岐阜県の江崎知事は2025年7月1日の県議会で、岐阜市やその周辺地域のにぎわいを取り戻すため、新たな交通インフラの整備が不可欠であると強調し、有力な候補として次世代型路面電車「LRT(ライトレールトランジット)」の検討を本格的に開始したことを明らかにしました。検討エリアは岐阜羽島駅や岐阜羽島インターチェンジを起点に、岐阜インターチェンジや岐阜大学付近を終点とする広範な地域で、岐阜羽島駅と岐阜駅を結ぶものや岐阜市内などの中心市街地を含む複数の路線を想定しています。
財政負担を抑えるため、土地買収を極力避け、県道など既存の道路インフラを活用しながら、運行開始を10年後の目標に据えて計画を進める方針です。現在では、まだ構想段階であり、地元商店街や関係者と連携しながら実現可能性を探っていく意向を示しています。一方で、岐阜市の柴橋市長は現在進行中の大規模事業の財政負担もあり、費用面や交通への影響を十分検討する必要があるとの見解を示しています。
→岐阜県議会 公式サイト
→岐阜市議会議員 和田直也 岐阜県のLRT構想
岐阜県LRT構想の概要
1. 岐阜県のLRT導入検討の発表
岐阜県の江崎知事は、地域のにぎわい創出と交通の利便性向上を目的に、LRT(次世代型路面電車)の導入を本格的に検討すると表明。県庁内にプロジェクトチームを設置し、導入に向けた調査・検討を進めている。
2. 想定ルートと対象エリア
検討対象は、岐阜羽島駅や岐阜羽島ICを起点とし、岐阜ICまでのエリア。岐阜駅や市中心部を含む複数ルートを想定し、都市間および都市内のアクセス性向上を図る。
3. 整備の基本方針と財政面
新たな用地買収による財政負担を避けるため、県道など既存インフラを活用する方式を採用。整備費抑制を重視しつつ、10年後の運行開始を目標とした長期的な計画を構想している。
4. 県が主体となる整備体制
岐阜市内の多くの主要道路は県が管理していることから、県主体での整備が現実的と判断。県主導で計画を立て、市町村や関係団体と連携しながらプロジェクトを進める。
5. 導入による期待効果
LRTの導入により、高齢者や若年層を含む幅広い世代の移動手段を確保し、公共交通利用の促進が期待される。あわせて市街地活性化や「歩いて回れるまちづくり」への寄与も見込まれる。
6. 地元との連携と理解の醸成
江崎知事は「ワクワクする計画」として地元商店街や住民との協議を重視。地域の理解と協力を得ながら丁寧に計画を進める姿勢を示している。
7. 岐阜市の慎重な立場と今後の課題
岐阜市の柴橋市長は、名鉄高架化や再開発など既存事業とのバランスを考慮し、LRT導入には慎重な姿勢。今後は財政負担や既存交通との整合性など、多方面からの課題整理が求められている。

岐阜県はちょうど20年前に路面電車が廃止されて以来、公共交通の再構築に関心が高まっています。特に岐阜市都心部では歩いて回れるまちづくりを推進する必要性が叫ばれており、車中心の交通からの脱却が課題となっています。こうした中、江崎知事は「車だけに依存しない新しい交通手段」としてLRTを位置づけ、県庁内に設置したプロジェクトチームを通じて検討を開始しました。
岐阜市の中心部道路の多くは県が管理しており、この点がLRT導入の大きな利点となる見込みです。過去の海外視察や宇都宮市のLRT導入例を踏まえ、持続可能で利便性の高い交通システムを県内に根付かせたい考えがうかがえます。


LRTの運行区間は、岐阜羽島駅や岐阜羽島インターチェンジから岐阜インターチェンジまでの広域エリアを想定し、岐阜駅や市中心部を結ぶ路線を中心に検討が進められています。財政負担を軽減するため、土地の買収はできるだけ避け、既存の県道を活用する形を基本方針としています。
また、運行開始までの期間は約10年を目標とし、現実的で着実な整備計画を模索中です。江崎知事は県議会後の記者会見で、岐阜羽島駅と岐阜駅を結ぶ路線のほか、市内周遊ルートを含め3つの候補プランを示しました。こうした複数案を踏まえながら、地元の商店街や住民、行政間での協議がこれから本格化する見込みです。

LRT導入により、岐阜市を中心とした地域の交通利便性向上はもちろん、高齢者や子ども、若者の活動範囲の拡大が期待されています。中心市街地への人の流れを呼び込み、「歩くまち」としての再生が見込まれるほか、持続可能なまちづくりにも資する計画です。
しかし一方で、既存の名鉄高架化事業や市街地再開発など多額の費用がかかるプロジェクトも抱えているため、岐阜市側からは財政面での慎重な検討が求められています。県は今後、費用面や交通体系への影響を含めた詳細な課題整理と実現可能性の検証を進め、関係自治体や市民の理解を深めながら段階的に計画を具体化していく見通しです。
最終更新日:2025年7月26日

