柏市は、老朽化が進む柏駅東口駅前の再整備に向けて「柏駅東口駅前再整備実現化方策検討業務報告書【概要版】」を公表しました。本報告書では、旧そごう柏店本館跡地を含む広場周辺エリアを対象に、交通広場の再編、新たな改札口(北口)の設置、周辺施設との連携など、多角的な観点から今後の整備方針を整理しています。
基本コンセプトは「人を惹きつける魅力の創出」「みどり豊かなゆとりある空間」「広がりある高い回遊性」の3点で、駅前を単なる交通結節点にとどめず、地域の象徴的な玄関口として再生させることを目指しています。柏駅は東葛エリアの中心駅として広域的な影響力を持つため、今回の整備方針は市内だけでなく周辺自治体にとっても重要な意味を持ちます。
→柏市 柏駅東口駅前再整備実現化方策検討業務報告書【概要版】の公表
柏駅東口駅前再整備実現化方策検討業務報告書の概要
- 報告書の公表
「柏駅東口駅前再整備実現化方策検討業務報告書【概要版】の提示 - 基本コンセプト
「人を惹きつける魅力」「みどり豊かなゆとりある空間」「広がりある高い回遊性」の3本柱 - 再整備の背景
老朽化したダブルデッキや駅前ビル群、狭隘な交通広場、低下する商業拠点力 - 未来ビジョンとの連携
令和5年度策定「柏駅東口未来ビジョン」を基盤とした交流・滞在拠点化 - 交通広場の再編
将来需要を踏まえた動線整理、安全性向上、歩行者空間の充実 - 新改札(北口)の設置
混雑緩和と回遊性向上を目的とした北口改札と駅ビル一体整備 - 今後の展望
関係機関・地権者との協議による一体的再編と東葛地域拠点性の強化

柏駅東口駅前は1970年代の市街地再開発事業によりダブルデッキ、駅前ビル群、公共広場などが整備されました。しかし完成から半世紀が経過し、施設の老朽化が進むとともに、当時想定されていなかった社会変化に対応しきれていない現状があります。とりわけ交通広場はバスやタクシーの需要増加に対応できず、乗降スペースの不足や動線の混雑が慢性的に発生しています。
また、かつて柏のシンボルであった百貨店が撤退したことで、東口の求心力は低下し、商業・文化的な発信力が弱まっています。こうした課題を解決し、再び柏が「人が集まる拠点」として輝きを取り戻すことが再整備の目的となっています。

令和5年度に策定された「柏駅東口未来ビジョン」は、今後50年先を見据えたまちづくりの方向性を示すものです。ビジョンでは、単なる物理的な更新ではなく「魅力的な滞在空間の形成」「多様な世代が安心して利用できる回遊性」「緑やオープンスペースを取り入れたゆとりのある都市景観」を重視しています。
これにより駅前は移動の場だけでなく、立ち寄りや交流、文化活動が自然に生まれる場へと進化することを想定しています。報告書は、この未来ビジョンを踏まえ、具体的な整備の可能性や実現に向けたステップを整理したものと位置づけられます。行政、地権者、鉄道事業者が共有できる共通目標としての意味合いも強く、協働によるまちづくりの基盤をつくる役割を担っています。

現在の交通広場は面積が不足し、バスの発着においても無理な運用を強いられています。降車場やタクシープールも十分に確保されていないため、利用者にとって分かりにくく、また安全面でも課題が指摘されています。報告書では、バス路線の将来需要やタクシー利用者数の予測を踏まえて必要面積を算出し、将来的に混雑が増しても対応できる計画的な空間再編の必要性を強調しています。
加えて、歩行者広場や自転車駐輪場なども含めた一体的な動線設計が求められており、交通機能と都市デザインを両立させる計画が不可欠とされています。効率的な動線を確保することで、歩行者が安全かつ快適に移動できる環境を整備することが重要となります。

再整備において特に注目されるのが、新たな北口改札の設置です。これにより東口広場の利用分散が可能となり、混雑緩和や利便性向上に直結します。さらに、北側エリアの開発や再活性化にも波及効果が期待されます。北口改札の設置は、単に利便性の向上だけでなく、都市構造を再編する大きな契機となる可能性があります。ただし、駅構内設備や自由通路との干渉、鉄道運行上の制約といった技術的な課題も多く、鉄道事業者との丁寧な協議が欠かせません。報告書では、段階的に実現可能性を検証しながら、駅ビルや自由通路の再整備と一体的に進めることが望ましいとされています。

報告書では複数の配置案が検討されています。①「南北施設配置案」は広場空間を最大化し、南北に分かれた商業床を計画することで動線のバランスを図るもの。②「南側集約配置案」は既存の南口・中央口との結節性を重視し、駅全体の連続性を高める案。③「賑わい施設囲い込み案」は広場を商業施設で囲み込み、駅直結の大規模床を確保することで経済的活性化を狙う案です。いずれの案にも利点と課題があり、費用負担や実現性、駅利用者の回遊性などを比較検討しながら、今後の協議で最適な方向性を選定していくことになります。

整備に伴う費用分担は、関係機関の調整を要する重要な課題です。一般的には、自由通路は行政(国・県・市)が負担し、駅舎や改札設備は鉄道事業者が負担するという原則がありますが、実際には双方の利害や整備効果の分配を踏まえた柔軟な調整が不可欠です。報告書ではその枠組みを整理し、費用分担の基本的な方向性を示しています。また、駅ビルの再整備についても触れられており、老朽化した既存施設の更新と改札新設を一体的に進めることで、より効率的かつ魅力的な駅前空間が生まれる可能性が示唆されています。商業施設や公共機能を含めたトータルな再編が、街全体の競争力を高める鍵となるでしょう。

今回の報告書はあくまで「検討段階の成果」であり、今後は鉄道事業者、地権者、行政、住民を含めた幅広い協議と合意形成が必要です。柏駅東口は「旧そごう跡地」「スカイプラザ柏」「ファミリかしわ」など再開発の歴史を刻んだ施設群を抱えており、これらの再生と一体的に進めることで、より説得力のあるまちづくりが可能となります。新改札や交通広場の整備をきっかけに、商業や文化、公共機能が再集積し、東葛地域の中心としての柏の地位を再び確立することが期待されます。報告書はその第一歩であり、今後の進展に市民や周辺住民の注目が集まっています。
最終更新日:2025年9月11日

