JR熊本駅ビル/アミュプラザくまもとは、熊本県熊本市西区春日3丁目に建つ地上12階、地下1階、高さ59.416mの高層複合ビルです。立地は、JR「熊本」駅白川口(東口)、北側を熊本駅白川口(東口)駅前広場、東側を県道28号、南側を熊本駅南線、西側をJR線路に囲まれた「JR九州ホテル熊本」や「熊本駅南駐車場」などの跡地一帯に位置しています。
施設構成は、地下1階に駐車場、地上1階~9階に商業施設「アミュプラザくまもと」、7階にシネマコンプレックス「熊本ピカデリー」、8階〜9階に結婚式場「ザ・フォレストテラス熊本」、9階~12階にホテル「THE BLOSSOM KUMAMOTO(ザ ブラッサム 熊本)」となります。
屋内には地上1階から7階まで滝が流れる巨大な吹き抜け空間「水と緑の立体庭園(ぼうけんの杜)」を設置。自然光を導く構造と日本自生植物、水盤から流れる滝で熊本の自然を表現し、駅前広場と連続する立体的な憩い空間を創出しています。駅前広場は「公園のような駅」をコンセプトに整備され、都市の賑わいを演出しています。
建築主は九州旅客鉄道株式会社、株式会社JR熊本シティ、設計は株式会社日建設計、施工は株式会社大林組です。着工は2019年4月、竣工は2021年2月となっています。
過去の建設状況
→過去の建設状況
概要
| 名称 |
JR熊本駅ビル 商業施設名:アミュプラザくまもと |
| 計画名 |
熊本駅ビル(仮称) |
| 所在地 |
熊本県熊本市西区春日3丁目15番26 |
| 用途 |
ホテル、結婚式場、飲食店舗、物販店舗、映画館、駐車場 |
| 階数 |
地上12階、地下1階 |
| 高さ |
59.416m (軒高:55.566m) |
| 構造 |
鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造 |
| 基礎工法 |
ー |
| 客室数 |
203室 |
| 敷地面積 |
19,945.97㎡ 熊本駅周辺開発敷地面積:約70,000㎡ |
| 建築面積 |
13,869.09㎡ |
| 延床面積 |
86,292.46㎡ |
| 着工 |
2019年4月 |
| 竣工 |
2021年2月 |
| 建築主 |
九州旅客鉄道株式会社、株式会社JR熊本シティ |
| 設計 |
株式会社日建設計 |
| 施工 |
株式会社大林組 |
| 最寄駅 |
JR九州新幹線、鹿児島本線、豊肥本線「熊本」駅、熊本市交通局(熊本市電)幹線、田崎線「熊本駅前」電停 |
| 備考 |
▼施設構成 地下1階:駐車場 地上1階~9階:商業施設「アミュプラザくまもと」 7階:シネマコンプレックス「熊本ピカデリー」 8階〜9階:結婚式場「ザ・フォレストテラス熊本」 9階~12階:ホテル「THE BLOSSOM KUMAMOTO (ザ ブラッサム 熊本)」 |
位置図
標識
断面図
出典:九州旅客鉄道株式会社
イメージパース
出典:九州旅客鉄道株式会社
北東側から見たJR熊本駅ビル/アミュプラザくまもとの様子です。
アミュプラザくまもとは、熊本市西区の熊本駅に直結する大型複合商業施設で、JR九州の子会社・JR熊本シティが運営しています。2021年4月23日に全面開業し、JR九州の「アミュプラザ」シリーズでは7番目、規模はアミュプラザ博多に次ぎます。かつて熊本駅周辺は中心市街地から離れ、商業施設も乏しい状況でしたが、2019年の在来線高架化を契機に再開発が進行。本施設はその核となり、熊本地震からの復興の象徴としても位置付けられています。
「JRくまもとシティ」と総称されるエリアには、駅ビルを中心に肥後よかモン市場、高架下商業施設、オフィスビル、ホテル「THE BLOSSOM KUMAMOTO」などが集積し、総店舗数は261店、店舗面積は約49,000㎡に及びます。JR熊本駅ビルは地下1階・地上12階建て、延べ約11万㎡の規模を持ち、1〜8階は商業・飲食・映画館・結婚式場、9〜12階はホテルという構成です。
北西側から見たJR熊本駅ビル/アミュプラザくまもとの様子です。
南西側から見たJR熊本駅ビル/アミュプラザくまもとの様子です。
