令和7年7月8日、国土交通省内にて中野洋昌国土交通大臣は、イタリアのマッテオ・サルヴィーニ副首相兼インフラ運輸大臣と会談を行い、全長3,666メートルで世界最長の吊橋となる「メッシーナ海峡大橋プロジェクト」に関する「長大橋の建設、運営・維持管理に関する協力覚書」に署名しました。この協力覚書は、両国が長大橋の建設およびその運営・維持管理について知見を共有し、技術的・運営的側面での相互協力を強化することを目的としています。今後は、定期的な会合や情報交換を通じて両国間のパートナーシップをより一層深め、同プロジェクトの成功に向けて連携していくことが期待されています。
→国土交通省 中野大臣はイタリア・サルヴィーニ副首相兼インフラ運輸大臣と「長大橋の建設、運営・維持管理に関する協力覚書」に署名しました~世界最長の吊橋となるメッシーナ海峡大橋プロジェクトに協力します~
メッシーナ海峡大橋の概要
1. 覚書締結の背景と目的
令和7年7月8日、国土交通省の中野大臣とイタリアのマッテオ・サルヴィーニ副首相が会談し、メッシーナ海峡大橋の建設・運営・維持管理に関する協力覚書に署名。両国は長大橋技術の共有と相互支援を目的にパートナーシップを強化することを確認した。
2. メッシーナ海峡大橋の概要と特徴
世界最長の吊橋となる予定で、全長3,666メートル、中央径間3,300メートル。道路6車線と鉄道複線を併設し、橋塔の高さは399メートルと非常に高い。構造は安全性・耐久性を重視した最新鋭の設計。
3. 日本の技術力の貢献
日本は明石海峡大橋をはじめ世界有数の長大橋建設技術と維持管理ノウハウを保有しており、それをイタリア側に提供。耐震設計や施工技術、運営ノウハウを共有し、プロジェクトの安全・効率的な実施を支援。
4. プロジェクトの歴史的背景
古代から橋の建設案が存在し、近現代では1950年代以降に具体的計画が進展。2000年代に建設が開始されるも、中断を繰り返し、2023年に事業再開が決定。長期にわたる課題や地域事情を経て再始動。
5. 環境保護と安全対策
潮流や地震リスクが高い海峡で、環境影響評価を実施し自然環境保護を重視。耐震技術を日本のノウハウを活用して採用し、安全基準を高く設定。環境への配慮と安全性確保に注力。
6. 今後の協力体制と情報共有
覚書に基づき、定期的な会合や技術交流を実施。建設・維持管理に関する情報共有や共同検討を通じて両国の技術水準向上を図り、円滑なプロジェクト遂行を目指す。
7. 経済・社会的意義と将来展望
完成後はシチリア島とイタリア本土をつなぎ、交通網の強化と地域経済活性化に寄与。ヨーロッパの重要な鉄道・道路ネットワークの一部となり、国際協力のモデルケースとしても期待される。

メッシーナ海峡大橋は、シチリア島とイタリア本土を結ぶ全長約3,666メートルの吊橋で、中央径間が3,300メートルと世界最長の吊橋になる予定です。このプロジェクトは、2012年に一度中止されたものの、2023年にジョルジャ・メローニ首相のもとで再び事業再開が正式に決定されました。イタリア政府は、この巨大インフラ事業を通じて南イタリアの交通ネットワークの改善と地域経済の活性化を目指しています。
日本はこれまで世界有数の長大橋の建設・運営に関わる豊富な経験と技術を有しており、特に1998年に完成した明石海峡大橋は世界最長の吊橋として知られています。こうした日本の高度な技術力や維持管理のノウハウをイタリア側に提供することで、メッシーナ海峡大橋の安全性や耐久性、効率的な運営を支援し、プロジェクト成功に貢献することが期待されています。

メッシーナ海峡大橋は、橋の総延長が3,666メートル、中央の吊り橋部分の長さは3,300メートルに達します。橋の幅は60.4メートルで、2本の巨大な橋塔は地上から399メートルの高さに及び、世界の吊橋の中でも群を抜いて高い構造物となります。主ケーブルは直径1.26メートル、44,323本の鋼線で構成され、耐久性と安全性を確保します。
また、橋のデッキ部分は道路と鉄道の複合構造で設計されており、6車線(片側3車線)の道路と複線の鉄道線路が並設されます。これにより、1日あたり最大で6,000台の車両と200本の列車が安全に通行可能となり、24時間365日、絶え間なく利用できるインフラとして機能します。


メッシーナ海峡を橋で結ぶアイデアは古く、古代ローマ時代から議論されてきました。ローマの博物学者プリニウス・セクンドゥスは、船と樽を繋げて橋とする計画を記録していますが、潮流や交通の特性から実現しませんでした。
20世紀に入ると詳細な地質調査や構造計画が進み、1950年代には吊橋の具体案も出されました。1990年代には現代的な吊橋設計が完成し、2000年代に入ってからはイタリア政府がプロジェクトを推進し、2006年には建設開始の準備が整いました。しかし、その後の財政問題や地震リスク、地域の反対意見、マフィアの影響懸念などの課題により計画は再三中断されました。
2023年に事業再開が法的に承認されてからは、最新技術を取り入れた設計の見直しや環境保護対策が強化され、地元住民や専門家の意見も反映させた形でプロジェクトは再出発しています。

メッシーナ海峡周辺は強い潮流や深い水深、さらには地震多発地域であり、環境保全や安全確保が極めて重要です。最新の環境影響評価では、多数の環境保護対策や自然再生プランが盛り込まれ、再森林化や生息地の復元などが予定されています。これにより、生態系への影響を最小限に抑えながら建設を進める計画です。
また、構造設計は日本の耐震技術を参考に、地震に強い吊橋として設計されています。既に多くの吊橋が地震多発地域で耐震性能を証明していることから、メッシーナ海峡大橋も高い安全基準で建設される見込みです。地質学的調査も専門機関によって行われ、橋脚の設置場所は地震や地盤の安定性が確認されています。

今回の協力覚書は、日本とイタリアが長大橋技術の分野で互いに協力し合う画期的な取り組みとなります。定期的な会合や技術交流を通じて、設計・建設・運営に関する知識共有を推進し、両国の技術力向上やプロジェクトの円滑な進行に寄与します。
メッシーナ海峡大橋はヨーロッパの交通インフラの要所として、さらにはベルリン~パレルモを結ぶ鉄道軸の一部としても重要な役割を果たします。完成後は経済活性化や地域統合の促進にも大きく貢献することが期待されており、日本の技術支援はその成功を支える重要な柱となります。両国の協力関係は今後さらに深化し、長大橋の建設を通じて技術革新と地域発展を促進する国際的なモデルケースとなるでしょう。
最終更新日:2025年7月13日

