佐賀市では、2024年の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の開催や「SAGAサンライズパーク」の整備を契機として、佐賀駅周辺の大規模な都市整備を進めています。駅前広場の再整備や道路空間の高質化、交流拠点の整備に加え、駅南口に残る約1ヘクタールの旧西友駐車場敷地の高度利用が新たな重点プロジェクトとなっています。
2026年6月には、同敷地を対象とした新たなサウンディング型市場調査が開始されました。佐賀市は「さがリンクステーション構想」のもと、佐賀駅を北部九州の交流拠点として位置付け、ホテルやオフィス、商業施設などを含む民間開発を誘導する方針です。駅前空間の再編や「さが維新テラス」の整備と合わせ、佐賀駅周辺では公共空間整備と民間投資を連動させた大規模なまちづくりが進展しています。
佐賀駅周辺整備事業の概要
1.佐賀駅周辺整備事業の概要
佐賀駅を中心に南北軸を強化し、駅前から中心市街地へ賑わいを波及させる都市再生プロジェクト。
公共空間整備と民間開発を一体的に進める佐賀市の中心市街地活性化施策。
2.SAGAサンライズパークとの連携
国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会を契機とした交流人口拡大の取り組み。
佐賀駅とSAGAサンライズパークを結ぶ都市軸形成による回遊性向上。
3.駅前広場の再整備
北口・南口広場を全面刷新し、歩行者中心の駅前空間へ転換。
イベントや交流活動にも対応する滞留・賑わい創出拠点の形成。
4.サンライズストリートの整備
市道三溝線の歩道拡幅や無電柱化を進める快適な歩行空間の創出。
佐賀駅からアリーナへ続くメインストリートとしての機能強化。
5.沿線交流施設の整備
SUNRISE BOXやSUNRISE POCKETなど休憩・交流拠点の整備。
歩行者の回遊促進と地域コミュニティ形成を支える公共空間の充実。
6.旧西友駐車場敷地の民間開発誘導
佐賀駅南口に残る約1ヘクタールの低利用地活用に向けた再開発計画。
ホテルを核とした複合開発による新たな賑わいと経済効果の創出。
7.さが維新テラスによるまちづくり
県道佐賀駅下古賀線を広場のような歩道空間へ再編するウォーカブル事業。
道路整備から人中心のまちづくりへ転換する新たな都市空間の創出。

佐賀駅周辺整備事業は、佐賀市の新たな都市戦略の中核として位置付けられています。その背景には、「SAGAサンライズパーク」の整備による交流人口の拡大があります。アリーナを中心とした集客施設の整備により、多くの来訪者を市街地へ呼び込む環境が整いつつあります。
また、佐賀駅やバスセンターの年間利用者数は延べ1,200万人規模に達しており、駅周辺は佐賀市最大の交通結節点です。さらに、中心市街地へ続く中央大通り周辺では再生に向けた取り組みも進められており、駅を起点とした都市機能の強化が求められていました。
こうした状況を受け、佐賀市は「佐賀駅を中心とした南北軸の強化」を掲げ、駅前空間や道路、公共施設、民間開発を一体的に進めることで、市街地全体の活性化を目指しています。

佐賀駅では北口・南口の両駅前広場が大規模に再整備されました。北口広場は2021年に供用を開始し、従来の複雑な変則交差点をスクランブル交差点へ改良するとともに、タクシーや一般車両の乗降場が整理されました。これにより歩行者の安全性と利便性が向上し、待ち合わせなどに利用できる広場空間も創出されています。
南口広場は2022年に全面供用を開始しました。従来は駐車場や車両動線が中心の空間でしたが、再整備後は大屋根やベンチを備えた交流広場へと生まれ変わりました。イベント開催やキッチンカー出店などにも対応しており、「車中心」から「人中心」へと大きく転換しています。現在は指定管理者による運営が行われており、市民の憩いの場であると同時に、駅前の賑わい創出拠点として活用されています。

