つくばエクスプレス(TX)「万博記念公園」駅周辺で開発が進む島名・福田坪一体型特定土地区画整理事業は、総面積242.9ha、計画人口約15,000人を抱えるTX沿線最大級の大規模都市開発プロジェクトです。2005年のつくばエクスプレス開業が大きな契機となり、駅周辺では農地主体のエリアから段階的に都市基盤が整備され、宅地の利用開始も着実に進んでいます。2025年時点では、宅地全体の約75%が使用可能となり、新たな住宅街や学校、道路整備を中心とした市街地形成が視覚的にも鮮明になってきました。
開発方針は、商業・業務機能を持つ駅前エリアと、田園環境を活かした住宅地の形成を両立させる点に特徴があり、緑地を多く配置する「自然と調和する都市構造」が重視されています。一方で、商業施設の立地数はまだ限られており、今後の人口増加や交通利便性の向上と連動した商業集積が地域活性化の鍵となる状況です。事業期間は令和11年度(*茨城県HPでは令和14年度)まで続く長期計画であり、つくば市北部における生活・子育て・交流の新たな拠点としての発展が期待されています。
→つくばエクスプレス沿線のまちづくり 島名・福田坪地区-万博記念公園駅周辺-
→茨城県 島名・福田坪地区
島名・福田坪一体型特定土地区画整理事業の概要
1.大規模に進む土地区画整理事業
TX万博記念公園駅周辺で展開される242.9haの都市開発。
長期計画に基づく新たな住宅・生活拠点の形成。
2.多様な用途が組み合わさる土地利用計画
商業・業務・住宅など12区分に整理された土地利用。
田園環境と都市機能を調和させた街区構成。
3.景観と安全性を高める地区計画の建築ルール
建ぺい率・高さ・色彩などを細かく定めた建築基準。
統一感のある街並みづくりと修景義務による美観確保。
4.利用者増が続く万博記念公園駅周辺の変遷
農地中心から都市的環境へ変化した駅周辺の土地利用。
モニュメントを備えた地域の象徴的空間の形成。
5.継続的に進む住宅開発と人口定着
マンション建設を中心とした居住環境の整備。
新規供給による駅近の利便性向上と定住促進。
6.進展する道路整備と生活基盤の充実
歩行者橋や主要道路の建設による交通利便性の向上。
学校・公園整備による暮らしやすさの向上。
7.香取台吉祥公園による地域交流の創出
散策路や緑地を備えた生活動線の補完拠点。
地域交流と防災性を高める公共空間の形成。

島名・福田坪一体型特定土地区画整理事業は、平成12年度にスタートし、令和11年度までの約30年以上にわたって段階的に整備が行われる大規模プロジェクトです。施行面積は242.9haと広大で、茨城県が施行者となり、総事業費は約481億円に達します。計画人口は約15,000人で、つくば市の北部における新たな都市拠点を創出する役割を担います。

土地の平均減歩率は40.10%で、公共施設や道路空間の整備に必要な用地を計画的に確保しながら、市街地機能を高める仕組みが採用されています。インフラ整備・供給は、つくば市、東京ガス、東京電力パワーグリッド等がそれぞれ担当し、上下水道・電力・ガスを同時進行で配置。TXの開業と歩調を合わせて都市基盤を整える体制が整っており、計画性の高い街づくりが進められています。


本地区では、公共用地が約31.2%、宅地用途が約68.8%と明確に配分され、高密度な駅近エリアから外周に向かうにつれて低い密度へと段階的に変化していく都市構造となっています。用途区分は12に細分化され、商業業務A・B地区、誘致施設地区、一般住宅地区、緑地保全型民有緑地など多様なエリアが設定されています。


駅周辺は商業・業務機能や高密度な共同住宅を誘導し、将来的には生活利便施設や医療・公共サービスの集積が期待されます。一方、区画周縁部は既存の田園景観を維持しつつ、落ち着いた住宅地が形成されるなど、自然との共存もテーマの一つ。TX沿線開発方針で掲げられる「緑被率30%以上」の確保も視野に入れ、緑地や公園の配置が随所に盛り込まれています。

