名古屋市は2025年7月、「名城エリアにぎわい共創基本構想(案)」を発表しました。この構想は、名古屋城築城からの歴史的資源や景観、水辺空間、大学、民間施設など多様な資源が集積する名城エリアを、市民と観光客の双方が楽しめる“にぎわい拠点”へと進化させるための戦略的な指針です。2031年の「名古屋城の一般公開」と「名城公園開園100周年」を大きな節目と位置づけ、歴史・文化の発信、市民の憩い、そして観光振興のハブとしての機能強化を目指しています。
構想には、施設整備、空間設計、アクセス改善、地域連携、民間事業者との共創など、多方面からのアプローチが盛り込まれており、市内外の人々を惹きつける拠点形成が期待されています。
→名古屋市 名城エリアにぎわい共創基本構想(案)に係るパブリックコメントについて
名城エリアにぎわい共創基本構想(案)の概要
1. 名城エリア再構築の基本構想の策定
名古屋市は2025年7月、「名城エリアにぎわい共創基本構想(案)」を公表。2031年に予定される名古屋城の一般公開と名城公園開園100周年を契機とし、名城エリア全体の再構築と活性化を目指す。
2. 歴史と文化を核にしたまちづくり
名古屋城築城以来の歴史資源や文化的資産を活用し、観光、市民活動、学術、スポーツが融合する複合拠点の形成を志向する内容である。
3. エリアの現状と課題
名古屋城と名城公園北園の来訪者層や目的に違いがあるため、両者の連携や回遊性の不足が課題。観光案内や動線設計、アクセス環境の整備が求められている。
4. 空間づくりの要素
「歴史・文化」「緑・水・憩い」「エンタメ・交流」のゾーンに分け、それらが調和する空間づくりをすることで回遊性向上を図る方針。
5. 共創型エリアマネジメントの推進
行政に加え、大学、地域住民、民間事業者との連携によって、イベントや施設運営を共に担いながらにぎわいを創出していくエリアマネジメントの展開。
6. 交通・アクセス改善と回遊性向上
名城公園駅の機能向上、横断歩道の整備、舟運やシェアモビリティの導入などを通じて、エリア内外の移動利便性と市内全体の回遊性を向上させる構想。
7. 2031年に向けた中長期ビジョン
2031年をターゲットとし、段階的な事業展開を図ることで、歴史的価値と現代的にぎわいを融合させた新たな都市拠点を創出するビジョン。

本構想の根底には、名古屋城と名城公園北園が持つ歴史的・文化的な価値を未来に活かしていこうという理念があります。特に2031年は、名古屋城の全面公開と名城公園の開園100周年という大きな節目にあたり、市ではこの機会を見据えて構想を策定しました。
行政内部の連携体制だけでなく、大学や地域の事業者との対話・協働を通じて進められたこの構想では、観光・文化・歴史・スポーツといった複数の分野を横断する形での拠点形成が目指されています。対象エリアは名古屋城周辺にとどまらず、隣接する大学やナゴヤキャッスル、tonarino、金シャチ横丁なども含んだ広範囲に及びます。「歴史と市民生活が交錯する都市空間の再生」が、中核的なテーマとなっています。


名古屋城は1610年、徳川家康の命により築城が始まりました。それ以来、名古屋は尾張藩の政治・経済の中心地として栄え、金鯱を戴く天守閣は市民の誇りとして親しまれてきました。一方で、現在の名城公園北園の位置には、かつて尾張藩主の庭園や陸軍の練兵場があり、長い歴史を有しています。


現代の名城エリアには、名古屋能楽堂、フラワープラザ、愛知学院大学、名古屋造形大学、tonarinoなど多様な施設が集まり、文化・スポーツ・教育・レクリエーションが融合した都市空間となっています。2025年にはIGアリーナやエスパシオ ナゴヤキャッスルといった新施設も開業予定で、エリアの魅力がさらに高まる見込みです。また、名古屋城水堀での舟運実施や船着場整備、金シャチ横丁の拡張など、歴史と現代が交錯する空間として注目が集まっています。

名古屋市による調査によると、名古屋城と名城公園北園では、来訪者層に大きな違いが見られます。名古屋城には観光目的の県外からの来訪者が多く、北園には市民が日常的に訪れており、両者の回遊性が低いのが現状です。また、来訪者の多くが両エリアを一体の空間として認識しておらず、観光案内サインの整備や動線の明確化が求められています。
さらに、IGアリーナの開業に伴う来訪者の増加が予想されるなか、公共交通機関や周辺道路への負荷、地域住民への影響も課題となっています。こうした課題に対処するためには、アクセス改善や交通対策に加え、関係者の連携体制の強化が不可欠です。


構想では、「名古屋城築城からの歴史と多様な魅力を発信し続けるにぎわい拠点」を目指すべき将来像として掲げています。名古屋城を中心とした「歴史・文化」、名城公園北園を核とする「緑・水・憩い」、IGアリーナを活かした「エンタメ・交流」のゾーンがバランスよく調和し、全体としての一体感と回遊性を高めていくことが重要です。
その実現に向けて、景観に配慮したランドスケープ設計や、視認性の高い回遊路・サインの整備、水辺空間の利活用などが進められる予定です。名古屋城周辺では金シャチ横丁の拡張や歴史的ストーリーテリングの強化が進められ、北園では第二期再整備によってスポーツ・レクリエーション機能が充実していきます。

「共創」というキーワードのもと、この構想は行政主導にとどまらず、大学や民間事業者、地域団体などとともにエリアづくりを進めていきます。アイデアを出し合い、課題を共有しながら、イベントや事業を協働で推進する体制の構築が目指されています。
具体的には、「エリアミーティング」の継続開催や、IGアリーナ連絡協議会との連携強化、学生によるアイデア提案や実践活動の支援などが想定されています。こうした「公・民・学」の連携によって、エリアの魅力を継続的に高め、内外から愛される場所へと進化していくことが期待されています。


名城エリアでは今後さらなる来訪者の増加が見込まれており、それに対応したアクセス環境の整備が重要です。名城公園駅の改良や地下横断歩道の整備、シェアサイクルや舟運など新たな移動手段の導入も検討されています。
また、栄・名古屋駅・熱田など他のエリアとの観光連携を強化し、名城エリアを起点とした市内全体の観光動線を強化することも構想の柱です。とくに栄や三の丸地区との一体的なプロモーションや交通インフラの整備は、市全体の観光活性化に大きく寄与するものと位置づけられています。

本構想は、名古屋市が掲げる名城エリア再構築の方向性を示すものであり、歴史と未来をつなぐ「にぎわい共創」のビジョンを描いています。2031年の節目に向けて、名城エリアは新たな都市の顔として生まれ変わろうとしています。今後の動向に大きな期待が寄せられます。
最終更新日:2025年7月18日

