相鉄いずみ野線の延伸計画は、神奈川県藤沢市の湘南台駅から、東海道新幹線の新駅誘致が進められている寒川町倉見地区までを結ぶ構想です。延伸区間は約8kmを想定し、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス付近や秋葉台公園付近などに新駅を設置する案が検討されています。神奈川県では、横浜市中心部や都心部と県央・湘南地域とのアクセス向上、広域的な交流・連携の強化を目指して検討を進めています。
一方、鉄道延伸の実現には事業採算性の確保が課題となっており、沿線のまちづくりや交通需要の創出が重要となっています。こうした中、藤沢市では、都市計画道路高倉遠藤線の4車線化に合わせ、連節バスなどを活用したバス高速輸送システム(BRT)の機能強化を検討しています。鉄道延伸に向けた検討と並行して、定時性や速達性、輸送力、利便性を高める公共交通ネットワークの構築を進め、将来的な鉄道整備も見据えた段階的な交通体系の充実を目指しています。
相鉄いずみ野線延伸計画の概要
1.相鉄いずみ野線延伸計画の概要
湘南台駅から藤沢市北部を経由し、東海道新幹線新駅の誘致が進む寒川町倉見地区までを結ぶ約8kmの延伸構想
県央・湘南地域と横浜市中心部・都心部のアクセス向上、広域的な交流・連携の強化を目指す鉄道整備計画
2.延伸区間の拡大と事業採算性の検討
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス付近までを中心としてきた検討対象を、寒川町倉見地区までの全区間に拡大
東海道新幹線新駅の設置構想による需要創出も見据えた、建設費や利用者需要、事業採算性の検証
3.A駅・B駅周辺のまちづくり
秋葉台公園北東側付近のA駅、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス付近のB駅を想定した駅周辺整備の検討
健康と文化の森地区の土地区画整理事業などと連携した、都市機能の集積と公共交通ネットワークの充実
4.高倉遠藤線の4車線化とBRTの機能強化
都市計画道路高倉遠藤線の4車線化に合わせた、鉄道延伸までの当面の基幹交通としてのBRT機能強化
道路整備と公共交通施策の一体的な推進による、地域内の移動利便性向上と交通基盤の充実
5.連節バス導入と輸送力・定時性の向上
連節バスやバス優先走行環境などの活用による、従来の路線バスを上回る輸送力・速達性・定時性の確保
交差点の信号待ちや道路混雑への対策、停留所整備や交通結節機能の強化による利便性の向上
6.段階的な整備ロードマップの策定
短期・中期・長期に分けたBRTの機能強化と、将来的な相鉄いずみ野線延伸を見据えた交通体系の構築
インフラ整備や車両導入、運行サービスの拡充に関する優先順位の整理と、事業費・実現可能性の検討
7.倉見地区の新幹線新駅構想との連携
寒川町倉見地区への東海道新幹線新駅設置に向けた、概略設計の実施と費用負担の見通しをつけるための取り組み
鉄道延伸・BRT機能強化・駅周辺のまちづくりの連携による、県央・湘南地域の交通利便性と都市の魅力向上

相鉄いずみ野線は、相模鉄道本線の二俣川駅から小田急江ノ島線の湘南台駅までを結ぶ約11.3kmの路線です。延伸計画では、終点の湘南台駅から藤沢市北部を経由し、東海道新幹線新駅の誘致地区である寒川町倉見地区まで路線を延ばすことを目指しています。
本計画は、2016年4月に国の交通政策審議会答申第198号において、東京圏の鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトとして位置づけられました。実現すれば、県央・湘南地域から横浜市中心部や都心部へのアクセス向上に加え、沿線地域の都市機能や産業の集積、広域的な交流の促進などが期待されます。ただし、建設費や利用者需要などを踏まえた事業性の確保が必要であり、関係自治体や鉄道事業者などによる継続的な検討が進められています。

