中日ドラゴンズのファーム(2軍)拠点について、中日新聞社、中日ドラゴンズ、ナゴヤドームの3社は、2030年代前半の移転を目指す方針を発表しました。2026年度前半には移転先の公募条件を公表する予定で、東海地方の自治体から広く提案を募る計画です。すでに愛知県内外の複数自治体が誘致に関心や意欲を示しており、プロ野球ファーム拠点を巡る「誘致合戦」の様相が強まっています。
中日ドラゴンズのファーム拠点(2軍)移転の概要
1.移転計画の概要
中日ドラゴンズのファーム拠点は2030年代前半の移転を目標とする方針。
2026年度前半に公募条件を公表し東海地方の自治体から提案募集の計画。
2.ナゴヤ球場の現状
ナゴヤ球場は老朽化が進行し拡張余地も限定的な状況。
育成機能の高度化に対応できないことから移転検討に至った背景。
3.新拠点に求められる条件
約6万㎡以上の敷地に球場や寮などを一体整備できる広大な土地条件。
バンテリンドーム ナゴヤから1時間圏内かつ公共交通アクセス良好な立地条件。
4.公募スケジュールと選定方針
2026年度前半に詳細条件を提示し自治体公募を実施する方針。
東海地方の自治体提案を基に総合評価で移転先を決定する仕組み。
5.瀬戸市の誘致表明
瀬戸市は2026年初頭に市長がいち早く誘致を表明した動き。
交通利便性や商店街連携を活かした地域活性化への期待感。
6.各自治体の誘致競争
安城市や小牧市など複数自治体が検討・関心を表明する状況。
愛知県内外に広がる誘致合戦とプロジェクトチーム設置などの動き。
7.期待効果と今後の展望
経済波及効果や交流人口増加など地域振興への期待の高まり。
一方で財政負担や環境対応など課題を抱えつつ本格競争へ向かう局面。

現在の2軍本拠地であるナゴヤ球場は、1948年に開場した歴史ある球場で、かつては1軍本拠地としても使用されてきました。1997年にバンテリンドーム ナゴヤの完成に伴い2軍施設へと役割を移し、2003年には選手寮「昇竜館」や屋内練習場も整備され、長年にわたり選手育成の拠点として機能してきました。
しかし近年は施設の老朽化が進み、さらに敷地の制約から拡張が難しい状況となっています。高度化する育成環境への対応や選手強化を図るためには、より広く機能的な新拠点の整備が不可欠と判断され、移転の検討が始まりました。

新たな拠点には、単なる球場ではなく、総合的な育成施設としての機能が求められています。具体的には、メイン球場やサブ球場に加え、屋内練習場、選手寮、クラブハウス、駐車場などを一体的に整備できる広大な敷地が必要とされており、参考として約6万㎡以上の土地面積が条件とされています。
また、1軍本拠地であるバンテリンドーム ナゴヤとの連携も重視されており、車で原則1時間以内というアクセス条件が設定されています。加えて、ファンの来場を見据え、公共交通機関によるアクセスの良さも重要な要素となります。さらに、長期的な運営を支えるため、自治体からの支援や協力体制も不可欠とされています。


移転先の選定は、東海地方の自治体からの提案を募る公募方式で行われます。2026年度前半には詳細な募集条件が公表される予定であり、それを受けて各自治体が具体的な提案を行う流れとなります。
すでに球団側からは2026年春から初夏にかけて詳細条件が示される見通しが示唆されており、正式な応募開始前から各自治体が準備を進める「事前競争」が始まっている状況です。プロ野球ファーム施設は近年、観客動員や地域交流の拠点としての役割も強まっており、自治体にとっては大きな地域振興策として注目されています。

瀬戸市は、2026年1月の新年祝賀式において市長がいち早く誘致への名乗りを上げ、積極的な姿勢を示しました。庁内では専門部署を中心に調査・研究を進める体制が整えられており、磁祖公園や南公園などの候補地が挙げられているほか、プロジェクトチームの設置も検討されています。


同市は、バンテリンドームナゴヤの位置する名古屋市から名鉄瀬戸線によるアクセスの良さや、尾張瀬戸駅周辺の商店街との連携による地域活性化などを強みとして挙げています。また、球団施設が単なるスポーツ拠点にとどまらず、選手の生活拠点として長期的に地域と関わる点にも注目し、まちづくりの観点から、数十年単位の経済効果やシティプロモーションへの波及効果を期待しています。

今回の移転構想に対しては、愛知県内を中心に多数の自治体が関心を示しています。安城市は、プロスポーツ拠点の持つ経済・教育・健康面での波及効果に着目し、誘致の可能性を検討しています。既存のスポーツ施設との相乗効果も期待されており、まちづくりの核としての活用が議論されています。


小牧市では、市民からの要望もあり、条件次第での立候補を視野にプロジェクトチームを設置して検討を進めています。既存の市民球場の活用可能性も議論されています。
また、稲沢市や尾張旭市、みよし市でも前向きな検討姿勢が示されており、桑名市など県外自治体も含めて広域的な誘致競争へと発展しています。中には農地集約など大規模な土地確保を前提に検討を進める自治体もあり、条件面での工夫が鍵を握ります。


ファーム拠点の誘致は、経済波及効果や観光振興、雇用創出といった直接的なメリットに加え、地域のブランド力向上やシビックプライドの醸成といった社会的効果も期待されています。試合や練習公開、イベントなどを通じて交流人口の増加が見込まれ、地域全体の活性化につながる可能性があります。
一方で、施設整備に伴う財政負担や交通対策、周辺環境への配慮などの課題も指摘されています。自治体によっては、費用対効果や市民理解の確保、既存スポーツ施設との調整などについて慎重な議論が求められており、単なる誘致競争にとどまらない総合的なまちづくり戦略が問われています。

中日ドラゴンズのファーム拠点移転は、単なる施設更新ではなく、球団と地域の関係性を再構築する重要なプロジェクトとなります。2026年度の公募条件発表を契機に、各自治体による具体的な提案が本格化し、誘致競争はさらに激しさを増す見込みです。
近年は他球団でもファーム施設の高度化が進み、観客を呼び込む地域拠点としての役割が強まっています。こうした流れの中で、新たな拠点がどの地域に整備され、どのような形で地域と共生していくのかは、今後のプロ野球と地域社会の関係を占う試金石となりそうです。
出典
・株式会社中日新聞社/株式会社中日ドラゴンズ/株式会社ナゴヤドーム 中日ドラゴンズのファーム拠点移転2030 年代前半目指し 移転先を来年度公募へ
・津島市 令和8年第1回臨時会に係る臨時記者会見(2026年1月14日)
・瀬戸市 令和8年3月定例会 一般質問
・小牧市 令和8年1月9日定例記者会見
・稲沢市 中日ドラゴンズのファーム拠点の公募について(令和7年11月28日・12月4日・令和8年1月14日・1月21日受付)
・尾張旭市 市議会だよりNo.250 2026 3.1
・安城市 中日ドラゴンズ2軍本拠地の誘致について
・桑名市 令和8年1月6日 市長年頭記者会見 質疑応答(概要)
・四日市市 2月定例月議会における議案に対する意見募集に寄せられた意見
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最終更新日:2026年4月25日