川崎市役所本庁舎は、神奈川県川崎市川崎区宮本町に建つ地上25階、地下2階、高さ116.87mの「超高層棟」と地上3階の「復元棟」から構成される超高層庁舎です。
立地は、南側を市役所通り、東側を稲毛通り、北側を宮本町4号線、西側を砂子4号線に囲まれた場所に位置しています。旧本庁舎と第2庁舎は、施設・設備の老朽化が進んでいるだけでなく、災害対策活動の中枢拠点に必要とされる耐震性能を満たしていないため、大規模地震が発生した際には行政機能及び議会機能を喪失し、市民・企業の生活再建・復興が遅れる可能性があり、特に旧本庁舎は倒壊の危険性があるなど、多大なリスクを抱えていることが課題とされていました。
また、床面積の不足などから、本庁機能が分庁舎や周辺の民間ビルに分散しており、行政サービスの低下や庁内執行体制の非効率化が生じているだけでなく、多額の賃借料負担も生じているという問題も存在しており、このような状況を改善するため、平成26年3月に「川崎市本庁舎・第2庁舎耐震対策基本構想」が策定され、従前の庁舎敷地で建て替えが行われました。
施設構成は、「超高層棟」の地下2階~地下1階に駐車場、地上1階~2階に総合受付、守衛室、情報発信スペース、1階~3階にアトリウム、回廊デッキ、行政機能、中間免震層を挟み、4階~5階に機械室、6階~21階に行政機能、6階に災害対策機能(危機管理本部)、7階に市長関連機能、22階~24階に議会機能、25階に本庁舎展望フロア (展望ロビー・スカイデッキ)、屋上・PH階に緊急離着陸場、待機スペース、「復元棟」の1階に旧本庁舎歴史展示、2階に旧市長室、かわさき情報プラザ、3階に共用会議室、屋上庭園となります。
防災計画・BCP対策面では、中間免震層による免震構造の採用や多摩川氾濫を想定して3階以上の高さに免震層や機械室、非常用発電機の設置、停電時にはガスを利用して新庁舎最大使用電力の90%を非常用発電機とガスコージェネレーションシステムにより電力供給することなどが挙げられています。
環境性能面では、煙突効果や蓄熱効果による上昇気流を活用した自然換気が可能な外装材「エコマルチウォール」の採用や、直射日光を遮る彫りが深く縦に長い開口部としたファサード、復元棟屋上に設置した太陽光発電システムなどにより、CASBEE川崎における最高ランクSを実現しています。
建築主は川崎市、設計は株式会社久米設計、施工は超高層棟が大成建設株式会社、復元棟が株式会社小川組です。着工は2020年5月1日、竣工は2023年6月19日となっています。
過去の建設状況
→過去の建設状況
概要
名称 |
川崎市役所本庁舎 |
計画名 |
川崎市新本庁舎整備事業 |
所在地 |
神奈川県川崎市川崎区宮本町1番地 ほか5筆の一部 |
用途 |
庁舎 |
階数 |
超高層棟:地上25階、地下2階、塔屋1階 復元棟:地上3階 |
高さ |
116.87m (建築物高さ:111.62m) |
構造 |
鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造 免震構造 (中間免震層) |
基礎工法 |
超高層棟:現場造成杭 復元棟:既成コンクリート杭 |
敷地面積 |
6,002.11㎡ |
建築面積 |
4,357.79㎡ |
延床面積 |
62,356.11㎡ 超高層棟:60,320.09㎡ |
着工 |
2020年5月1日 |
竣工 |
2023年6月19日 |
建築主 |
川崎市 |
設計 |
株式会社久米設計 |
施工 |
超高層棟:大成建設株式会社 復元棟:株式会社小川組 |
最寄駅 |
JR、京急「川崎」駅 |
備考 |
