JR東日本大宮支社と川口市は、川口駅における鉄道輸送力の強化や駅周辺の利便性向上を通じて、地域の発展と関係人口の拡大を目指すため、「川口駅上野東京ラインホーム及び自由通路等整備に関する基本協定」を締結しました。本協定に基づき、上野東京ラインのホーム整備をはじめとする駅機能の強化と、自由通路や駅ナカ商業施設の整備が進められる予定です。これにより、通勤・通学の混雑緩和や街全体の魅力向上、さらには関係人口の拡大を図られます。
→東日本旅客鉄道株式会社 川口駅上野東京ラインホーム及び自由通路等整備に関する基本協定を締結しました
→川口市 川口駅再整備に向けた検討について
川口駅上野東京ラインホーム及び自由通路等整備事業の概要
- 基本協定の締結
JR東日本大宮支社と川口市が、「川口駅上野東京ラインホーム及び自由通路等整備に関する基本協定」を締結。 - 輸送力の強化
上野東京ライン用の新ホームを整備し、混雑緩和と中距離電車の停車を実現。 - 自由通路の整備
駅東西を結ぶ自由通路を新設し、バリアフリーで快適な移動環境を提供。 - 回遊性と利便性の向上
駅周辺の移動が円滑になり、まち全体の回遊性と利便性が大幅に向上。 - 駅を中心とした拠点づくり
新たな商業施設の整備などにより、駅を中心とした都市機能を再構築。 - 持続可能なまちづくり
JRと市が連携し、長期的な運営と管理体制を構築、地域の発展を支える。 - 関係人口の拡大と地域活性化
利便性向上により来訪者や定住者が増加し、川口の都市魅力が高まる。

本事業は、川口駅に新たに上野東京ライン用のホームを整備することで、鉄道輸送力の増強を図るとともに、自由通路の整備を通じて駅東西の回遊性を高め、利便性と安全性の両立を実現するものです。さらに、商業機能の強化を図る店舗整備も行われ、駅を中心とした新たな交流・生活拠点の形成を目指します。これらの取り組みは、川口駅がこれまで果たしてきた都市の玄関口としての役割をより一層高め、まち全体の魅力向上につながると期待されています。


川口駅では、京浜東北線のみの運行により、通勤・通学時間帯を中心に大きな混雑が常態化しており、列車の遅延や運休時には駅構内や駅前広場が著しく混雑するなどの課題を抱えていました。今回整備される上野東京ライン用ホームは、中距離電車の停車を可能とし、京浜東北線への過度な集中を緩和することで、通勤・通学の快適性が大きく向上します。

また、輸送手段の多様化により、災害時やトラブル発生時の代替性が高まることで、都市としてのレジリエンス強化にもつながります。さらに、東京方面へのアクセス向上により、企業や住民にとっての都市魅力も高まり、定住促進や交流人口の増加も期待されます。


東西のまちを分断していた構造的課題を解消する自由通路の整備は、単なる交通機能の強化にとどまらず、人の流れを大きく変える重要なまちづくり施策です。バリアフリー対応や全天候型の歩行空間により、子育て世代から高齢者まで安心して移動できるようになるほか、駅から商業施設や文化施設、公園へのアクセスも容易になり、日常的な回遊性が高まります。駅を「通過点」ではなく「目的地」とするような利用行動の変化が期待され、まち全体のにぎわい創出にも寄与します。特に、駅を中心としたエリアの活性化により、居住者や来訪者の満足度が高まるとともに、民間投資の呼び込みや新たなビジネスの創出にもつながっていきます。

今回の整備事業は、単なるインフラの更新ではなく、川口駅周辺の将来的なまちづくりの核となる再整備構想の一環として位置づけられています。旧そごう跡地のららテラス川口や栄町地区の樹モールプラザなどの再開発と連動し、商業施設や文化施設、美術館など多様な都市機能がコンパクトに配置されることで、駅を中心とした「歩いて楽しめる」まちの実現が進みます。また、JR東日本と川口市が役割を分担しながら施設整備・維持管理を行うことで、持続可能な都市運営体制が確立されることも大きな成果です。公共空間の質的向上や、まちなかウォーカブルの推進、災害時対応の強化など、多角的な視点から都市機能の向上が図られ、川口の新たな都市価値が創出されていきます。
川口市美術館建設計画

川口市は平成30年に中核市へ移行し、今後も人口増加が見込まれる中で、文化芸術を地域の基盤と捉え、誰もが文化に親しめる環境づくりを推進しています。その一環として、市民の文化芸術活動を支える中核施設となる新たな美術館の建設が計画されました。
平成30年に設置された審議会での検討を経て、令和2年に基本計画がまとめられ、令和4年には川口総合文化センター・リリア西側隣接地が建設地に決定されました。公園内の静かな環境と文化施設の集積による相乗効果が評価され、基本計画が改定されています。
新しい川口市美術館は、川口駅前の好立地を活かし、総合文化センターと一体的に運営される芸術文化の拠点となります。公園との空間的な連続性を大切にしながら、鋳物や植木など川口の伝統産業の技術も活用し、市民に誇られる施設を目指しています。建設地は川口三丁目、敷地面積は約6,236㎡、建築面積は約2,300㎡、延べ床面積は約4,300㎡で、構造は鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造)、地下2階・地上2階建て(法的には地上3階扱いの可能性あり)となる予定です。開館は令和7年度中を目指しています。

美術館は三つのエリアで構成されます。市内外の作家や川口ゆかりの作品を展示し地域の歴史と文化を伝える「アートエリア」、川口のものづくり産業とアーティストを結び付けて新たな創造活動を促進する「ものづくりエリア」、そして映像や現代アートに対応し、展示がない時期にはイベントやパーティーにも活用できる「イベントエリア」が設けられます。
この新美術館は、川口市の文化芸術振興を支える中心拠点として、市民の創造力を育み、地域社会のさらなる活性化に貢献することが期待されています。
最終更新日:2025年4月26日