名古屋市科学館では、科学教育の充実と都心のにぎわい創出を目的として、「B6形蒸気機関車等展示施設」の整備を進めてきました。本施設の正式名称は「鉄道ひろば」となり、一般公開は2026年3月28日(土)に開始されることが公表されています。
整備場所は、名古屋市中区・白川公園(芸術と科学の杜)内の名古屋市科学館屋外展示場南東側で、約1,200㎡の敷地に鉄道ゾーンや市電ゾーンなどが配置されます。最大の特徴は、明治期に活躍したB6形蒸気機関車を圧縮空気による安全な「動態展示」として再生し、実際に車輪が動く姿を通じて蒸気機関の仕組みを体験的に学べる点です。
加えて、昭和初期に名古屋で製造された客車や、希少性の高い供奉車、名古屋市電車両なども展示され、鉄道と都市の歩みを多角的に伝える屋外学習拠点として期待されています。
→名古屋市科学館 B6形蒸気機関車等展示施設の名称及びオープン日が決まりました
名古屋市科学館 鉄道ひろばの概要
1.鉄道ひろばの正式名称決定と公開時期
名古屋市科学館に整備されるB6形蒸気機関車等展示施設の正式名称が「鉄道ひろば」に決定。
2026年3月28日から一般公開開始となる新たな屋外展示拠点の誕生。
2.整備場所と敷地構成の特徴
名古屋市中区・白川公園内、名古屋市科学館屋外展示場南東側に位置する約1,200㎡の整備区域。
鉄道ゾーン、市電ゾーンなどを配置した回遊性の高い空間構成。
3.B6形蒸気機関車の動態展示の導入
明治期に活躍した貴重なB6形蒸気機関車を圧縮空気で安全に稼働させる動態展示。
実際に動く車両を通じて蒸気機関の仕組みを体験的に学ぶ展示手法。
4.多様な実物車両による歴史展示
昭和初期に名古屋で製造された客車、希少性の高い供奉車、名古屋市電車両の実物展示。
鉄道技術と都市発展の歩みを立体的に伝える展示構成。
5.科学教育と体験学習の強化
動態展示と視覚演出を組み合わせた直感的な学習環境の整備。
子どもから大人まで科学やものづくりへの関心を高める教育機能。
6.白川公園との一体的な空間形成
「芸術と科学の杜」を形成する白川公園との連携による開放的な学習・交流空間。
散策・レクリエーションと学習体験が融合する都市公園型展示環境。
7.都心におけるにぎわい創出と観光効果
地下鉄駅から徒歩圏という高いアクセス性を生かした来訪者増加の期待。
科学館の集客力と屋外展示の相乗効果による都市魅力の向上。

「鉄道ひろば」は、名古屋市科学館が重視する体験型学習の理念を、屋外空間に広げる取り組みとして計画されました。館内展示で培われてきた「見て理解する」学習に加え、実物車両を間近で体感することで、より直感的に科学や技術への関心を高めることを狙っています。

施設コンセプトは「LIVE!時を超える鉄道の旅」で、実際に車輪が動く演出や汽笛・スモークなどの演出を通じて、鉄道が持つダイナミズムと歴史性を体感できる構成となっています。大型シースルーLED映像と実物機構を重ねて観察できる点も特徴で、蒸気機関の仕組みやエネルギー変換の流れを視覚的に理解できる工夫が施されています。
単なる保存展示ではなく、科学技術と産業発展の関係を「体験」を通じて学べる教育拠点として位置付けられています。

展示の中心となるB6形蒸気機関車は、1890(明治23)年から1906(明治39)年にかけて世界で533両が製造された、近代鉄道を代表する機関車です。名古屋市科学館に保存されている車両は、現存するドイツ製B6形として唯一の存在であり、中央線や武豊線、高山線などで実際に活躍した歴史を持っています。

長年屋外展示されていた同車両は、2016年から本格的な調査・修復が行われ、圧縮空気によって安全に駆動する動態保存車両として再生されました。「鉄道ひろば」では、連結棒や車輪の動きを間近で観察できるだけでなく、透過型LED映像による内部構造の解説と組み合わせることで、力学や機械構造、エネルギー変換の仕組みを立体的に学ぶことができます。実物スケールでの体験は、教科書や映像では得られない学習効果を生み、理科教育・工学教育の深化にも寄与するものとされています。


「鉄道ひろば」では、B6形蒸気機関車に加え、近代日本の鉄道技術と都市文化を象徴する複数の車両が展示されます。オハ35 2001号は、1939年に名古屋市熱田区の日本車輛製造で生産された鋼製客車で、木製客車から鋼製客車へ移行する技術革新の時代を伝える資料です。
供奉車344号は、皇族に随行する人々が利用した特別車両で、全国的にも展示例が少なく、名古屋市科学館ならではの貴重なコレクションとなっています。内装や構造から、当時の社会制度や設計思想を読み取ることができます。さらに、名古屋市電1401号は、市内交通を支えた路面電車の歴史を今に伝える存在であり、都市交通の変遷や街の成長過程を実感できる展示となっています。

名古屋市科学館は、世界最大級のプラネタリウムを擁する総合科学施設として、多くの来館者を集めてきました。「鉄道ひろば」は、その集客力と教育機能を屋外へ拡張し、館内展示との回遊性を高める役割を担います。
立地する白川公園は、名古屋市美術館と一体となった文化・学習ゾーン「芸術と科学の杜」を形成しており、緑豊かな都市公園の中で学習とレクリエーションを同時に楽しめる環境が整っています。実物鉄道車両が並ぶ景観は、来園者の滞在時間を延ばし、周辺エリアへの回遊促進にもつながります。地下鉄伏見駅・大須観音駅から徒歩圏という高いアクセス性も、観光・教育利用の拡大を後押しします。

「鉄道ひろば」は、令和8年3月27日(金)に開設記念セレモニーおよび内覧会、3月28日(土)・29日(日)にオープニングイベントが予定されています。動態展示の公開や体験型プログラムなど、幅広い世代が楽しめる企画展開が期待されます。
名古屋市科学館の安定した集客力と、白川公園の開放的な空間が組み合わさることで、都心における新たな交流・学習拠点としての役割が強化されます。科学教育の高度化、観光振興、都市ブランドの向上という複数の効果を同時に生み出すプロジェクトとして、今後の運営展開や周辺施設との連携にも注目が集まります。
最終更新日:2026年1月15日