松戸市が推進する「新松戸駅東側地区土地区画整理事業」は、新松戸駅の東口に隣接する約2.6ヘクタールの区域を対象に、狭あい道路の解消や駅前広場の新設、下水道や調整池の整備、斜面緑地の安全対策を行い、安心で快適な都市空間を形成することを目的としています。
事業は従来型の区画整理とは異なり、立体換地方式を採用し、道路・公園などの基盤整備とマンションを中心とした建物整備を一体的に進めるのが大きな特徴です。2019年に千葉県知事の認可を受けて事業が正式にスタートし、現在は2032年度に街びらきを目標に工事が進められています。最終的には住宅、商業、子育て・教育・文化施設を複合的に配置し、駅前にふさわしい多機能な街区を形成するとともに、防災・防犯に配慮した持続可能な生活拠点を実現する計画です。
→松戸市 新松戸駅東側地区土地区画整理事業について
→三菱地所レジデンス株式会社/ミサワホーム株式会社/東京建物株式会社 「新松戸駅東側地区土地区画整理事業」立体換地建築物保留床部分取得事業者として協定を締結
新松戸駅東側地区土地区画整理事業の概要
- 事業の目的と背景
新松戸駅東口の約2.6ヘクタールを対象に、狭あい道路や小規模宅地の密集、駅前広場の未整備、斜面地の防災リスクといった課題を解消し、安全で快適な市街地を形成することを目的とする。 - 立体換地方式の採用
通常の区画整理と異なり、地権者の土地権利をマンションの床面積や敷地持分に変換する「立体換地方式」を導入。市が主体となり、公共施設整備と建物整備を一体的に進める点が特徴。 - 事業区域と規模
松戸市幸谷の一部、施行面積は約2.6ヘクタール。計画人口は約430人で、住宅・商業・公益機能を含む複合的な街区を整備。北側の斜面緑地も安全対策と景観保全を両立させる。 - 進捗とスケジュール
2019年に施行認可、2024年に第1回事業計画変更を実施。2026年度に既存インフラ撤去・移設、2027年度末に建築工事着手、2032年度に街びらき予定。 - 立体換地建築物の概要
地上14階建、延床面積約38,500㎡。住宅部分は314戸を整備し、低層階には商業・医療・子育て支援・文化施設を導入。多世代が交流できる複合拠点を形成する。 - 事業費と財源
総事業費は当初182億円から322億円へ増額。うち約213億円は建物建設費、市の負担は約118億円。財政負担は大きいが、税収増加や経済効果による将来的な回収が期待される。 - 参画事業者とまちづくりコンセプト
三菱地所レジデンス、ミサワホーム、東京建物が参画。コンセプトは「新松戸SATO-MACHI-MIRAI」で、自然と共生しつつ利便性を備えた持続可能な都市拠点を目指す。

対象地区は新松戸駅の東側に広がる住宅密集地で、都市計画上は駅前商業地としての高度利用が想定されてきました。しかし現状では小規模な敷地が細分化して密集し、幅員の狭い道路が多く、消防車などの緊急車両が入りにくい課題がありました。また、駅前に広場が整備されていないため、バスやタクシー、自転車と歩行者が混在し、交通混雑や安全面の不安も指摘されていました。
加えて、斜面地に面する北側では崩落リスクも抱えており、防災・減災の観点からも改善が求められていました。こうした背景のもと、松戸市は区画整理事業によって安全で快適な市街地環境を再構築する方針を打ち出しました。


本事業の最大の特徴は「立体換地方式」の採用です。これは、従来の区画整理のように宅地を整理して再配置するのではなく、地権者の土地の権利を、マンションなどの建物の床面積や敷地の共有持分として換地する仕組みです。これにより、地権者は従来の権利を維持しつつ新しい建物に参画でき、街全体としても統一感のある都市開発が可能になります。
通常は民間事業者が主導するケースが多い中、本事業では市が主体となって立体換地を行い、公共施設の整備と建物建設を同時進行させる点が大きな特色です。当初の減歩率は77.42%と高めに設定されていましたが、その後の計画変更で64.53%に見直され、地権者の負担軽減が図られました。


