札幌市は2025年9月8日、「(仮称)新MICE施設整備基本計画」を正式に公表しました。計画地は地下鉄南北線・中島公園駅に隣接する札幌パークホテル跡地で、国際会議や展示会、企業の大型イベントなど、多様な催事に対応できる新しい都市拠点を整備する構想です。新MICE施設はホテルと連携した一体的な活用を前提とし、最大5,000人規模の国際会議を受け入れるメインホールをはじめ、多目的ホールや中小規模会議室を備えます。
これにより、札幌市がこれまで誘致できなかった規模・水準の国際イベントを開催できるようになり、都市ブランドの向上や交流人口の拡大に寄与することが期待されています。総事業費は土地取得費を含めて約592億円と試算され、開業から10年間で約5,000億円に及ぶ経済波及効果が見込まれるなど、北海道全体に大きなインパクトを与える計画となっています。
(仮称)新MICE施設整備基本計画の概要
- 計画の位置付け
札幌市が中島公園駅直結の札幌パークホテル跡地に、新たな国際会議・展示会対応のMICE施設を整備する計画。都市ブランド向上と国際交流拡大を目的とする。 - 背景と経緯
2018年に一体整備を計画したが、コロナ禍や建設費高騰で延期。需要回復を踏まえ、市と事業者が「独立建設・一体活用」の形で再始動した。 - MICEの重要性
MICEは宿泊・観光消費を伴うため経済波及効果が大きい。札幌は潜在需要が高いものの、既存施設では大規模国際会議の受け入れが難しく、誘致競争で不利な状況にあった。 - 立地の優位性
新千歳空港から屋外移動なしで到達可能。すすきのや宿泊施設が徒歩圏にあり、中島公園や豊平館、Kitaraなど周辺資源との組み合わせで「札幌らしいMICE体験」が可能。 - 施設概要
延床面積約38,400㎡。メインホール(約2,000㎡)、多目的ホール(約3,200㎡)、会議室15室(合計約3,400㎡)を整備。単独で5,000人規模に対応し、年間約1,220件の開催を想定。 - 事業費とスケジュール
総事業費は土地取得を含め約592億円。2033年度の供用開始を目指し、長期的な需要を見据えて整備が進められる。 - 経済効果と波及効果
年間の経済波及効果は約492億円、雇用創出効果は約3,200人分。10年間で約5,000億円規模の効果を見込み、札幌市および北海道の国際競争力強化に寄与する。

札幌市では、かねてより「国際会議都市」としての地位を高めるべく、大規模なMICE施設の必要性が指摘されてきました。2018年には新MICE施設とホテルを一体的に建設する方向で事業者と協議を進めていましたが、その後の新型コロナウイルス感染症の流行により、観光・会議需要が一時的に消失し、計画は延期を余儀なくされました。さらに、建設費や資材価格の高騰といった外部環境の変化も重なり、当初の構想は実現が困難となっていました。
しかしながら、コロナ禍を経て世界的に国際会議や展示会の需要は回復傾向を示し、札幌市でも再び国際イベント誘致に取り組む動きが強まりました。そこで市と事業者は、リスク分散を図るため「それぞれが独立して建設しつつも、一体的に利用する」という新たな枠組みに転換しました。この方式により、事業の実現性を確保しつつ、従来の一体整備と同様の効果を狙える計画が整えられたのです。

MICEとは、国際会議(Meeting)、企業の報奨・研修旅行(Incentive)、学術・産業会議(Convention)、展示会や見本市(Exhibition)の頭文字を取った言葉で、開催都市に多大な経済効果をもたらします。参加者は長期滞在する傾向が強く、宿泊・飲食・観光消費を通じて地域経済を活性化させるため、「観光以上の波及効果がある」とされています。
札幌は四季折々の自然や都市機能が調和した魅力的な都市であり、潜在的な需要は非常に高いと評価されてきました。しかし現状では、既存の札幌コンベンションセンターは中規模会議には適しているものの、大規模国際会議や展示会には対応しきれません。施設の稼働率は高水準を維持しているにもかかわらず、受け入れられない案件が多く、結果として東京や大阪など他都市に開催地を奪われるケースが目立っています。こうした状況を改善し、札幌をアジア有数の国際会議都市へと押し上げるためには、新MICE施設の整備が不可欠と判断されたのです。

計画地となるのは、地下鉄南北線・中島公園駅直結の札幌パークホテル跡地です。この場所は、国内外の来訪者にとって極めてアクセス性の高い立地といえます。新千歳空港からJRと地下鉄を乗り継いで屋外に出ることなく到達でき、冬季の雪や寒さに配慮した利便性が確保されます。さらに、すすきの繁華街や豊富な宿泊施設群が徒歩圏内にあり、滞在型の国際イベントに最適な環境が整っています。
また、中島公園自体が自然豊かな都市公園であり、豊平館や札幌コンサートホールKitaraなど文化施設も集積しています。こうした周辺資源と組み合わせることで、単なる会議施設にとどまらず、「札幌ならではのMICE体験」を提供することが可能になります。さらに建て替え後の新パークホテルと連携すれば、宿泊・宴会・会議を一体的に運用でき、国際会議の開催地としての競争力が一層高まる見通しです。

新MICE施設の延床面積は約38,400㎡と大規模で、複数の用途に応じた空間が整備されます。中心となるのは約2,000㎡のメインホールで、最大2,000席規模の国際会議に対応可能です。さらに約3,200㎡の多目的ホールは、展示会やパーティーなど多様なイベントに活用できる柔軟な設計となります。加えて、15室に分かれる会議室群(合計約3,400㎡)は、分科会や中小規模会議に最適であり、大型会議と並行して多数のセッションを開催することも想定されています。
この構成により、単独の施設としては最大5,000人規模の会議開催が可能となり、周辺ホテルの宴会場や宿泊機能を活用すれば、さらに規模の大きな国際イベントにも対応できる拡張性を持ちます。年間の開催件数は約1,220件を見込んでおり、国内学会から国際展示会、企業の研修旅行まで幅広く対応する「札幌の新たな顔」となる計画です。

総事業費は土地取得費を含めて約592億円と見込まれています。開業は2033年度を目標にしており、長期的な需要動向を踏まえた慎重なスケジュールが組まれています。収支計画では、メインホールの稼働率を90%と高く想定し、安定した利用を見込んでいます。これにより年間の運営収支は2億円以上の黒字が期待され、ライフサイクル全体でも約30億円のプラス収支となる見通しです。
経済波及効果については、年間約492億円と試算され、宿泊や飲食、交通機関の利用を通じて地域全体の経済を潤すことが予測されています。また、雇用創出効果は年間約3,200人分とされ、地域の雇用環境改善にも貢献します。10年間の累計では約5,000億円規模の波及効果が見込まれており、札幌市のみならず北海道全域の国際競争力を高め、持続的な都市成長に寄与する重要なインフラ整備となるでしょう。
最終更新日:2025年9月10日