佐賀駅北口からSAGAサンライズパークへ続く市道三溝線は、「サンライズストリート」として再整備が進められています。道路では歩道の拡幅や無電柱化、透水性舗装、ストリートペイントなどを導入し、快適な歩行空間を形成しています。道路幅員の再配分によって歩行者空間を拡大し、イベントや散策を楽しめる環境づくりが進められています。

佐賀駅南口では、旧西友駐車場跡地の再開発が段階的に進められています。店舗跡地には2020年に複合商業施設「コムボックス佐賀駅前」が開業し、JAグループを中心とした商業・情報発信拠点として機能しています。
一方、その南側に広がる約1ヘクタールの旧西友駐車場敷地は、駅前の好立地でありながら長年駐車場利用が続いてきました。佐賀市はこの土地を駅周辺活性化の切り札と位置付け、2022年には約3,660平方メートルの市有地を取得し、土地所有者との共同開発体制を構築しています。

そして2026年6月1日、佐賀市は新たな「佐賀駅南地区土地利活用に係るサウンディング型市場調査」を開始しました。調査対象地は約10,113平方メートルで、佐賀駅と佐賀駅バスセンターに隣接する商業地域です。今回の調査では、「敷地全体を一体開発するケース」と「市有地約3,660平方メートルを先行活用し、残地の駐車場と連携するケース」の2案を想定し、民間事業者から幅広い提案を募集しています。
佐賀市は、年間約1,200万人が利用する交通結節点という立地特性に加え、SAGAアリーナや国際線LCC利用者の増加、訪日外国人観光客の回復などを背景に、交流人口拡大の好機を迎えているとしています。そのためホテル立地を有力候補としながらも、オフィスや商業施設、コンベンション関連機能など多様な用途の提案を受け入れる方針です。

今回の市場調査では、佐賀市が新たに掲げる「さがリンクステーション構想」の方向性も明らかになりました。佐賀駅は1日約2万5,000人が利用する北部九州の交通拠点であり、九州佐賀国際空港と北部九州各地を結ぶハブ機能を担っています。佐賀市はこの立地を活かし、来訪者を市街地やSAGAサンライズパークへ誘導する「おもてなし機能」の強化を目指しています。
近年はSAGAアリーナの開業やBリーグ・SVリーグの開催によって平日の宿泊需要も増加しています。また、大規模コンサートやコンベンション誘致の機会も拡大している一方で、佐賀駅周辺にはシティホテルやラグジュアリーホテルが存在せず、宿泊機能の不足が課題となっています。
このため市は、新たなホテル整備や交流施設の導入によって滞在型観光を促進し、駅前の賑わいを市街地全体へ波及させることを目指しています。現在公表されているスケジュールでは、2026年度に市場調査、2027年度に公募事業者の選定、2028年度以降に設計・開発を進め、2030年前後の開業を視野に入れたプロジェクトとして検討が進められています。

佐賀駅南側では、佐賀県による県道佐賀駅下古賀線の再整備が進められ、「さが維新テラス」が誕生しました。この事業は約200メートルの道路空間を単なる交通インフラではなく、人々が滞在し交流できる広場のような空間へ転換する取り組みです。歩道の大幅な拡幅に加え、ベンチやテラス席を配置し、マルシェやキッチンカーの出店などが可能な空間として整備されました。

また、旧駅前交番西交差点周辺には「さが維新広場」が整備され、鍋島直正をはじめとする佐賀の偉人モニュメントの設置も進められています。駅前から佐賀城跡や中心市街地へ向かう歩行者動線を強化し、街歩きを楽しめる環境づくりが進められています。
この取り組みは、従来の「道路づくり」から「まちづくり」への転換を象徴するプロジェクトであり、佐賀駅周辺整備事業の重要な柱の一つとなっています。今後は旧西友駐車場敷地の開発と連携しながら、駅前から中心市街地へと続く新たな都市軸の形成が期待されています。
出典
・佐賀市 佐賀駅周辺整備
・佐賀市 佐賀駅南地区土地利活用に係るサウンディング型市場調査の実施について
最終更新日:2026年6月7日