相模原駅北口地区では、大規模な土地利用転換とまちづくりの進展により、将来的に大幅な交通量の増加が見込まれています。これに対応し、駅周辺の南北交通の分断を解消するとともに、企業等の進出意欲を高める基盤整備として検討されているのが、「相模原駅北口地区のまちづくりに伴うJR横浜線の連続立体交差事業」です。
本事業は、JR横浜線と南北道路等を立体交差化し、踏切を除却することで、交通渋滞の解消や歩行者の安全性向上、駅周辺の回遊性向上を図るものです。令和8年度に予備調査を実施し、その結果を踏まえて、令和10年度末以降に事業実施に向けた各種手続きが進められる計画となっています。現時点では事業化を決定した段階ではなく、連続立体交差を基本案としつつ、費用対効果や施工方法、周辺環境への影響などを総合的に検討していく段階にあります。
→相模原市 相模原駅北口地区のまちづくりに伴うJR横浜線の連続立体交差事業について
相模原駅北口地区のまちづくりに伴うJR横浜線の連続立体交差事業の概要
1.大規模まちづくりに伴う交通需要の急増
業務・商業・居住機能の集積による発生・集中交通量の大幅増加。
既存道路網では処理困難となる将来交通への対応課題。
2.南北交通の分断と踏切による慢性的ボトルネック
長時間遮断される踏切による歩行者・自動車交通の阻害。
駅周辺の回遊性低下と安全性確保の課題。
3.JR横浜線と道路の立体交差化による踏切除却方針
鉄道と南北道路の交差構造を抜本的に見直す計画。
踏切除却による交通円滑化と都市機能連結の強化。
4.検討区間を矢掛立体~西門踏切に設定
まちづくり効果と事業性を考慮した重点整備区間。
踏切集中区間における市街地分断解消の狙い。
5.アンダーパス案との比較検討と基本案の選定
事業費・用地取得・市街地分断の観点からの総合評価。
都市構造改善効果を重視した連続立体交差案の優位性。
6.令和8年度予備調査による事業性の精査
施工方式、概算事業費、費用便益分析等の詳細検討。
事業化可否判断に向けた基礎データ整備。
7.令和10年度末以降の法定手続き移行想定
環境影響評価や都市計画決定など段階的プロセス。
関係機関協議を含む長期的事業推進体制の構築。

相模原駅北口地区は、米軍相模総合補給廠の一部返還地を含む広大なエリアで、業務・商業・居住・交流機能を複合的に導入する大規模な土地利用計画が策定されています。今後、オフィスや商業施設、住宅などが整備されることで、発生・集中交通量は1日あたり約2万3,000~2万4,000台規模に達すると想定されています。

しかし、現状および計画中の道路整備、特に(都)宮下横山台線の4車線化だけでは、この交通需要を十分に処理できないことが令和5年度の調査で明らかになりました。そのため、道路ネットワークの強化と鉄道との交差構造の抜本的な見直しが不可欠となり、南北道路とJR横浜線の交差方法として連続立体交差が有力な選択肢として浮上しています。単なる踏切対策にとどまらず、まちづくりのポテンシャルを最大限に引き出す都市基盤整備として位置付けられている点が、本事業の大きな特徴です。

連続立体交差の検討区間は、周辺環境や事業費、まちづくりへの効果を踏まえ、矢掛立体から西門踏切までとされています。この区間には、歩行者・自動車ともに交通遮断時間が長い踏切が複数存在し、特に「相模原踏切」は歩行者ボトルネック踏切に指定されています。

一方で、小原踏切については自動車ボトルネック踏切であるものの、周辺が工場地帯で南北道路がなく、市街地分断の解消効果が小さいこと、また早期対策が必要なことから、別途アンダーパスによる単独立体交差で対応する方針とされています。このように、すべてを一律に連続立体化するのではなく、エリア特性と事業効果を見極めながら、最適な手法を組み合わせて進める考え方が採られており、限られた財源の中で効果を最大化する現実的なアプローチといえます。

過年度および令和6年度の調査では、南北道路を地下化する「道路アンダーパス案」と、鉄道を高架化する「連続立体交差案」の比較検討が行われています。アンダーパス案は事業費が比較的抑えられる一方、既成市街地の分断が生じやすく、多くの用地買収が必要になること、踏切の完全除却が困難な箇所が残ることなどの課題があります。また、小田急多摩線延伸計画との構造的な干渉も指摘されています。
これに対し、連続立体交差案は事業費が高額になるものの、踏切の大幅な除却が可能となり、駅南北の回遊性が飛躍的に向上すること、東西方向の市街地分断が生じにくいこと、用地取得が比較的少なく済むことなど、都市構造上のメリットが大きいとされています。現時点では、こうした総合的な効果を重視し、連続立体交差を基本案として、施工方式や事業区間の最適化を図る方向で検討が進められています。

本事業は長期プロジェクトとなる見込みで、段階的に検討と手続きが進められます。令和8年度には、約5,000万円の予算を計上して予備調査業務委託を実施し、高架区間の検討、施工方式の比較、概算事業費の算定、費用便益分析(B/C)などが行われる予定です。その後、国庫補助の採択や着工準備段階の調査を経て、令和10年度末以降に大規模事業評価、環境影響評価、都市計画決定手続きなど、事業実施に必要な法定手続きが進められる想定となっています。

また、JR東日本、国土交通省、防衛省、米軍など多くの関係機関との協議が不可欠であり、スケジュールは調整状況によって変動する可能性があります。市としては、連続立体交差を行うかどうかの最終判断も含め、予備調査の結果を踏まえて改めて庁議に諮り、段階的に意思決定を行う方針です。まちづくりの進展と歩調を合わせながら、交通インフラ整備をどのタイミングで、どの規模で実施するのかが、今後の相模原駅北口地区の成長を左右する重要なポイントとなります。
最終更新日:2026年1月14日

