東京都中央区は、区立公園としては初めてPark-PFI制度を活用した再整備事業に取り組んでおり、2025年3月、「つむぐ桜の森パートナーズ」（代表企業：株式会社タカラレーベン）を設置等予定者として選定しました。桜川公園は、JR・東京メトロ「八丁堀」駅南東側に位置する歴史ある都市公園で、日常的な憩いの場として多くの地域住民に利用されています。本事業では、これまでの公園の機能を維持しつつ、さらに魅力ある空間へと刷新することで、地域の回遊性と滞在価値の向上を図ります。
公園整備のコンセプトは、「つむぐ桜の森」。人と自然、人と人、人と地域を“つむぐ”というテーマのもと、地域の記憶を継承しながら未来に向けた新たな価値を創出することが目指されます。官と民が連携しながら持続可能な運営を行い、防災や子育て支援、環境配慮など多角的な視点で設計された公共空間のモデルケースとなることが期待されています。
→中央区 桜川公園官民連携事業（Park-PFI）における事業予定者（設置等予定者）の決定
中央区立桜川公園官民連携事業（Park-PFI事業）の概要
1. 事業の背景と制度活用
中央区立公園として初めてPark-PFI制度を活用した再整備の実施。老朽化施設の更新と民間活力による質の高い公園空間の創出。
2. 設置等予定者の選定
事業予定者に選定された「つむぐ桜の森パートナーズ」（代表企業は株式会社タカラレーベン、構成企業はUDS株式会社、株式会社森緑地設計事務所、株式会社かたばみ、株式会社レーベンホームビルド、株式会社プライムプレイス）。
3. 公園整備のテーマ
「人と自然」「人と人」「人と地域」を“つむぐ”ことによる、多世代の交流と持続可能な公園の実現。
4. 配置計画と機能性の向上
芝生広場、木製デッキ、災害対応設備、インクルーシブ遊具などの導入による、安全性・利便性・景観性の向上。
5. カフェ・レストランの新設
日常の憩いの場としての機能と、災害時における帰宅困難者の受け入れなど地域防災拠点としての役割。
6. 多目的芝生広場の整備
子どもの遊び場から地域イベントまで対応可能な、柔軟な活用が可能な多目的広場の整備。
7. 屋上テラス「桜の森テラス」
都市の中で緑を感じることができる特別な空間としての整備。リラックスや眺望を楽しむ場としての活用。
中央区立桜川公園官民連携事業では、公園の既存樹木や地形を生かしながら、都市の中心にありながら自然と調和した「桜の森」のような空間を創出します。緑陰が広がる園内は、春には桜が咲き誇り、夏には木陰が涼をもたらすなど、四季の移ろいを感じられる場として再構成されます。
多様な年齢層やライフスタイルに対応した設計がなされており、ベビーカーを押す保護者や、周辺のオフィスワーカー、ペット連れの来園者など、誰もが心地よく利用できるバリアフリーな動線が整備される予定です。都市公園としての機能性と、日常の「居場所」としての快適性が両立する空間となります。
整備計画においては、地域の声を取り入れた多彩な施設配置が検討されており、園内には芝生広場、木製のくつろぎデッキ、インクルーシブ遊具、水遊び場、地域と連携した植栽スペースなどが設けられます。加えて、災害時に活用できる充電設備や備蓄スペースも計画され、防災公園としての機能強化も盛り込まれています。
園内動線は回遊性を高める配置となっており、園内どこからでも自然に中心施設へ誘導されるような空間構成がなされる予定です。将来的には、近隣施設や学校、町会などと連携したイベントの開催も想定され、地域の交流拠点としてもその機能を拡充していきます。
園内に新設されるカフェ・レストラン施設は、日常の憩いの場としてだけでなく、災害時の帰宅困難者支援を担う地域防災機能も兼ね備える設計となっています。普段はテラス席で自然を眺めながら過ごせる快適な空間として、訪れる人々に心地よい時間を提供します。
また、地域の食材を使用した季節限定メニューの提供や、子ども向けのワークショップ、マルシェの開催などを通じて、周辺住民との交流を促す仕掛けも検討されています。こうした多機能な施設は、Park-PFIの特徴である「民間活力による公園価値の向上」を体現する重要な拠点として位置付けられています。
公園の中心的空間となる芝生広場は、自由に駆け回る子どもたち、ピクニックを楽しむ家族、読書をするひとり時間など、多様な過ごし方に対応したフレキシブルな広場として整備されます。周囲には木陰をつくる植栽やベンチ、緩やかな起伏を持たせた地形が配置され、自然の中でくつろぐ感覚を演出します。
また、イベント利用も想定しており、地域の祭りや防災訓練、音楽ライブなどが開催可能な設備環境が整えられます。利用状況や季節に応じて芝生の管理手法を変えるなど、維持管理の工夫によって常に美しい状態が保たれるよう配慮される計画です。
「桜の森テラス」は、公園施設の屋上に整備される展望型の開放空間で、周囲の街並みと自然の景観を一望できる新たな滞在スポットです。ここでは、屋上菜園やガーデニング講座、星空観察会なども企画される予定で、都市にいながら自然を身近に感じる学びと発見の場となります。
ベンチやパラソルなどの軽装備に加え、木材や植栽によって温かみのあるデザインが施され、夜間には間接照明による安全で落ち着いた雰囲気が演出されます。昼夜問わず市民が利用できる「もう一つの公園空間」として、都市の暮らしに新たな彩りを加える存在となるでしょう。
最終更新日：2025年4月21日