南西側から見たJR熊本駅ビル/アミュプラザくまもとの様子です。敷地南側には、立体駐車場棟「P1 JR熊本駅ビル 第1駐車場」があります。
南東側から見たJR熊本駅ビル/アミュプラザくまもとの様子です。P1 JR熊本駅ビル 第1駐車場の収容台数は、777台となっています。
南東側から見たJR熊本駅ビル/アミュプラザくまもとの様子です。
東側から見たJR熊本駅ビル/アミュプラザくまもとの様子です。
9階~12階にホテル「THE BLOSSOM KUMAMOTO(ザ ブラッサム 熊本)」が入ります。全203室の客室はすべて禁煙で、シモンズ社製ベッドやWi-Fi、加湿空気清浄機を完備し、ビジネスから観光まで幅広く対応しています。コンパクトながら機能的な「モデレートビジネスダブル」や、クイーンベッドと独立シャワーブースを備えた「モデレートダブル」、落ち着いたインテリアが魅力の「モデレートツイン」など、ニーズに合わせた客室が入ります。
また、「デラックスコーナーキング」は二面採光の角部屋で開放感があり、「デラックスツイン」「デラックスツイン和-NAGOMI-」はいずれも最大3名まで宿泊可能で、和洋のくつろぎを演出します。更にプレミアム仕様で、熊本市街の景色を一望できる「プレミアムキング」や、広々とした「プレミアムツイン」もあります。バリアフリー対応の「ユニバーサルダブル」、そして126㎡の独立した空間「離れ~THE SUITE」では、熊本の伝統美を感じる贅沢なひとときを楽しめる空間となっています。
館内には、庭を望む大浴場やサウナ、天然地下水のウォーターバーを備えた「湯どころ」、自然光あふれる「フィットネスルーム」、熊本の旬の味覚を楽しめるレストラン「千山万水」など、滞在をより豊かにする施設が充実。中庭のラグーン、水盤、展望デッキやチャペルなど、熊本ならではの風景や空気を感じられる空間も魅力です。
建物側面には、ホテルや商業施設のロゴが取り付けられています。
アミュプラザくまもとは、熊本駅前に誕生した新たなランドマークとして、熊本らしさを体現するデザインを採用しています。ビル外観は、用途ごとの大きなボリュームや広場に面した屋根群をダイナミックにずらすことで、熊本城の城郭が折り重なる姿を表現。周囲の熊本駅駅舎や施設との調和を意識した造形です。特に広場に大きく突き出した大屋根は、強い日差しを遮りながら来訪者を迎え入れる役割を担い、その上部は15m×30mの空中広場「おおやねテラス」として活用されています。このテラスには遊具や暑熱緩和のミスト、テント設営が可能な設備が整い、イベントの開催も可能。加藤神社の分祀も建立され、地域にゆかりある場となっています。
駅前広場「アミュひろば」は「公園のような駅、駅のような公園」をコンセプトに整備され、ビルと一体となって都市の賑わいを演出しています。イベントや情報発信の拠点としても活用され、自然と人が集う熊本駅前の新しい風景を形成しています。
また、駅前広場は「公園のような駅」をコンセプトに整備され、イベントや情報発信の拠点として機能。2,100台収容の駐車場や鉄道・路面電車・バスとの接続により、高い利便性も確保されています。アミュプラザくまもとは、商業・文化・自然を融合させた熊本駅前の新たな顔として、地域のにぎわい創出に貢献しています。
商業施設エントランスです。
ホテルエントランスです。
館内の象徴的な存在が、地上から7階まで吹き抜けで広がる「水と緑の立体庭園(ぼうけんの杜)」です。バイオフィリック・デザインの理念に基づき、自然光を導く階段状の吹き抜け構造とシミュレーションで最適化した環境に、日本自生の数十種の植物を配置。9階ホテル中庭の水盤を起点に、3階から地上階へと幅10m・高さ10mの滝が流れ落ちます。これは南小国の鍋ヶ滝をイメージし、裏側から眺めることも可能です。水と緑が縦に積層された構造は、阿蘇から有明海へと至る熊本の自然を象徴するとともに、駅前広場と連続する立体的なパブリックスペースとして機能します。
正面から見上げた「水と緑の立体庭園(ぼうけんの杜)」の様子です。
ビル内部の吹き抜けを滝が流れる「水と緑の立体庭園(ぼうけんの杜)」は、熊本の新たな観光スポットの一つとなっています。
水と緑の立体庭園(ぼうけんの杜)の滝壺です。
