米国のメディア大手・コムキャストNBCユニバーサルは、英国・ベドフォードにて、ヨーロッパで初めてとなるユニバーサル・ブランドのテーマパーク&リゾートを建設する計画を正式に発表しました。本プロジェクトは、ユニバーサルのテーマパーク部門「ユニバーサル・デスティネーションズ&エクスペリエンス」によって設計・運営される予定で、総面積は476エーカー(約1.93平方キロメートル)にもおよぶ壮大な敷地となります。
ロンドンから電車でわずか35分という好アクセスに加え、周辺の高速道路網との接続性も高く、イングランド人口の約80%、イギリス全体の人口の約半数が2時間以内に来園可能な立地にあることから、開業初年度には約850万人の来場者が見込まれています。2031年のオープンを目指し、英国最大級、さらには欧州最大級の観光施設となる可能性を秘めています。
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英国・ベドフォード ユニバーサルテーマパーク計画の概要
- ユニバーサル、欧州初のテーマパーク計画
アメリカのメディア大手・コムキャストNBCユニバーサルによる、イギリス・ベドフォードでのユニバーサル・ブランド初の欧州進出プロジェクト。 - 476エーカーに及ぶ広大な敷地
旧レンガ工場跡地を活用した敷地面積476エーカー(約1.93平方キロメートル)の広さを誇り、将来的には700エーカー以上への拡張も視野に入れる計画。 - 優れた交通アクセス
ロンドン中心部から電車で35分という好立地に位置し、イングランド人口の約8割が2時間以内でアクセス可能という利便性を持つ。 - ホテル・商業・エンタメ施設の併設
500室規模のホテル、ショッピング施設、飲食店、エンターテインメントエリアを含む複合型リゾートとして設計されている。 - 2031年開業を目指す長期プロジェクト
2026年に建設開始、2031年の開業を目指す一大開発計画であり、英国最大級の集客力を持つ観光施設となる見通しである。 - 地域経済への大規模な波及効果
約28,000人の雇用創出を見込み、その8割を地元人材が占める予定。2055年までに約500億ポンドの経済効果が期待されている。 - ユニバーサルのグローバル展開の一環
米国内でのテーマパーク拡張に続き、欧州市場への本格進出を果たす戦略的プロジェクトとして位置づけられている。

新たに建設されるユニバーサル・リゾートには、ユニバーサル映画を象徴する数々のフランチャイズをテーマにしたアトラクションが導入される予定です。例えば、「ミニオンズ」や「ジュラシック・パーク」、「E.T.」、「カンフー・パンダ」など、世界中で親しまれている作品の世界を体験できるほか、ワイルド・スピードや、ユニバーサルがウォーナー・ブラザーズと提携して展開している「ハリー・ポッター」の世界も再現される可能性があります。
また、テーマパークに併設される500室規模のホテルや、ショッピング、ダイニング、エンターテインメント施設も魅力のひとつです。これらの施設は、単なる遊園地ではなく、“一日中楽しめる滞在型リゾート”としての完成度を高めるものとなります。世界トップクラスのテクノロジーと物語性に裏打ちされた演出により、訪れる人々を“物語の世界へ完全に没入させる”体験を提供することが目指されています。

テーマパークの建設予定地は、かつてのレンガ工場跡地という広大な敷地で、ユニバーサルが2023年に取得済みの476エーカーを中心に構成されます。将来的には、さらに周辺土地を取得することで、700エーカー以上に拡張される可能性もあり、これはユニバーサルの他のパークを凌ぐ規模となる見通しです。
このエリアは既存のウィクサムズ駅に加え、イースト・ウェスト・レール線上に新駅を整備する計画も含まれており、ロンドンを含む国内主要都市とのアクセスが一層向上します。また、高速道路A421からの専用スリップロード(出入口)も新設される予定で、マイカー利用の利便性も確保されます。これにより、イギリス国内のみならず、ヨーロッパ中から訪れる観光客にも対応できる、欧州全体のハブ的存在としてのポテンシャルが期待されています。
英国政府による全面的な支援のもと、ユニバーサル・テーマパークの建設は地域経済に多大な影響を与えることが予想されています。首相キーア・スターマー氏は本プロジェクトについて、「英国に雇用と投資、そしてなにより喜びをもたらすものであり、これは未来に向けた非常に明るい一歩だ」と述べ、政府として周辺インフラに対する大規模投資を行う方針を表明しました。
完成後には約28,000人の雇用が新たに創出され、その8割が地元住民から採用される見通しです。これは、政府が推進する「オックスフォード・ケンブリッジ回廊」の経済成長戦略の一環としても位置づけられており、イースト・ウェスト鉄道との連携を通じて中部イングランド全体の活性化が期待されています。財務大臣レイチェル・リーヴス氏は、「このプロジェクトは英国がビジネスを行うにふさわしい場所であることを世界に示すものであり、経済成長の強力な推進力となる」と述べ、長期的には2055年までに約500億ポンド(約9.4兆円)の経済効果を見込んでいます。
ユニバーサルは、コムキャストの一部門であり、フロリダ州オーランドに本社を構え、世界各地に5つのエンターテイメントおよびリゾート複合施設を展開しています。それらはロサンゼルス、大阪、中国、シンガポールに位置しており、英国・ベドフォードが欧州初の進出となる見込みです。

ユニバーサル・テーマパーク建設予定地は上のマスタープラン図の紫色エリアの雇用地域に位置しています。イギリス・ベドフォードのユニバーサル・テーマパーク建設予定地周辺では、新たな住宅地や公共施設、インフラを含む広域な都市開発計画が進められています。この地域はベッドフォード・ボローおよびセントラル・ベッドフォードシャーにまたがり、最大で7,500戸の住宅供給が予定されており、東西を結ぶEWR(イースト・ウエスト・レール)へのアクセス性を活かした交通利便性の高い開発が想定されています。
具体的には、ウィクサムズ南部および東部において、それぞれ政策HOU15・HOU16として位置づけられ、緑地整備や低炭素型まちづくり、教育施設や公共交通の整備、歴史的資産の保全などが計画に盛り込まれています。また、モビリティハブやバス路線の拡充、自転車・歩行者向けネットワークの整備によって、周辺エリアとの一体的な都市構造が目指されています。今後、気象研究施設や既存住民への影響を考慮しつつ、持続可能で調和の取れた地域開発が推進されていく見込みです。
最終更新日:2025年4月12日