名古屋高速道路「(仮称)新洲崎出入口新設事業」は、名古屋駅周辺、とりわけ駅東側エリアへの高速道路アクセスを強化することを目的として、新洲崎ジャンクション(JCT)に新たな出入口を設置する事業です。名古屋高速はすでに全線開通しているものの、都心部では出入口の偏在により、錦橋出口など特定地点への交通集中や慢性的な渋滞が課題となっていました。
本事業は、リニア中央新幹線の開業を見据えた「名古屋駅周辺交通基盤整備方針」に基づく施策の一つであり、名古屋駅と高速道路ネットワークとの結節機能を高めることで、都市全体の回遊性と交通分散を図る役割を担います。令和2年に都市計画変更が告示され、現在は令和2年度から令和13年度までの事業期間で整備が進められています。
→名古屋高速道路公社 名古屋⾼速道路(仮称)新洲崎出入口新設事業
(仮称)新洲崎出入口新設事業の概要
1.事業の目的と位置づけ
名古屋駅東側エリアへの高速道路アクセス強化を目的とする出入口新設事業。
リニア開業を見据えた名古屋駅周辺交通基盤整備方針に基づく都市機能強化施策。
2.整備場所と対象路線
新洲崎ジャンクション付近における名古屋高速1号線・3号線への出入口追加整備。
東行き入口・西行き出口・北行き入口・北行き出口の新設による結節機能強化。
3.交通分散と渋滞緩和効果
錦橋出口など特定地点への交通集中の緩和と駅周辺道路網への負荷軽減。
都心環状線迂回の削減による交通流動の分散化と円滑化の促進。
4.所要時間短縮と利便性向上
名古屋駅周辺への直結ルート確保による移動距離および走行時間の短縮。
業務交通・物流車両を含む自動車利用者の利便性向上と定時性確保。
5.環境保全対策の実施
遮音壁設置や低騒音舗装採用による騒音・振動・大気質への影響低減対策。
環境基準を満足する予測結果に基づく継続的モニタリング体制の構築。
6.事業期間と進行プロセス
令和2年度から令和13年度までを予定とする段階的整備スケジュール。
都市計画変更、用地補償、構造物施工、道路復旧の順による事業推進。
7.地域との調整と安全配慮
説明会開催や情報提供を通じた住民理解の形成と合意形成の重視。
交通誘導や低騒音施工など生活環境と安全性への配慮を伴う工事実施。

本事業は、名古屋市が策定した「名古屋駅周辺交通基盤整備方針」に基づき、リニア中央新幹線開業に伴う人流・交通量の増加に対応するために計画されたものです。名古屋駅は中部圏最大の交通結節点であり、鉄道・バス・タクシーに加えて自動車交通の円滑化も都市機能維持の重要な要素となっています。


都市計画変更では、高速1号線および高速3号線に関して、新洲崎JCT付近に西行き出口・東行き入口・北行き入口・北行き出口を追加する内容が盛り込まれ、駅東側方面への直接的なアクセスルートが新たに確保されることになります。これにより、従来は都心環状線を大きく迂回する必要があった経路が短縮され、都市高速ネットワークの結節性が一段と高まります。


現在の名古屋駅周辺では、名古屋高速都心環状線や錦橋出口に交通が集中し、慢性的な渋滞が発生しています。また、高速道路出入口と駅周辺道路網との接続が十分とは言えず、細街路を経由して入口へ向かうケースも多く、地域交通への負荷も課題となっています。
新洲崎出入口が整備されることで、名駅通から比較的スムーズに高速道路へアクセスできるようになり、細街路への流入交通の抑制が期待されます。あわせて、出口交通も分散されることで、錦橋出口への集中が緩和され、駅周辺全体の交通流動が改善されると見込まれています。

新洲崎JCTに出入口が新設される最大の効果は、利用者にとっての経路選択肢が大幅に増える点にあります。従来は名駅入口や錦橋出口を経由せざるを得なかった交通が、新たな出入口を利用することで、より直線的かつ分かりやすいルートで名古屋駅東側へ到達可能となります。

これにより、都心環状線を大きく回り込む必要がなくなり、移動時間の短縮と走行距離の削減が期待されます。とくに業務交通や物流車両にとっては、定時性の向上や燃料消費削減といった副次的効果も見込まれ、都市機能の効率化にも寄与する事業といえます。

名古屋高速道路公社が管理・運営する名古屋高速道路は、名古屋市中心部および周辺都市を環状・放射状に結ぶ都市高速道路網として整備されてきました。路線は都心環状線を骨格とし、1号楠線、2号東山線、3号大高線、4号東海線、5号万場線、6号清須線などが放射方向へ延びる構成となっており、市内主要幹線道路や国道、高規格道路と接続することで、広域交通と市内交通の双方を支える役割を担っています。
名古屋高速はすでに全線が供用済みであり、通勤・業務交通に加えて物流車両の重要な動脈として機能していますが、出入口の配置には歴史的経緯による偏りも見られ、特定の出入口やジャンクションに交通が集中する構造的課題も抱えています。とりわけ名古屋駅周辺では、錦橋出口や名駅入口への交通集中により慢性的な混雑が発生しており、都市活動の効率性や環境面への影響が指摘されてきました。

こうした状況を踏まえ、名古屋市と名古屋高速道路公社は、既存ネットワークを前提とした「機能強化型」の改良事業を進めており、新たな路線建設ではなく、既存路線への出入口追加やジャンクション改良によって利便性と分散性を高める方針が採られています。新洲崎出入口の新設もその一環に位置づけられ、都心部へのアクセス性向上と交通分散を同時に実現する施策として計画されています。

さらに、リニア中央新幹線開業後には名古屋駅の利用者増加が見込まれており、駅周辺道路網と都市高速との結節強化は中長期的にも不可欠な課題となっています。名古屋高速は単なる自動車専用道路としてだけでなく、都市再編や国際競争力強化を支える基盤インフラとしての役割を担っており、今後は周辺再開発と連動した交通機能の高度化が一層求められる段階に入っているといえます。
最終更新日:2026年1月13日