正面から見た水と緑の立体庭園(ぼうけんの杜)の様子です。
水と緑の立体庭園(ぼうけんの杜)には、滝だけでなく、日本自生の数十種の植物も植えられています。
水と緑の立体庭園(ぼうけんの杜)には、訪れた人を不思議な世界へと誘う6つの仕掛けが隠されています。滝の向こうで仲間と出会い(1F)、足音が音楽になる「こだまの小路」(3F)を進み、不思議な動きを見せる「うつし石」(3F)や、心の思いを音にのせて伝える「つたえる花」(3F)を体験することができます。また、静けさと光に包まれる「ささやきの岩」(5F)、そして光が手のひらに広がる「ひかりの源」(6F)など、五感を刺激する仕掛けが満載です。
水と緑の立体庭園(ぼうけんの杜を見下ろした様子です。
*現地にて撮影
*現地にて撮影
フロア構成と商業施設テナント一覧です。
商業施設の内観です。
6階フードコート「うまかモンテラス」です。
6階〜7階レストラン「ひのくにダイニング」です。
商業施設内観です。
商業施設にも樹木が植えてあり、緑豊かな空間となっています。
8階〜9階結婚式場「ザ・フォレストテラス熊本」です。
屋上庭園「おおやねテラス」です。
屋上庭園には、「アミュプラザくまもと加藤神社」があります。
8階〜9階結婚式場「ザ・フォレストテラス熊本」です。「The Forest Terrace Kumamoto(ザ・フォレストテラス熊本)」は、JR熊本駅直結の地上35メートルに位置する結婚式場です。都市の中心にありながら、水・光・緑に囲まれた静かな空間が広がり、アクセスの良さと非日常感を兼ね備えています。
建築デザイン面では、四角錐の屋根を持つチャペルが象徴的で、柱を使わずに構造を支える特殊な設計が採用されています。複雑な形状のため、建築物の設計から施工、維持管理に至る全体の情報を3次元モデルで一元管理する「BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)」を用いて施工計画を進行。鉄骨接合部やガラスカーテンウォール支持部材の干渉など細部まで可視化し、鉄骨製作会社と綿密な連携を図っています。約2,000枚のガセットプレートを使用し、精度の高い溶接技術で施工を成功させたチャペルは、技術力とデザインの融合を体現しています。
肥後よかモン市場
肥後よかモン市場は、熊本駅構内にある約60店舗が集まる商業施設です。熊本名物の馬肉料理や天草の寿司、人気の熊本ラーメン、地元で親しまれるハンバーグ店など、グルメが特に充実しています。新幹線・在来線改札の正面にあり、列車を利用しない人でも自由に立ち寄れる便利な場所です。入口では「くまモン」像がお出迎えしてくれ、写真スポットとしても人気です。
*現地にて撮影
肥後よかモン市場のテナント一覧です。
JR「熊本」駅
熊本駅は、熊本県熊本市西区に位置する、九州旅客鉄道(JR九州)および日本貨物鉄道(JR貨物)の駅であり、熊本市の代表駅です。九州新幹線、鹿児島本線、豊肥本線の3路線が乗り入れており、さらに三角線(あまくさみすみ線)の起点にもなっていることから、熊本の陸の玄関口として重要な交通の拠点となっています。
駅の施設は、2011年の九州新幹線全線開業に合わせて整備が進められました。在来線の高架化は2018年に完成し、2019年には建築家・安藤忠雄氏の設計による新駅舎が完成しました。白川口(東口)は、熊本城の石垣「武者返し」や城門・長塀をモチーフにした和風のデザインが特徴で、ガラス壁から熊本の街並みを眺められるように工夫されています。また、駅周辺では再開発が進められており、高架下には60店舗が集まる「肥後よかモン市場」がオープンしました。
さらに、2021年には地上12階建ての駅ビル「JRくまもとシティ」が開業し、商業施設「アミュプラザくまもと」がその中心として、多くの人でにぎわっています。飲食や買い物、観光情報の収集などが駅構内で完結できる便利な空間となっています。熊本駅は、観光・ビジネス・日常生活など、さまざまな場面で利用される熊本県随一の交通拠点として、今もなお進化を続けています。
JR熊本駅ビル/アミュプラザくまもとの夜景です。
熊本駅周辺とJR熊本駅ビル/アミュプラザくまもとの夜景です。
最終更新日:2025年8月15日