阪急電鉄京都線・千里線(淡路駅付近)連続立体交差事業は、大阪市東淀川区および吹田市にまたがる約7.1kmの区間において、鉄道を高架化する大規模都市基盤整備事業です。鉄道の立体化により、17か所の踏切を一挙に除却し、慢性的な交通渋滞や踏切事故の解消、都市交通の円滑化を図るとともに、鉄道によって分断されてきた市街地の一体化と沿線の都市機能強化を目的として進められています。
本事業では、崇禅寺駅・淡路駅・柴島駅・下新庄駅の4駅が高架化され、あわせて8路線・延長約5.9kmの付属街路整備が進められています。特に淡路駅周辺では、土地区画整理事業と一体的に進めることで、駅前広場整備、防災性向上、歩行者空間の改善、将来的な高架下空間活用など、面的なまちづくり効果が期待されています。
一方で、用地取得の難航や工事の高度化、資材価格の上昇、安全対策強化などにより事業期間は延伸され、高架切替は令和10年度、全体完成は令和13年度が予定されています。京阪神大都市圏の交通結節点として重要性を増す淡路駅エリアの将来像を左右する、極めて重要なインフラプロジェクトといえます。
→大阪市 阪急電鉄京都線・千里線(淡路駅付近)連続立体交差事業
→阪急電鉄株式会社 淡路駅周辺連続立体交差工事進捗状況 淡路駅南側に 長大橋が架かりました!
阪急電鉄京都線・千里線(淡路駅付近)連続立体交差事業の概要
1.事業の目的と背景
踏切17か所の除却による交通渋滞・事故リスクの解消と都市内交通の円滑化。
鉄道による市街地分断の解消と歩行者・自転車動線の一体化を図る都市基盤整備。
2.整備区間と対象路線
阪急京都線約3.3km、千里線約3.8km、合計約7.1kmに及ぶ連続立体交差区間。
崇禅寺・淡路・柴島・下新庄の4駅高架化を含む広域鉄道インフラ整備。
3.踏切除却と道路ネットワーク整備
17か所の踏切除却による慢性的な交通阻害要因の解消。
付属街路8路線・延長約5.9km整備による地域道路ネットワークの強化。
4.事業規模と事業費
総事業費約2,326億円、国・大阪市・鉄道事業者による費用分担。
大阪都市圏の骨格形成に寄与する大規模公共投資プロジェクト。
5.事業経緯と進捗状況
平成初期の事業採択以降、長期にわたり段階的に進められてきた整備事業。
用地取得約99%、工事進捗約69%に達する事業最終局面。
6.工法と施工の特徴
直上工法・別線工法・仮線工法を組み合わせた高度な施工体制。
大規模トラス橋や多層高架駅整備を含む国内有数の難易度の高い工事。
7.淡路駅周辺まちづくりと将来効果
土地区画整理事業や高架下活用と連動した面的な都市再編。
交通利便性・防災性・都市活力の向上による地域価値の底上げ効果。

本事業の最大の目的は、鉄道の高架化によって踏切を除却し、都市内交通の円滑化と安全性の向上を実現することにあります。淡路駅周辺には多数の踏切が集中し、ピーク時には長時間の遮断による渋滞や緊急車両の通行阻害、事故リスクが課題となっていました。17か所の踏切除却により、これらの課題が根本的に改善されます。


また、鉄道により東西に分断されていた市街地が一体化され、歩行者・自転車・自動車の回遊性が大幅に向上します。駅前広場や側道整備と連動することで、公共交通の乗換利便性が高まり、地域拠点としての機能強化にも寄与するものとされています。
さらに、高架下空間には公共施設や商業・地域施設の導入が可能となり、沿線のにぎわい創出や都市機能更新が期待されます。交通・防災・環境・都市活力の複数分野に効果をもたらす、総合的な都市再編プロジェクトと位置付けられています。

事業主体は大阪市で、阪急電鉄と協定を結び「連続立体交差事業」として進められています。対象区間は、京都線が東淀川区上新庄一丁目から柴島一丁目までの約3.3km、千里線が吹田市南清和園町から柴島二丁目までの約3.8km、合計約7.1kmです。