▼施設構成 ▽超高層棟 地下2階~地下1階:駐車場 地上1階~2階:総合受付、守衛室、情報発信スペース 1階~3階:アトリウム、回廊デッキ、行政機能 ー免震層ー 4階~5階:機械室 6階~21階:行政機能 6階:災害対策機能(危機管理本部) 7階:市長関連機能 22階~24階:議会機能 25階:本庁舎展望フロア (展望ロビー・スカイデッキ) 屋上・PH階:緊急離着陸場、待機スペース
▽復元棟 1階:旧本庁舎歴史展示 2階:旧市長室、かわさき情報プラザ 3階:共用会議室、屋上庭園 |
位置図
標識
区域図
配置図
立面図
断面図
模型写真
イメージパース
写真
超高層棟
南東側から見た川崎市役所本庁舎の様子です。超高層棟は、地上25階、地下2階、高さ116.87mの超高層庁舎となっています。
外装には「エコマルチウォール」が採用されています。エコマルチウォールは、コの字形状のPC板内部をダクトとして利用し、最上階のガラスボックスが日射によって温められることで発生する煙突効果により自然換気を行います。また、深く彫り込まれた外壁によって日射を遮り、空調効果を向上させています。
川崎市役所本庁舎の高層部分の様子です。
北東側から見た川崎市役所本庁舎の様子です。
北西側から見た川崎市役所本庁舎の様子です。
超高層棟の手前側には、アトリウムと復元棟があります。
館銘板です。
3層吹き抜けとなっている「アトリウム」です。
アトリウムには、250インチの大画面ディスプレイが設置されています。通常時には、デジタルサイネージ設備用モニターとして、様々な市政情報等を発信しています。
エントランスです。
2階から見たアトリウムの様子です。
アトリウム上には、木調のルーバーが設けられています。
車寄せです。
2階回廊デッキです。
廊下です。
総合受付です。
エントランスホールの様子です。
議会エントランスです。展望フロア (展望ロビー・スカイデッキ)へのエントランスとしても機能しています。
エントランスホール情報発信コーナーです。
エレベーターホールです。
低層階フロア構成です。
高層階フロア構成です。
地下駐車場です。
川崎市役所の施設構成です。
市役所通りの直下に地下連絡通路もあり、本庁舎と第3庁舎は直結しています。
緑化地等表示板と地下雨水流出抑制施設の標識です。
「市議会議場」のイメージパースです。
傍聴ロビーです。
屋上のヘリポート「ヘリコプター緊急離着陸場」への出入口です。
屋上のヘリポート「ヘリコプター緊急離着陸場」は、Hマークのある離着陸可能なヘリポートであり、ヘリポートに上がるエレベーターはストレッチャーが入るサイズで、救急搬送にも対応可能です。
25階本庁舎展望フロア (展望ロビー・スカイデッキ)です。
本庁舎展望フロアから見た川崎市中心部方面の景色です。
本庁舎展望フロアから見た東京都心方面の景色です。
本庁舎展望フロアから見た新宿、渋谷方面の景色です。
本庁舎展望フロアから見た東京湾岸エリア、東京スカイツリー方面の景色です。
本庁舎展望フロアから見た横浜方面の景色です。
復元棟
南東側から見た復元棟です。旧本庁舎は、昭和13年2月に竣工、2016年に耐震性不足を理由に解体された地上3階の庁舎で、戦前・戦中・戦後を通じて、本庁舎としての役割を果たしてきたものです。川崎市新本庁舎整備事業に伴い、建物の一部が創建当時の姿で復元されました。
南西側から見た復元棟です。
復元棟の時計塔です。高さは約36mとなっています。
時計塔の頂部です。時計塔の時計は、稼働しています。
旧正面玄関に隣接して設けられている「旧本庁舎歴史展示」です。旧本庁舎の松杭や棟札など、旧本庁舎に関する展示がなされています。
旧正面玄関のピロティです。
旧正面玄関です。
旧本庁舎に配置されていた川崎市役所の館銘板も取り付けられています。
川崎市役所第2庁舎跡地広場
川崎市役所第2庁舎跡地広場のイメージパースです。
西側隣接地の川崎市役所第2庁舎跡地では、広場「川崎市役所第2庁舎跡地広場」が整備されます。
最終更新日:2024年10月27日