静岡県磐田市の御厨駅周辺では、ヤマハ発動機本社エリアにおける新社屋2棟建設と、鎌田第一土地区画整理事業をはじめとする都市基盤整備が並行して進められ、業務集積と居住機能、交通結節点が一体となった新たな都市拠点の形成が進行しています。
ヤマハ発動機は老朽化・分散化した本社機能の再編と働き方改革への対応を目的に、2026年から新社屋建設に着手し、2028年の竣工を予定しています。一方、御厨駅は地域住民の長年の要望により2020年3月14日に開業し、駅を核とした100ha超の区画整理事業によって住宅地や道路、公園などの整備が段階的に進められてきました。企業投資と地域主体のまちづくりが相互に連動することで、御厨駅周辺は磐田市東部の成長エリアとして存在感を高めつつあります。
→ヤマハ発動機株式会社 ヤマハ発動機本社エリアの新社屋2棟建設について
御厨駅周辺の開発概要
1.ヤマハ発動機本社エリア再編の本格化
老朽化・分散化した本社機能の集約と再構築による業務効率化と組織連携の強化。
企業競争力の持続的向上を見据えた戦略的本社再編の推進。
2.新社屋2棟建設による中枢機能の集約
コーポレート棟と品質保証センターの新設による本社機能の集中的配置。
2026年着工、2028年竣工予定の計画的施設更新。
3.働き方改革に対応したオフィス環境整備
部門横断の交流促進と柔軟な働き方を支える空間構成の導入。
創造性と生産性の両立を図る次世代型オフィスの形成。
4.環境性能・防災性能を備えた建築計画
免震構造とZEB Ready水準による事業継続性と脱炭素への対応。
環境配慮と運用効率を両立する企業施設モデルの構築。
5.鎌田第一土地区画整理事業による都市基盤整備
道路・宅地・公園・調整池整備を伴う計画的市街地形成。
将来人口1,700人規模を想定した居住環境の拡充。
6.地域主体で進められてきた長期的まちづくり
高い地元同意率を背景とする持続的合意形成型事業の推進。
歴史・自然と調和した生活圏整備の継続。
7.御厨駅を核とした交通結節点と拠点形成
請願駅として誕生した新駅による通勤・通学利便性の向上。
企業立地と住宅地形成を結ぶ地域成長拠点の確立。

ヤマハ発動機は、磐田に本社機能を移転してから50年以上にわたり、世界的な輸送用機器メーカーとしてモノづくりの中核拠点として本社エリアを発展させてきました。しかし、既存社屋は老朽化が進み、部門や設備が複数棟に分散していることから、業務効率や組織連携の面で課題を抱えていました。加えて、コロナ禍を経て定着した在宅勤務と出社を組み合わせた働き方への対応も求められていました。
こうした背景から、本社エリア内の機能部門を集約し、より柔軟で交流を促進するオフィス環境を構築するため、新社屋建設が決定されました。業務の効率化だけでなく、部門間のコミュニケーション活性化による価値創出を狙いとし、企業競争力の強化を目的とした戦略的な本社再編と位置付けられています。

建設が予定されているのは、「コーポレート棟(仮称)」と「品質保証センター」の2棟で、いずれも2026年着工、2028年春頃の完成を見込んでいます。コーポレート棟は地上8階建て、延床面積27,524㎡、高さ約41mの鉄骨造で、コーポレート機能の中核拠点となります。オフィスコンセプトには「Waku Work!」が掲げられ、部門を越えた交流を促す動線計画や、心身の健康に配慮した職場環境の整備が図られます。免震構造の採用により事業継続性を高め、CASBEEランクS、ZEB Ready水準の環境性能確保も目指しています。
一方、品質保証センターは地上6階建て、延床面積11,444㎡で、現在7棟に分散している品質保証関連部門・設備を集約する施設です。法規対応や製品品質を支える中核拠点として、業務効率化と部門間連携の強化、品質に関する知見の共有促進を担います。こちらもZEB Ready水準の省エネ性能を備え、企業の品質戦略と環境配慮を同時に支える施設として整備されます。

御厨駅周辺では、東部地区・新貝地区・鎌田第一地区の3地区から成る100ha超の大規模区画整理が進められており、鎌田第一地区はその一角を担う約25haの事業区域です。市内東部工業団地に隣接する立地特性を持ち、職住近接型の市街地形成が計画されています。施行期間は平成21年から令和15年度までと長期に及び、道路築造、宅地造成、調整池整備、建物移転補償などが段階的に実施されています。
将来人口は約1,700人と想定され、施工前の人口から大幅な増加が見込まれています。住宅地整備とともに、公園や緑地の配置、歩行者動線の確保など、生活環境の質を高める基盤整備が重視されている点も特徴です。地域住民主体の合意形成を重ねて進められてきた経緯から、地域コミュニティと一体となったまちづくりが継続していることも、他地区の区画整理と比べた際の大きな特徴となっています。

御厨駅は、地域住民の請願を起点に設置が実現したJR東海道本線の新駅で、2020年3月14日に開業しました。静岡県内の東海道本線での新駅設置は愛野駅以来19年ぶりで、ヤマハスタジアムでのイベント時の混雑にも対応できるよう、幅の広いホームと南北自由通路を備えた橋上駅舎として整備されています。東海道新幹線を跨ぐ自由通路により、駅周辺の南北市街地の分断解消にも寄与しています。
北口広場には「ヤマハ発動機Revsサークル」が整備され、企業と地域を象徴的につなぐ空間となっています。駅開業により、通勤・通学の利便性向上だけでなく、周辺の住宅地整備や商業・業務機能の立地促進にも波及効果が生まれました。区画整理事業と連動した駅前空間の形成により、御厨駅は単なる通過駅ではなく、生活と産業を支える地域拠点としての役割を強めつつあります。
最終更新日:2026年1月9日