高架化される駅は、崇禅寺駅、淡路駅、柴島駅、下新庄駅の4駅。踏切除却数は17か所(うち1か所は吹田市域)に及びます。また、鉄道に沿って幅員6〜10mの付属街路が8路線、総延長約5.9km整備され、地域内の道路ネットワーク強化が図られます。
総事業費は約2,326億円とされ、負担割合は都市側約91.5%、鉄道側約8.5%。都市側負担のうち約55%を国費、45%を大阪市費が負担する仕組みとなっています。極めて大規模な公共投資プロジェクトであり、大阪都市圏の骨格形成に直結する事業といえます。


本事業は、昭和63年度に連立補助調査が採択され、平成3年度に国庫補助事業として正式採択されました。平成6年に都市計画決定、平成9年に都市計画事業認可を受け、同年から用地買収に着手しています。
鉄道高架工事は平成20年度から本格的に開始され、その後、複数回にわたる事業認可変更が行われてきました。令和3年、令和7年にも認可変更が実施され、計画内容や事業期間の見直しが反映されています。

当初計画では比較的早期の完成を想定していましたが、用地取得の難航、施工条件の複雑化、設計変更、安全対策強化などが重なり、段階的にスケジュールが延伸されてきた経緯があります。長期にわたる都市基盤整備事業の典型例といえるプロジェクトです。

本事業では、施工条件に応じて「直上工法」「別線工法」「仮線工法」の3つの工法を組み合わせて採用しています。直上工法は、現在線を運行させながら、その直上に高架構造物を構築する方法で、用地制約の厳しい区間に適しています。別線工法は、現在線の横に新たな高架構造物を構築し、切替後に既設線を撤去する方式です。仮線工法は、一時的に線路を付け替え、空いたスペースで高架橋を構築する方法で、施工自由度が高い反面、工程管理が複雑になります。

工事は全体を8工区に分割し、複数の大手ゼネコンJVが担当しています。淡路駅周辺では最大4層構造の高架駅整備が進められ、JRおおさか東線や都市計画道路との立体交差部では、国内でも例の少ない大規模トラス橋架設が行われました。
施工は全8工区に分かれて施工されており、1工区は西松建設・佐藤工業・鉄建建設JV、2工区は奥村組・錢高組・熊谷組JV、3工区は大林組・ハンシン建設JV、4工区は鹿島建設・戸田建設JVがそれぞれ担当しています。また、5工区は森組・清水建設・フジタJV、6工区は鴻池組・竹中土木・青木あすなろ建設JV、7工区は大成建設・間組JV、8工区は飛島建設・前田建設工業・淺沼組JVが施工を担っています。


令和7年4月時点では、用地取得は約99%が完了しています。一方、工事進捗は工事費ベースで約69%に達しています。用地取得は最終段階に入り、今後は残る用地の早期取得と施工の本格化が課題となります。
事業期間の見直しにより、高架切替は令和10年度末、全体完成は令和13年度末が目標とされています。工事費は当初計画から約694億円増額され、資材価格の上昇、基礎杭の延長、地中障害物撤去、安全対策強化などが主な要因とされています。今後は、安全確保と工程管理を最優先としながら、段階的に高架切替を進め、都市機能の更新効果を早期に発現させることが求められます。


淡路駅周辺では、本事業と並行して土地区画整理事業が進められています。施行区域は約8.9haで、駅前広場(約4,800㎡)、都市計画道路、区画道路、公園などが整備され、防災性と居住環境の向上を図ります。

さらに、柴島浄水場の機能集約により、将来的に約12haの開発用地が創出される見込みであり、高架下空間や線路跡地と合わせて、広域的な都市再編ポテンシャルを有しています。淡路駅エリアは、新大阪駅エリアを補完する「サブ拠点」としての役割が期待され、鉄道・道路ネットワーク強化と都市機能集積が連動するエリアへと進化していくことが想定されています。

本事業の完成により、踏切による交通分断が解消され、道路交通・公共交通・歩行者動線の一体化が進みます。淡路駅は上下2層、改札など含めて全体で4層構造の立体駅となり、列車運行の安定性とダイヤ柔軟性が向上し、関西広域ネットワークにおける結節機能が強化されます。

また、高架下や駅周辺の再編により、商業・業務・公共施設の導入余地が拡大し、地域のにぎわい創出や定住人口の増加にも寄与します。防災面では、老朽木造密集市街地の改善、道路ネットワーク強化により、災害時の安全性向上が期待されます。長期事業ではありますが、完成後の都市構造変化は非常に大きく、大阪北東部の都市価値を押し上げる基盤整備として、今後も注目されるプロジェクトといえるでしょう。
最終更新日:2026年1月23日