地区計画に基づき、建築物の建ぺい率、敷地面積、容積率、高さ制限、壁面後退など、都市景観を守るためのきめ細かなルールが設定されています。周囲との調和を保ち、街並みの統一感を高める取り組みが進められています。
また、エアコン室外機や駐車場の道路側設置には修景義務が課せられ、周囲からの見え方に配慮した配置が求められています。このような基準により、景観の調和と住環境の質が維持され、計画的かつ統一された住宅地・商業地の形成が期待できます。

2025年に開業20周年を迎えるつくばエクスプレスの中でも、「万博記念公園」駅は、整備前は農地・林地が広がるのどかな地域でした。1991年時点では小麦・トウモロコシ・サツマイモなどを栽培する農地が中心で、未利用地も多く、現在とはまったく異なる土地利用でした。

開業時の1日平均乗車人数は約700人とTX全駅で最少でしたが、周辺住宅地の整備が進むにつれ増加。2008年には約1,600人、2023年度には3,575人に達し、右肩上がりの成長を続けています。駅前の広場には、岡本太郎作のモニュメント「未来を視る」が設置され、地域の象徴的存在となり、人々の交流を支えるランドマークの役割も果たしています。


住宅開発は2000年代後半から本格化し、駅周辺には「ガレリアヴェール」「アデニウムつくば万博記念公園」など、複数の大規模マンションが誕生しました。これらはファミリー層を中心に人気を集め、駅周辺人口の定着に大きく寄与しました。
現在は、積水化学工業による「ハイムスイートつくば万博記念公園」が分譲され、新たな目玉プロジェクトとなっています。地上13階、総戸数112戸で、駅徒歩3分という利便性の高さが特徴。カーシェアリングや平置き駐車場、共用ラウンジなど最新の暮らしに対応する設備を備え、子育て世帯からシニアまで幅広いライフスタイルに対応しています。

2023年3月〜2024年3月の1年間で、香取台小学校周辺や地区南側E・F街区などが新たに使用収益開始となり、宅地利用の範囲が大きく広がりました。これにより、宅地約130haのうち約97ha、全体の約75%が利用可能となっています。
新しい道路や公園の整備が進んだことで住宅建設も加速。未利用区域についても主要道路の完成とともに供用開始が見込まれており、今後数年で街並みの形成がさらに進むと予想されます。


地区内・周辺の道路整備も順調に進んでいます。TX沿線では、自転車・歩行者専用橋「諏訪南橋」が建設され、谷田部側から万博記念公園駅方面への通学・通勤動線が大幅に短縮され、地区間移動の利便性が向上しています。
また、幅員16mの「島名原新田線」は区域内では供用開始されており、さらに、県道土浦坂東線、新都市中央通り線、国道354号バイパスなどの幹線整備も進められ、広域交通アクセスの改善によって住宅地としての魅力が高まりつつあります。


現時点では駅を中心に商業施設が点在するのみで、研究学園駅周辺のような本格的な商業集積には至っていません。しかし、高山学園つくば市立香取台小学校の開校や複数の公園整備により、生活に必要な基盤は徐々に整いつつあり、子育て支援の環境は向上しています。


また、圏央道つくば西スマートICが近接しているため、広域交通における利便性は高く、物流・サービス産業の誘致にも適した立地条件を備えています。将来的には人口増加を背景に商業施設の進出が加速する可能性があります。


本地区は、TXの開業効果を最大限活かし、住宅・商業・業務を複合させた新たな北部拠点の形成を目指しています。マンション供給が進み居住人口が増えることで、商業サービスやクリニック、教育関連施設など、暮らしを支える機能の充実が期待されます。

土地区画整理事業は令和11年度に完了予定で、今後5〜6年は街の骨格が完成する重要な期間となります。「田園と都市が共存する新しい郊外拠点」を掲げたまちづくりが着実に進行しており、つくば市北部の発展を牽引する核となることが見込まれています。
最終更新日:2025年12月14日

