東日本旅客鉄道と西武鉄道は2026年5月19日、武蔵野線の新秋津駅と西武池袋線の秋津駅の乗り換え利便性向上と、新たな観光需要の創出に向けた大規模な連携施策を発表しました。最大の目玉は、両駅を結ぶ全天候型の乗換通路の整備と、これまで車両搬入専用だった連絡線を活用した臨時観光列車の直通運転です。
現在、両駅間の乗り換えには約8分を要し、雨天時や混雑時の不便さが長年の課題となっていました。2030年代前半には新たな乗換通路の供用開始、2028年度には西武鉄道10000系「ニューレッドアロー」を改造した観光特急の運行開始が予定されており、秋津エリアは首都圏鉄道ネットワークの重要な結節点として大きく生まれ変わろうとしています。
新秋津駅と秋津駅乗換通路新設・直通列車の概要
1.乗換通路整備の決定
新秋津駅と秋津駅を結ぶ全天候型・バリアフリー通路の整備計画。
2030年代前半の供用開始を目指す長年の課題解決。
2.乗換距離と安全性の課題
両改札間約400m、ホーム間を含め約600mに及ぶ徒歩移動。
歩車分離されていない道路と雨天時の不便さという長年の課題。
3.連絡線の旅客活用
車両搬入専用だった新秋津駅~所沢駅間の連絡線の旅客利用。
裏方設備を観光輸送へ転用する画期的なネットワーク形成。
4.2028年度運行開始予定の観光特急
西武10000系「ニューレッドアロー」を改造した新宿線観光特急。
半個室やソファ席を備えた上質な移動空間の創出。
5.JR線と西武線の広域直結
熱海・勝浦・舞浜方面と秩父・ベルーナドーム方面を結ぶ構想。
乗換回数を削減し移動そのものを楽しむ新たな観光ルート。
6.地域活性化への期待
乗換改善と一体となった秋津・新秋津周辺の魅力向上。
商店街や駅周辺のにぎわい創出による沿線価値向上。
7.パラレルワールド都市伝説
商店街で時間のずれや景色の変化を体験したとされる数々の怪談。
日常と非日常の境界として語り継がれる秋津エリアの都市伝説。

新秋津駅と秋津駅は、長年「乗換駅」でありながら、実際には道路を歩いて移動しなければならない不便な構造で知られてきました。両改札の距離は約400メートル、ホーム間の移動も含めると総距離は約600メートルに達し、乗り換えには8分程度かかります。
しかも、途中の商店街区間は歩車分離されていない道路も多く、朝夕の通勤・通学時間帯には多くの利用者が車や自転車と交錯する状況が続いていました。雨の日には傘が欠かせず、大きな荷物やベビーカー、車椅子利用者にとっても負担の大きい経路となっていました。
今回の発表では、JR東日本と西武鉄道が所有する用地を活用し、雨に濡れずに移動できる全天候型のバリアフリー通路を新設する方針が示されました。2030年代前半の供用開始を目指して、自治体や地域関係者との調整が進められていきます。半世紀以上にわたり課題とされてきた秋津・新秋津間の乗換問題が、ようやく本格的な解決に向かうことになります。

新秋津駅構内から所沢方面へは、西武鉄道との連絡線が延びています。この線路は1976年の武蔵野南線開業時に整備され、西武鉄道の新車搬入や西武多摩川線の車両検査時の甲種輸送などに使用されてきました。
普段は旅客列車が走ることのないこの連絡線を活用し、JR線と西武線を直結する観光列車を運転する計画が正式に打ち出されました。これにより、これまで裏方設備だった線路が、旅客輸送の新たなルートとして脚光を浴びることになります。
鉄道ファンの間では長年「ここを旅客列車が走れば面白い」と語られてきた構想が、ついに現実のものとなります。貨物輸送や車両輸送専用だった連絡線が、首都圏の新しい観光動線として活用されるのは極めて画期的です。

直通列車には、西武鉄道10000系「ニューレッドアロー」を大規模改造した新宿線向け観光特急が使用されます。一般席に加え、半個室やソファ席を備えた上質な車内空間が整備され、移動そのものを楽しめる列車となる予定です。
この車両にJR線への乗り入れ対応改造を施し、2028年度の運行開始を目指します。運行区間としては、熱海駅、勝浦駅、東京ディズニーリゾート、湘南・房総エリアと、西武秩父やベルーナドームなどが検討されています。
所沢駅以遠からJR東日本エリアへ乗り換えなしでアクセスできるようになり、秩父観光やイベント参加の利便性が飛躍的に向上します。首都圏の観光ネットワークに新たな魅力が加わることになります。

秋津駅は1917年に開業した100年以上の歴史を持つ駅で、現在の1日平均乗降人員は約7万6千人と西武鉄道でも上位の利用者数を誇ります。一方、新秋津駅は1973年に武蔵野線の駅として開業し、1日平均乗車人員は3万6千人を超えます。
両駅は東京都東村山市、清瀬市、さらに埼玉県所沢市の境界に位置し、行政区域が複雑に入り組む独特の立地にあります。駅間には商店街が形成され、飲食店や小売店が並び、長年にわたり乗換利用者を支えてきました。
今回の乗換通路整備は、単なる利便性向上にとどまりません。両社は周辺地域の魅力発掘や新たなにぎわい創出にも取り組む方針を示しており、秋津・新秋津エリアの価値向上や地域活性化につながることが期待されています。


新秋津駅と秋津駅を結ぶ商店街は、鉄道利用者にはおなじみの乗換ルートですが、近年では「異世界への入り口」として全国的に知られるようになりました。
「いつも5分で着く道なのに20分以上歩いても駅に着かなかった」「突然昭和時代のような光景に変わっていた」「昨日まであった店が別の店になっていた」「気づいたら見知らぬ田園風景にいた」といった体験談が、インターネット掲示板やYouTubeで多数語られています。2026年にはテレビ番組でも取り上げられ、秋津は日本を代表する都市伝説スポットのひとつとなりました。
もっとも、これらは日々の疲労やスマホ歩き、店舗の入れ替わり、初めて訪れる人の方向感覚の乱れなどで説明できるという見方が有力です。東京都と埼玉県の境界に位置する独特の環境や、徒歩で乗り換えるという非日常的な体験が、こうした不思議な印象を生み出していると考えられています。
2030年代前半に乗換通路が完成すれば、この「異世界への入り口」とも呼ばれた商店街の役割は大きく変わるかもしれません。しかし、秋津と新秋津の間にまつわる数々の不思議な物語は、今後も鉄道ファンやオカルト愛好家の間で語り継がれていくことでしょう。
出典:東日本旅客鉄道株式会社/西武鉄道株式会社 JR東日本と西武鉄道は、両社で連携して「快適でシームレスな移動」と「沿線価値向上」の実現に取り組みます!
最終更新日:2026年5月20日