JR「渋谷」駅 3階:JR線・銀座線改札およびコンコース、西口3階上空施設(仮称) 4階:4階東口スカイウェイ(仮称)、中央棟4階パビリオン(仮称)、中央棟4階広場(JR線路上空)(仮称) 中高層部分:店舗 10階:中央棟10階パビリオン(仮称)、中央棟10階広場(仮称) |
位置図
標識
▼解体工事のお知らせ
区域図
出典:東京都
配置図
出典:東急株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社
出典:東京都
断面図
出典:東京都
イメージパース
▼渋谷スクランブルスクエア街区全体
出典:東急株式会社
▼渋谷エリア全体
出典:東急株式会社
▼当初計画
出典:東急株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社
施設構成・イメージ
地上階
出典:東急株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社
地上階では、渋谷のシンボルである「ハチ公広場」が再整備され、これまで以上に人々が集い、滞在できる空間として生まれ変わります。また、駅の東側には「東口地上広場(仮称)」が新たに整備され、歩行者のスムーズな移動と周辺エリアとのつながりが強化されます。さらに、JRハチ公改札前および南改札前には最大幅22〜23mの自由通路が整備され、東西を快適につなぐ新たな動線として、駅利用者の利便性向上に大きく寄与します。
2階/3階
出典:東急株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社
出典:東急株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社
2階部分では、東西南北のエリアを立体的につなぐ歩行者ネットワークの一部が整備され、渋谷駅周辺の回遊性とアクセス性が一段と高まります。これにより、駅構内外を巡りながら移動する楽しさが向上し、都市空間としての魅力も強化されます。
3階には、JR線および東京メトロ銀座線の改札やコンコースが配置され、乗り換えの利便性が大幅に改善されます。また、渋谷スクランブルスクエア西棟の正面には「西口3階上空施設(仮称)」と呼ばれる約3,000㎡の歩行者デッキが整備され、中央街や桜丘方面とのスムーズな接続が可能となります。この施設は内藤廣建築設計事務所のデザインによって実現され、機能性とデザイン性を兼ね備えた都市空間が創出されます。加えて、同施設は渋谷スクランブルスクエア西棟とも接続し、周辺施設間の移動がより快適になります。
4階
出典:東急株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社
出典:東急株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社
4階には、銀座線渋谷駅ホームの直上に「4階東口スカイウェイ(仮称)」が整備され、東口エリアと渋谷スクランブルスクエア中央棟を空中で結ぶ新たな動線が形成されます。また、中央棟の4階には、隈研吾建築都市設計事務所が手がける「4階パビリオン(仮称)」が設けられ、最先端の技術を体感できる施設として、渋谷の象徴的存在になることを目指しています。同じく4階には、JR線路上空に開かれた「中央棟4階広場(仮称)」が誕生し、多様な都市活動に対応する空間が整備されます。さらに、地下から地上、デッキ階までをスムーズに移動できる「アーバン・コア」が設置され、垂直方向の移動を支援する重要な基盤施設として機能します。
10階
出典:東京都
10階には、「中央棟10階パビリオン(仮称)」が整備され、各国大使館との連携による文化交流体験が提供されます。この施設は、世界的建築ユニットSANAAの設計によって、渋谷らしいグローバルで洗練された空間が創出されます。また、同フロアに整備される「中央棟10階広場(仮称)」は、渋谷スクランブル交差点や新宿方面を一望できる開放的な空間として、訪れる人々に非日常的な眺望と安らぎを提供します。
出典:東急株式会社
渋谷スクランブルスクエア全体の施設構成イメージです。
2025年3月建設状況
渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (中央棟・西棟)
北西側、スクランブル交差点から見た建設中の渋谷スクランブルスクエア全体の様子です。
北西側、スクランブル交差点から見た建設中の渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (中央棟・西棟)の様子です。
北側から見た建設中の渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (中央棟・西棟)の様子です。北東側には東口駅前広場が整備されます。
北東側から見た建設中の渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (中央棟・西棟)の様子です。現在、線路上で鉄骨建方が進んでいるのは、中央棟(先端)です。
渋谷ヒカリエから見た建設中の渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (中央棟・西棟)の様子です。手前側からスカイウエイが伸びています。将来的には歩行者空間になります。
南東側から見た建設中の渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (中央棟・西棟)の様子です。渋谷駅の線路上には既に新築される中央棟の鉄骨建方が進んでいます。
このように線路を跨ぐようにして中央棟は建設されます。
南側から見た建設中の渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (中央棟・西棟)の様子です。
線路上が中央棟、その西側に西棟が建設されます。
北東側から見た建設中の渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期 (東棟)の様子です。東棟の西側低層部分壁面は白い外壁で覆われていますが、この位置に中央棟が接続される見込みとなっています。
南西側から見た建設中の渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (中央棟・西棟)の様子です。
西側から見た建設中の渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期 (中央棟・西棟)の様子です。
解体工事が進む「東急百貨店東横店南館」も殆ど消え、駅改札通路上の一部の残骸が残るのみとなりました。
将来的にペデストリアンデッキに接続される見込みです。
東急百貨店東横店が解体され、西棟が建設されるまでの間は、このように山手線が見える状態となっています。
北側の「東急百貨店東横店 西館」は完全に姿を消しました。
渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期 (東棟)
先行して2019年9月に竣工した地上47階、地下7階、高さ229.706mの超高層ビル「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期 (東棟)」の様子です。
最終更新日:2025年5月9日