これまで相鉄いずみ野線の延伸計画では、利用者需要が見込まれる湘南台駅から慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス付近までを先行区間として、建設コストの縮減や駅周辺のまちづくりなどが検討されてきました。しかし、鉄道整備に必要な事業採算性の確保が課題となっていました。
こうした中、東海道新幹線新駅の誘致先である寒川町倉見地区では、新駅の概略設計に向けた動きが進展しています。神奈川県は2026年9月、延伸計画の採算性向上を目指し、検討対象を湘南台駅から慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス付近までの区間から、倉見地区までの全区間に拡大する方針を示しました。新幹線新駅の設置による交通需要の増加も見込みながら、延伸計画全体の事業性や実現可能性について検討を深めていく考えです。


延伸区間では、藤沢市内に秋葉台公園の北東側付近のA駅と、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス付近のB駅を設置する案が検討されています。両駅の周辺では、鉄道整備による交通利便性の向上だけでなく、地域の特性を生かした市街地形成や公共交通ネットワークの充実を見据えたまちづくりが進められています。
A駅周辺では、既存の土地区画整理事業などによって形成された街並みを踏まえ、駅設置を想定したまちづくり基本計画が策定されています。一方、B駅周辺は、藤沢市の都市拠点の一つである「健康と文化の森地区」に位置しており、土地区画整理事業と連携した都市づくりが進行しています。2024年3月には市街化区域への編入と土地区画整理組合の設立認可が行われ、将来的な鉄道駅の設置も視野に入れた都市機能の充実が期待されています。


藤沢市では、相鉄いずみ野線の延伸が実現するまでの当面の基幹交通としてBRTを位置づけ、都市計画道路高倉遠藤線の4車線化に合わせた機能強化を検討しています。道路整備と公共交通の改善を一体的に進めることで、地域内の移動利便性を高めるとともに、将来の鉄道延伸につながる交通基盤の充実を目指すものです。
BRTは、バス専用・優先レーンや信号制御、連節バスなどを組み合わせ、従来の路線バスと比べて速達性、定時性、輸送力を高める交通システムです。今回の検討では、既存のバスの遅延要因や周辺道路の混雑状況などを整理したうえで、走行環境の改善、運行頻度や輸送力の向上、停留所などの施設整備を含めた機能強化の基本方針を策定します。道路の4車線化とBRTの運行を連携させ、地域の需要に対応した公共交通の実現を目指しています。


BRTの機能強化では、輸送力の向上に加え、利用者にとって使いやすく快適な交通サービスの実現が重要となります。車両面では、通常のバスより多くの乗客を一度に輸送できる連節バスなどが検討対象となり、運行頻度や車両の輸送能力を含め、地域の交通需要に応じたサービス水準を設定していく方針です。
また、道路上の渋滞や交差点での信号待ち、車線数が減少する区間での速度低下などが、BRTの定時性や速達性を左右する課題となります。このため、バスの優先的な走行環境の確保や交通運用の改善、停留所などの周辺インフラ整備を検討し、利便性・快適性の向上を図ります。さらに、停留所とほかの交通手段との接続を考慮したモビリティ拠点の整備なども視野に入れ、地域内の移動を円滑にする公共交通ネットワークの構築を目指しています。


藤沢市は、BRTを当面の基幹交通として機能させながら、将来的な相鉄いずみ野線の延伸も見据え、短期・中期・長期に分けた段階的な整備ロードマップを基本構想として取りまとめる方針です。道路や停留所などのインフラ整備、車両・運行技術の高度化、運行サービスの拡充について優先順位を整理し、鉄道延伸時を中期的な節目として、公共交通ネットワークを段階的に充実させていく考えです。
今後は、運転手不足への対応や運行効率化、自動運転技術、電気自動車などの導入可能性も視野に入れ、持続可能な交通システムのあり方を検討します。また、各施策の実施主体や概算事業費、実現可能性を整理し、具体的な推進体制についても検討が進められます。相鉄いずみ野線の延伸とBRTの機能強化、駅周辺のまちづくり、さらに寒川町倉見地区への東海道新幹線新駅誘致を相互に連携させることで、県央・湘南地域の交通利便性と都市の魅力を高めることが期待されています。
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出典・引用元
・神奈川県 いずみ野線の延伸に向けた取組み
・藤沢市 いずみ野線延伸計画の検討
最終更新日:2026年10月17日