東京都が整備を進めている環状第4号線(港南・高輪区間)は、港区港南三丁目から江東区新砂三丁目まで約29.9kmにわたる都市計画道路の一部です。区部環状方向の主要幹線道路として位置付けられており、都心に集中する交通を分散させると同時に、目黒通りや桜田通り、第一京浜などの放射道路と接続することで広域的な道路ネットワークを形成します。
特に品川駅周辺は羽田空港や臨海副都心に近接し、さらに2027年のリニア中央新幹線開業が予定されていることから、その整備は国際交流拠点の基盤強化に直結します。2025年夏には港南区間で送り出し工法によってJR線上空に橋桁が現れ、事業は新たな段階へと進みました。
→東京都 環状第4号線(港南・高輪)の事業に着手します
→東京都 環状第4号線(高輪地区)
→港区 都市計画道路の変更(案)について(補助線街路第334号線)
→港区 品川駅周辺地区(品川駅街区地区)における街づくりについて
環状第4号線(港南・高輪区間)の概要
- 路線の位置づけ
港区港南三丁目から江東区新砂三丁目まで延長約29.9kmに及ぶ都市計画道路で、区部環状方向の主要幹線道路の一つ。都心交通の分散化に寄与。 - 放射道路との連携
目黒通り・桜田通り・第一京浜など主要放射道路を結び、都市全体の広域道路ネットワークを形成。 - 品川駅周辺の重要性
羽田空港や臨海副都心に近接し、2027年のリニア中央新幹線開業も控える国際交流拠点エリアとして、さらなる都市基盤の強化が必要。 - 港南・高輪区間の整備
港南一丁目から高輪三丁目まで延長約1,270mを整備。計画幅員は25.6〜33.5mで、車道4車線・歩道・自転車走行空間を確保。鉄道・第一京浜交差部は橋梁構造を採用。 - 暮らしと交通環境の改善
従来は生活道路に通過交通が集中して安全面に課題があったが、整備により東西交通が改善し、救急医療機関へのアクセスも向上。 - 防災性の向上
延焼遮断帯の形成、電線類の地中化、安全な避難経路の確保により、防災力を高めるとともに緊急車両の速達性を確保。 - 最新の進捗状況
2025年夏、高輪区間で送り出し工法によりJR線上空に橋桁が出現。港南区間でも交通規制を伴いながら橋脚工事や宅地造成準備が進行中。

環状第4号線の整備目的は、単なる交通インフラの強化にとどまりません。都心に集中する自動車交通を効率的に分散し、環状方向の移動をスムーズにすることで都市全体の交通機能を底上げします。また、品川駅周辺におけるビジネス・観光・居住など多様な都市活動を支える基盤ともなり、国際的な交流拠点形成にも寄与します。さらに、臨海部や六本木方面、羽田空港とのアクセス性を向上させることは、首都圏全体の競争力向上にもつながります。

今回事業が進められているのは、港区港南一丁目から高輪三丁目までの延長約1,270mの区間です。計画幅員は25.6〜33.5mとされ、車道は片側2車線の計4車線構造となります。さらに歩道と自転車走行空間が両側に整備され、車両・歩行者・自転車が安全に分離されることになります。

鉄道や第一京浜を跨ぐ部分は橋梁形式が採用され、国道15号とのアクセスを確保するために側道も設けられる計画です。事業費は約876億円に上り、令和元年度から令和14年度までの長期計画として進められています。


これまで高輪や港南周辺では、東西方向を結ぶ道路が極めて少ない状況でした。結果として、桑原坂や桂坂といった生活道路に多くの通過交通が流入し、通学路であるにもかかわらず歩行者や自転車と車両が混在する危険な環境が見られました。環状第4号線の開通によってこれらの課題は大幅に改善され、生活道路への負担軽減と地域住民の安全確保が期待されます。さらに、白金台・高輪地区と港南地区を直接結ぶルートが形成されることで、これまで2km以上迂回を強いられていた移動が短縮され、救急医療機関への迅速なアクセスにもつながります。


都市防災の観点からも、本事業の効果は大きなものがあります。従来、白金台・高輪周辺では幅員8m以上の道路が少なく、災害時には電柱の倒壊や建物の崩壊による道路閉塞が懸念されていました。環状第4号線の整備によって、火災時の延焼遮断帯が形成されるほか、電線類の地中化によって緊急輸送路の確保も可能となります。さらに、広域避難場所までの安全な避難経路や消防・救護活動を支える道路網が強化されることで、地域の防災性は格段に向上します。

2025年夏、高輪区間では鉄道上空を跨ぐ橋梁の架設に向けて、送り出し工法が採用され、遂に橋桁が姿を現しました。この工法はクレーンの設置が難しい場所で用いられるもので、桁を少しずつ送り出しながら所定の位置に設置していく高度な施工技術です。仮設備や強度計算、補強など多くの検討を必要とし工期も長くかかりますが、都市部での鉄道横断工事に適した方法とされています。桁が空中に伸びていく光景は、地域住民にとって事業の進展を実感できる象徴的な出来事となりました。


港南区間では現道の一部を切り回し、一方通行化するなど交通規制を行いながら工事が進められています。既に複数の橋脚が建設され、今後は鉄道横断部への橋梁工事が本格化する予定です。また、周辺では2025年度から宅地造成工事も計画されており、道路整備と沿道のまちづくりが同時並行で進められることになります。工事期間中は交通への影響が避けられませんが、完成後には東西交通の改善と地域全体の利便性向上が実現されます。


環状第4号線の整備は、単なる道路事業にとどまらず、品川駅周辺の都市基盤強化と直結しています。特に補助線街路第334号線(品川駅北口広場)の整備と連携することで、広域交通結節点としての品川駅の機能が飛躍的に高まります。北口広場には約7,000㎡の交通広場が計画されており、羽田空港やリニア中央新幹線との接続拠点として機能することが期待されています。道路整備と駅前広場の一体的なまちづくりにより、品川は国際都市東京の新たな玄関口として進化を遂げ、周辺地域の活性化にもつながるでしょう。
最終更新日:2025年9月5日

