東京建物三津寺ビルディング/カンデオホテルズ大阪心斎橋は、大阪府大阪市中央区心斎橋筋2丁目に建つ地上15階、地下1階、高さ59.95m、客室数180室の高層ホテルです。立地は、西側を御堂筋、南側を三津寺筋に面した場所に位置しています。
1808年建立の七宝山大福院 三津寺の本堂を保存し、三津寺の所有する土地に定期借地権を設定、東京建物が借地権者となってホテル等と一体的に建設することで、庫裏の老朽化といった課題解決や事業収益還元などが図られました。
三津寺 本堂を新築建物の3層吹き抜けピロティ空間に「曳家」を行い、寺社の上部容積を新築建物に活用する建築計画・スキームとなっており、本堂の再建では、1933年以前の姿に戻すため軒の修復、向拝(唐破風)の撤去を行い、その部材の一部を境内の出入口に装飾として転用しています。また、本堂・庫裏を訪れる参拝客と、境内空間を通ってホテルエントランスにアプローチするホテル利用者とが緩やかに交錯する配置となっており、観光客や地域の人々が仏教文化を体感できる空間が形成されています。
施設構成は、地下1階に店舗、地上1階~3階にエントランス、「三津寺」本堂、境内、庫裡、4階にロビー、レストラン、5階~14階に客室、15階に大浴場、PH階に機械室となります。客室構成はキング(19~20㎡)、ツイン(24㎡)、エグゼクティブトリプル(34㎡)、デラックストリプル(38㎡)となっており、付帯施設にはスカイスパ、内風呂、サウナ、レストランが入ります。
構造面では、新築建物の柱部にCFT柱を採用、本堂が入る三層吹き抜けのピロティ部分は剛性を補うためのブレース構面を設置、上部のロングスパン梁には陸建ち制振間柱、低層部には座屈拘束ブレースを設けることによって、地震時のねじれ変形を低減、エネルギーを吸収する設計となっています。また、本堂は、中地震時には本堂と新築建物間に互いの変形が干渉しないクリアランスが確保されており、大変形による倒壊が懸念される大地震時には、新築建物に本堂の屋根荷重を預けて本堂の倒壊を防ぐ構造となっています。
建築主は東京建物株式会社、設計は大成建設株式会社、施工は大成建設株式会社です。着工は2021年1月6日、竣工は2023年9月29日となっています。
過去の建設状況
→過去の建設状況
概要
名称 |
東京建物三津寺ビルディング ホテル名:カンデオホテルズ大阪心斎橋 |
計画名 |
(仮称)三津寺ホテルプロジェクト新築工事 |
所在地 |
大阪府大阪市中央区心斎橋筋2丁目7番12 |
用途 |
複合用途 (ホテル、寺院、物販店舗) |
階数 |
地上15階、地下1階、塔屋1階 |
高さ |
59.95m (軒高:58.50m) |
構造 |
鉄骨造 (柱:CFT造)、一部鉄骨鉄筋コンクリート造 制振構造(座屈拘束ブレース、陸立ち制振間柱) |
基礎工法 |
場所打ちコンクリート拡底杭 |
客室数 |
180室 |
敷地面積 |
893.61㎡ |
建築面積 |
828.99㎡ |
延床面積 |
9,530.50㎡ |
着工 |
2021年1月6日 |
竣工 |
2023年9月29日 |
建築主 |
東京建物株式会社 運営:株式会社カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント |
設計 |
大成建設株式会社 |
施工 |
大成建設株式会社 |
最寄駅 |
Osaka Metro御堂筋線、長堀鶴見緑地線「心斎橋」駅 |
備考 |
▼施設構成 地下1階:店舗 地上1階~3階:エントランス、「三津寺」本堂、境内、庫裡 4階:ロビー、レストラン 5階~14階:客室 15階:大浴場 PH階:機械室
▼カンデオホテルズ大阪心斎橋 客室:キング(19~20㎡)、ツイン(24㎡)、エグゼクティブトリプル(34㎡)、デラックストリプル(38㎡) 付帯施設:スカイスパ、内風呂、サウナ、レストラン |
位置図
標識
配置図
立面図
断面図
イメージパース
▼七宝山大福院 三津寺
写真
北西側から見た東京建物三津寺ビルディングの様子です。
西側正面、御堂筋から見た東京建物三津寺ビルディングの様子です。
西側正面、御堂筋から見た東京建物三津寺ビルディングの高層部分の様子です。
南西側から見た東京建物三津寺ビルディングの低層部分の様子です。新築建物の北側はピロティが設けられており、ピロティ内に三津寺 本堂が格納されており、南側はカンデオホテルズ大阪心斎橋のエントランスと店舗区画となっています。
敷地南側の三津寺筋です。写真奥、東側には南北に心斎橋筋商店街が形成されています。
南東側から見た東京建物三津寺ビルディングの様子です。
北西側から見た東京建物三津寺ビルディングの低層部分の様子です。
3層吹き抜けのピロティ内に三津寺の本堂が建っています。高層ホテルの低層部分の吹き抜けに寺院が建つ、かなり珍しい事例となりました。
御堂筋から見た三津寺 本堂の様子です。
「三津寺 本堂」です。「ミナミの観音さん」とも呼ばれているそうです。
三津寺の出入り口には、寺社看板が設けられています。
灯籠や草花など、御堂筋に面した外構の様子です。
「十一面観世音菩薩」です。
三津寺 本堂を正面から見た様子です。
本堂の再建では、1933年以前の姿に戻すため軒の修復、向拝(唐破風)の撤去を行い、更には曳家が行われて移動しています。
三津寺の境内とホテルのエントランスアプローチの様子です。境内とホテルへのアプローチが一体化している不思議な空間となっています。
「愛染明王坐像」です。
ホテルエントランスです。
「スカイスパ露天風呂」のイメージパースです。
「スカイスパ内湯」のイメージパースです。
早朝5時の道頓堀の様子です。昼間や夜は人だらけで足の踏み場もなく、撮影どころではないですが、早朝はこのように誰もいませんでした。撮影した三津寺も昼間は人が大勢いるため、全体を撮影するのであれば早朝がおすすめです。
最終更新日:2024年7月8日