愛知県尾張旭市は、三郷駅周辺まちづくり事業の推進を目的として、「都市計画道路(三郷歩行者道、三郷駅自由通路)」および「都市計画交通広場(三郷駅北口交通広場)」の都市計画変更を決定し、2026年1月21日に公表しました。これらの都市計画は、2026年1月15日付で正式に決定されたもので、三郷駅前地区第一種市街地再開発事業と連携しながら、駅周辺の歩行者動線の強化、交通結節機能の向上、安全性・利便性の向上を図ることを目的としています。
三郷駅は市内有数の利用者数を有する主要駅である一方、駅前広場や南北動線の不足、踏切によるボトルネックなど、都市基盤面での課題を抱えてきました。今回の都市計画変更により、駅南側に整備される新たな駅前広場と、駅北側に新設される交通広場、そして両者を結ぶ自由通路・歩行者道が一体的に整備される枠組みが明確化され、三郷駅周辺の都市構造を再編する基盤が整うことになります。
三郷駅自由通路・北口交通広場の概要
1.都市計画変更の公表と決定時期
尾張旭市による2026年1月21日の都市計画変更公表および、同年1月15日付での正式な都市計画決定。
三郷駅周辺まちづくり事業の推進を目的とした制度的枠組みの明確化。
2.対象となる都市計画施設の構成
都市計画道路「三郷歩行者道」「三郷駅自由通路」と、都市計画交通広場「三郷駅北口交通広場」の同時決定。
歩行者動線と交通結節点を一体的に再編する都市基盤整備の体系化。
3.駅南北を結ぶ歩行者ネットワークの形成
名鉄瀬戸線によって分断されてきた駅南北を立体的に接続する自由通路および歩行者専用道路の整備。
踏切依存からの脱却と回遊性・安全性・バリアフリー性の向上。
4.北口交通広場整備による交通機能の強化
駅北側における送迎車・タクシー待機機能を担う約800㎡の新たな交通結節空間の整備。
路上駐車の抑制と歩行者安全性向上による駅周辺交通環境の改善。
5.三郷駅の都市拠点としての位置づけ強化
市内唯一の商業地域に立地する主要駅としての機能更新と都市基盤の再構築。
都市計画マスタープランに基づく活力拠点形成と交通結節機能の高度化。
6.三郷駅前地区第一種市街地再開発事業との連動
駅南側再開発による駅前広場・複合施設整備と歩行者・交通インフラの一体的更新。
駅利用者増加を見据えた南北動線強化と機能分担型交通処理体制の構築。
7.将来の段階的整備と持続的まちづくり基盤の確立
都市計画決定による長期的な事業推進と土地利用誘導の安定化。
三郷駅周辺における安全・快適・回遊性の高い都市空間形成への布石。

今回決定された都市計画変更は、三郷駅周辺における歩行者ネットワークと交通結節点の再構築を主眼としています。都市計画道路として新たに追加されたのは、「三郷歩行者道」と「三郷駅自由通路」の2路線で、いずれも歩行者専用道路として位置づけられています。三郷歩行者道は延長約130メートル、幅員9メートルの地表式道路として計画され、駅北側市街地における安全で連続性の高い歩行空間の形成を担います。一方、三郷駅自由通路は延長約70メートル、幅員10メートルの通路で、名鉄瀬戸線を立体的に横断し、駅南北を直接結ぶ重要な歩行動線となります。約18メートルの区間については立体的な範囲が設定され、橋上駅舎と一体で整備される計画となっています。

あわせて、都市計画交通広場として「三郷駅北口交通広場」が新たに都市計画決定されました。面積は約800平方メートルで、駅北側における送迎車やタクシーの待機、乗降機能を担う交通結節点として整備される予定です。これにより、これまで生活道路に発生していた路上駐車や交通錯綜の解消が図られ、歩行者の安全性向上と駅利用の円滑化が期待されています。今回の都市計画変更は、縦覧や都市計画審議会などの法定手続きを経て決定されており、将来の事業化に向けた制度的な基盤が整備されたことになります。

三郷駅は、名鉄瀬戸線の主要駅の一つとして、尾張旭市東部地域の交通拠点の役割を担ってきました。駅周辺は市内で唯一の商業地域に指定されており、古くから商業・業務・生活機能が集積するエリアとして発展してきましたが、駅前広場の未整備や道路空間の不足、建物の老朽化、青空駐車場の増加など、都市基盤の脆弱さが課題となっていました。

特に、名鉄瀬戸線が東西方向に走ることで、駅南北の市街地が分断され、踏切に歩行者動線が集中する構造が長年続いてきました。このため、朝夕の混雑時には安全性や回遊性の面で支障が生じ、バリアフリー対応の遅れも指摘されてきました。尾張旭市の都市計画マスタープランでは、三郷駅周辺を「本市の中核となる活力拠点」と位置づけ、商業・業務・文化機能の充実、交通結節点機能の強化、にぎわいの創出、誰もが利用しやすい歩行環境の整備を進める方針が示されています。今回の都市計画変更は、こうした上位計画の方向性を具体的な都市施設整備として実装するものであり、三郷駅周辺の都市構造転換を支える重要な施策といえます。


三郷駅周辺の再編は、現在進められている三郷駅前地区第一種市街地再開発事業と密接に連動しています。再開発区域では、超高層住宅、商業施設、公共公益施設、駐車場・駐輪場などを一体的に整備するとともに、駅前広場やペデストリアンデッキの整備が計画されており、駅前空間の質的転換が進められています。これにより、居住機能の導入とにぎわい創出、地域拠点機能の強化が同時に図られる構成となっています。


再開発によって駅利用者の増加が見込まれる中、駅南側だけで完結する都市構造ではなく、駅北側を含めた回遊性の高い動線形成が不可欠となります。三郷駅自由通路は、再開発により整備される南側駅前広場と北側市街地を直結し、踏切依存から脱却した安全で円滑な南北動線を確保します。さらに、自由通路と接続する三郷歩行者道が、北側エリアへの歩行ネットワークを面的に広げることで、駅周辺全体の回遊性と滞留性の向上が期待されます。
また、北口交通広場は、南側駅前広場と機能分担を行いながら、送迎需要やタクシー利用を受け止める役割を担います。これにより、再開発によって増加する交通需要を分散処理し、駅周辺道路の混雑緩和と歩行者空間の安全確保を同時に実現する構図が形成されます。都市基盤整備と再開発を一体的に進めることで、三郷駅周辺は面的な更新段階へと移行していくことになります。


都市計画決定は、単なる施設配置の確定にとどまらず、将来にわたって計画的なまちづくりを担保する制度的な意味を持ちます。都市計画区域内では、事業の支障となる建築行為が抑制されるため、長期的なインフラ整備や再開発を安定的に進めることが可能となります。

自由通路と歩行者専用道路の整備により、三郷駅周辺では駅南北をシームレスにつなぐ歩行者ネットワークが形成され、バリアフリー化や安全性の向上が進みます。高齢者や子育て世代を含む多様な利用者が安心して移動できる環境が整うことで、駅利用の利便性だけでなく、周辺商業や公共施設へのアクセス性も大きく改善されることになります。
一方、北口交通広場の整備は、送迎車両の適切な滞留空間を確保し、生活道路への流入や路上駐車の抑制を図ることで、駅周辺の交通秩序を再構築します。再開発事業、橋上駅舎整備、自由通路整備と段階的に連動しながら、三郷駅は地域の中核拠点としての機能を強化し、居住・商業・公共機能が調和した持続可能な駅前空間へと進化していくことが期待されます。
最終更新日:2026年1月29日