名古屋鉄道名古屋本線加納駅・茶所駅付近連続立体交差事業は、岐阜市中心部における鉄道と道路の交差を抜本的に改善するため、名鉄名古屋本線の一部区間を高架化する都市計画事業です。対象区間は羽島郡岐南町下印食四丁目から岐阜市加納西広江町二丁目までの2,792m(うち連続立体交差事業区間2,049m)で、現在の加納駅と茶所駅を統合した(仮称)統合駅の整備も行います。
事業期間は令和4年度から令和18年度までを予定し、13か所の踏切を一挙に除却することで、慢性的な渋滞や踏切事故の解消、市街地の一体化、防災性の向上などを図ります。あわせて、関連する都市計画道路や土地区画整理事業、河川改修事業などを総合的に進め、岐阜市南東部のまちづくりを大きく前進させるプロジェクトです。
名鉄名古屋本線加納駅・茶所駅付近連続立体交差事業の概要
1.事業の背景と目的
JR線高架化に続く名鉄名古屋本線の高架化により、市街地分断や慢性的渋滞、踏切事故などの課題解消を図る事業。
岐阜市南東部の一体化と安全・安心な都市環境の形成を目指す連続立体交差事業。
2.事業区間と規模
羽島郡岐南町下印食四丁目から岐阜市加納西広江町二丁目まで約2.3kmを対象とする高架化計画。
連続立体交差事業区間約2,049m、嵩上げ式主体による都市高速鉄道整備。
3.統合駅の整備
加納駅と茶所駅を統合した(仮称)統合駅の新設による交通結節機能の強化。
駅前広場整備とあわせた新たな都市拠点形成の推進。
4.踏切13か所の除却
開かずの踏切やボトルネック踏切を含む13か所の踏切の一括除却。
慢性的渋滞や事故リスクの解消による都市交通の円滑化。
5.関連道路の再編整備
都市計画道路の構造変更や拡幅、高架側道整備による道路ネットワーク再構築。
鉄道と道路の立体交差化による安全で円滑な交通環境の確保。
6.土地区画整理と周辺整備
約2.0haを対象とする加納・茶所統合駅周辺土地区画整理事業の実施。
狭小道路や密集市街地の改善による防災性向上と快適な市街地形成。
7.総合的な都市再生効果
高架下空間活用や河川改修と連動した多面的なまちづくりの展開。
交通・防災・環境の各面を強化する岐阜市南東部の都市再生プロジェクト。

岐阜市中心部には、東海旅客鉄道の東海道本線・高山本線と、名鉄名古屋本線・各務原線が集中しており、鉄道による市街地の分断や多数の踏切の存在が長年の課題となってきました。JR線については昭和55年度に都市計画決定がなされ、平成10年度に高架化が完了。これによりJR岐阜駅周辺では駅前広場整備や再開発が進み、都市機能の更新が図られました。
一方、名鉄名古屋本線の高架化については昭和45年度に調査着手、その後、都市計画審議会での審議や沿線住民会議の設立などを経て、平成11年度に新規着工準備採択。平成24年度・26年度には整備方針の見直しが行われ、最終的に全区間一括施行へと方針転換されました。令和元年度には岐阜県・岐阜市・名古屋鉄道の3者による覚書が締結され、令和2年3月31日に都市計画決定、令和4年2月28日に都市計画事業認可を受け、本格的に事業が始動しています。

名鉄名古屋本線加納駅・茶所駅付近連続立体交差事業は、都市高速鉄道として名鉄名古屋本線を高架化するもので、計画延長は約2,320m、構造形式は嵩上げ式約2,080m、地表式約240mです。施工方法は複線仮線方式を採用し、列車の運行を継続しながら段階的に高架化が進められます。
対象駅は、現在の加納駅と茶所駅を統合した(仮称)統合駅です。これにより駅間距離や利用動線の最適化を図り、新たな交通結節点としての機能強化を目指します。また、都市計画道路4路線(うち新規1路線)を含む関連道路整備も同時に進め、鉄道と道路の交差構造を抜本的に改善します。


事業の大きな目的の一つが、13か所の踏切の除却です。対象には、ピーク時の遮断時間が1時間あたり40分以上となる「開かずの踏切」や、自動車交通量と遮断時間の積が5万台時/日以上となる「ボトルネック踏切」が含まれています。
踏切の存在は、慢性的な交通渋滞や救急車両の遅延、踏切事故のリスクを招いてきました。高架化により道路と鉄道が立体交差化されることで、車両・歩行者ともにスムーズな通行が可能となり、都市交通の信頼性と安全性が大きく向上します。あわせて、これまで分断されていた市南東地域の往来が容易になり、地域経済の活性化も期待されます。


加納駅と茶所駅を統合する(仮称)統合駅の整備とあわせ、約2.0haを対象とした「加納・茶所統合駅周辺土地区画整理事業」が実施されます。施行者は岐阜市で、事業期間は令和4年度から令和20年度までを予定しています。
駅前広場(約2,300㎡)や都市計画道路の整備を通じて、安全・安心で利便性の高い交通環境を形成するとともに、狭小道路や木造住宅が密集する地区の改善を図ります。これにより、防災性の向上や地区内交通の円滑化が進み、統合駅を核とした新たな都市拠点の形成が期待されています。


名鉄名古屋本線加納駅・茶所駅付近連続立体交差事業では、鉄道高架化と並行して複数の都市計画道路の構造変更や拡幅が行われます。高架側道9号線から19号線までの整備や、岐阜笠松線、城南芋島線などの交差構造変更により、地域内道路ネットワークの再編が進められます。
また、一級河川境川と名鉄名古屋本線が交差する箇所では、河川断面が小さく氾濫の恐れがあることから、橋梁の架け替えや河床掘削を行う「境川河川改修事業」もあわせて実施されます。さらに、(都)岐阜駅那加線では幅員約3.6mと狭隘な区間の拡幅を行い、安全な通行空間を確保します。これらの事業を一体的に進めることで、交通・治水・防災を総合的に強化します。

名鉄名古屋本線の高架化により、踏切渋滞や事故の解消、騒音・振動の改善、交通流動の円滑化など、多面的な効果が見込まれます。特にカーブの緩和による走行環境の改善は、沿線の生活環境向上にも寄与します。
さらに、高架下空間の有効活用も大きな可能性を秘めています。商業施設や公共施設、地域交流スペースなどへの活用により、新たなにぎわい創出が期待されます。統合駅を中心とした土地区画整理と連動することで、分断されてきた市街地が再びつながり、災害に強く、快適で活力ある都市空間へと再編されていきます。本事業は単なる鉄道の高架化にとどまらず、岐阜市南東部の将来像を描き直す総合的な都市再生プロジェクトとして、今後の進捗が注目されます。
出典・引用元:岐阜県/岐阜市 名古屋鉄道名古屋本線加納駅・茶所駅付近連続立体交差事業
最終更新日:2026年2月16日