施行区域は松戸市幸谷の一部で、施行面積は約2.6ヘクタールに及びます。計画人口は約430人で、住宅を主体とした複合街区の形成が見込まれています。整備後は駅東口に直結する形で新たな広場と道路網が整備され、歩行者と車両の安全分離が実現する予定です。
周辺には商業施設や教育機関が立地し、生活利便性が高い立地条件を活かした都市空間が計画されています。また、北側に存在する斜面緑地については、景観資源として活用しつつ、落石防止や法面安定対策を講じて、自然と調和した安心のまちづくりが進められます。


2019年に千葉県知事から施行認可を受けた後、2024年8月には第1回事業計画変更が認可されました。変更点としては、道路や公園の配置の微調整、施行面積や資金計画の修正、さらには立体換地建築物の設計反映などがあります。計画の進行に伴い、2026年度には既存の道路や下水道などインフラの撤去・移設工事が開始される予定です。
その後、2027年度末からは立体換地建築物の本格的な建設工事に着手し、2032年度には街びらきが行われるスケジュールとなっています。このように、10年以上に及ぶ長期事業でありながら、段階的に目標が明確化されている点も注目されます。


計画されている建物は住宅・商業・公共施設からなる複合マンションで、敷地面積7,124㎡、地上14階建、延床面積38,529㎡の規模を誇ります。住宅部分は約21,400㎡で314戸を整備する計画となっており、従来よりも戸数が増加しました。
これにより、若年層から高齢者まで幅広い世代が居住できる環境が整えられる見込みです。さらに、低層階には商業施設や公益施設、医療モールなどが約4,000㎡確保され、日常生活の利便性を大きく高めます。子育て支援施設や教育・文化機能の導入も検討されており、単なる大規模マンションではなく、多世代が交流し安心して暮らせる複合拠点としての性格を持たせています。


当初182億円と見積もられていた総事業費は、建設資材価格の高騰や地盤改良工事の増加などにより、322億円へと大幅に増加しました。そのうち約213億円は立体換地建築物の建設費用に充てられ、残りは道路・公園・調整池・下水道といった公共施設や地権者への補償費用に使用されます。市の一般財源からの負担は約118億円とされ、財政面の影響が懸念されています。しかし一方で、街区全体が完成すれば、固定資産税や住民税などの税収増加、駅前の商業活性化による経済効果が期待され、長期的には市財政の安定に寄与すると見込まれています。


本事業に参画するのは、三菱地所レジデンス、ミサワホーム、東京建物の3社です。いずれも都市再開発やマンション開発で実績を持つ事業者であり、公共性の高いプロジェクトを安定的に推進できる体制が整えられています。まちづくりのコンセプトは「新松戸SATO-MACHI-MIRAI」。里山のような自然と人々の交流を重視し、駅前にありながらも落ち着いた住環境と賑わいを併せ持つことを目指しています。住宅、商業、子育て、教育、文化機能をバランスよく配置することで、単なる再開発ではなく「人が集い続ける持続可能な街」を実現しようとしています。

新松戸駅西側地区は既に大規模な区画整理によって道路や広場が整備され、商業集積が進んでいますが、東側は長年基盤整備が遅れていました。本事業の完成によって、東西一体の都市拠点が形成され、駅全体の交通結節機能が飛躍的に高まることが期待されます。また、住宅と商業の共存により、駅前に昼夜問わず人の往来が生まれ、地域の安全性や活力が向上すると見込まれています。
さらに、持続可能性の観点からも、省エネ性能の高い建物や防災拠点としての機能を備えることで、次世代に誇れる都市拠点が形成されるでしょう。新松戸は今後、松戸市の中でも住みやすさと利便性を兼ね備えた「都市と暮らしの結節点」として、ますます注目される地域となりそうです。
最終更新日:2025年9月19日

