大阪市港区では、JR大阪環状線・Osaka Metro中央線「弁天町」駅近くに位置する「もと市岡商業高等学校跡地」を活用し、次代の地域拠点としてふさわしい新たなまちづくりを進めるため、公募型プロポーザルによる委託事業を開始しました。本跡地は、面積約2ヘクタールにおよぶ広大な土地で、これまでにマーケットサウンディング(市場調査)も実施され、複数の民間事業者から開発に向けた意欲的な提案が寄せられています。
令和6年4月に策定された「弁天町駅周辺まちづくりビジョン」では、このエリアを「世界にひらかれたニシの玄関口」と位置づけ、国際交流拠点としての整備や、地域住民との共生・交流を促進する空間づくりを推進しており、今回のプロポーザルもこうしたビジョンの具体化に向けた重要な一歩となります。
→大阪市 令和7年度 大阪市港区もと市岡商業高等学校跡地の活用方策等検討業務委託にかかる公募型プロポーザルの実施について
→港区 「弁天町駅周辺まちづくりビジョン」を策定しました
→港区 もと市岡商業高等学校跡地活用に係るマーケット・サウンディング(市場調査)を実施しました
大阪市港区もと市岡商業高等学校跡地の概要
1. 跡地の概要と立地条件
大阪市港区弁天1丁目に位置し、弁天町駅至近の約2haの敷地。交通利便性が高く、開発ポテンシャルのある立地。
2. プロポーザル実施の目的
地域拠点の創出を目的に公募型プロポーザルを実施。にぎわいと交流を生む都市空間の形成が狙い。
3. まちづくりビジョンとの連動
「西の玄関口」を掲げるビジョンに沿った活用。防災・国際交流・回遊性強化などを重視。
4. 過去の市場調査と事業者からの提案
令和6年の市場調査で複数の民間提案あり。商業・宿泊・防災施設等、多様な活用案が出された。
5. 活用方針と土地利用条件 *マーケット・サウンディング時
容積率300%、建ぺい率80%の第一種住居地域。賃貸借型の活用で、住居含む場合は最長70年契約も可。
6. 今後のスケジュールと契約
申出書は6月6日、提案書は6月20日締切。令和8年3月までに具体化に向けた検討業務を実施。
7. 地域にもたらす期待と効果
にぎわいと防災性を両立する地域拠点の形成。住民・行政・事業者の連携による新たな都市モデルを目指す。

今回実施されるプロポーザルは、「令和7年度 大阪市港区もと市岡商業高等学校跡地の活用方策等検討業務委託」として実施されるもので、港区が推進する「港区エリア別活性化プラン」および「弁天町駅周辺まちづくりビジョン」に基づき、当該跡地を中心としたまちづくりの方向性を明確化することを目的としています。
本業務では、これまでの市場調査結果やまちづくりビジョンに基づいて、跡地活用の方向性を定め、都市計画上の必要な調整や調査を行い、事業化に向けた準備を進めます。とりわけ、「国際拠点ベイエリアとの連携強化」と「地域交流拠点の形成強化」を両立させる形での土地利用の在り方が問われており、質の高い都市空間を目指した検討が進められます。

「もと市岡商業高等学校跡地」は、大阪市港区弁天1丁目に位置し、交通アクセスの良さが際立つ立地特性を持っています。JR大阪環状線とOsaka Metro中央線の交差する「弁天町」駅に隣接しており、国道43号や中央大通などの幹線道路とも至近であることから、商業・観光のいずれにも適した開発ポテンシャルを備えています。
用地面積は19,408.29平方メートル(約5,871坪)と非常に広大で、現在は旧校舎などの建物が残るものの、開発事業者による解体・更地化が前提とされています。用途地域は第一種住居地域で、容積率300%、建ぺい率80%と、比較的高い開発余地が確保されていることも特徴です。
港区では、この跡地を「にぎわい・集客機能」と「地域交流拠点機能」の双方を備えた複合拠点として再生する方針を掲げており、今後の弁天町エリアのまちづくりを象徴するプロジェクトとなる見込みです。

港区は、令和6年9月から12月にかけて、「もと市岡商業高等学校跡地」の活用に向けたマーケットサウンディング(市場調査)を実施し、事業者の視点から現実的な開発ニーズや事業参画意欲を把握しました。この調査では、弁天町駅周辺が2025年の大阪・関西万博やIR開業を見据えた“西の玄関口”として注目を集めていることを背景に、複数の事業者から商業施設や宿泊施設を核とする提案が寄せられました。
また、外国人居住者の増加や地域防災機能の強化といった視点も盛り込まれ、平面広場や歩行者通路などウォーカブルな空間形成が重視されています。具体的には、敷地の2割以上を広場として確保することや、歩行者導線を改善する通路の設置、緑豊かな空間創出などが求められました。
マーケット・サウンディング時の事業方式は貸付を基本とし、賃貸借期間は10年以上50年未満(住居を含む場合は最大70年まで)とされていました。規制緩和を前提とした提案も可能であり、柔軟な発想での提案が歓迎されています。跡地の将来像に大きな期待が寄せられるなか、今後の進展に注目が集まっています。
今後の展開としては、プロポーザルを通じて選定された事業者が、港区や地域住民との連携のもと、まちづくりビジョンの具現化を図ることが期待されています。「弁天町駅周辺まちづくりビジョン」では、「世界にひらかれたニシの玄関づくり」「居心地よく歩きたくなる空間づくり」など6つのコンセプトを掲げ、地域の文化・産業の発展や、多文化共生、防災の視点を取り入れた都市空間の創出をめざしています。
この跡地が、地域のにぎわいや交流の核として機能することにより、駅周辺との回遊性が高まり、既存の大型商業施設や観光資源との相乗効果も期待されています。また、事業者と行政、住民が一体となったまちづくりが進むことで、港区全体のブランド力向上にも寄与するものと考えられています。
既存樹木の保全や、生活支援・備蓄機能といった地域ニーズに応える提案も重要な評価ポイントとなっており、地域に根ざした持続可能なまちづくりが求められます。プロポーザルの結果とその後の開発計画に、今後も大きな関心が寄せられていくことでしょう。
最終更新日:2025年5月25日