多摩都市モノレール延伸(上北台〜箱根ケ崎)事業は、東京都が進める多摩地域最大級の公共交通インフラ整備プロジェクトです。2025年5月には軌道法に基づく軌道事業特許を取得し、さらに2026年5月22日には「軌道第一次分割工事施行認可」を国土交通大臣から取得しました。今回認可されたのは、支柱・軌道桁・駅舎など、モノレール本体の骨格を形成する重要な工事部分です。
延伸区間は現在の終点である上北台駅からJR箱根ケ崎駅付近までの約7.1kmで、東大和市・武蔵村山市・瑞穂町を結びます。7つの新駅が整備され、2030年代半ばの開業を目指して段階的に工事が進められる予定です。鉄道空白地帯である武蔵村山市への鉄道導入や、多摩地域全体の南北交通強化、都市基盤整備、沿線まちづくりなど、多方面に大きな効果をもたらす事業として注目されています。
多摩都市モノレール延伸(上北台〜箱根ケ崎)事業の概要
1.軌道第一次分割工事施行認可を取得
2026年5月22日に国土交通大臣より「軌道第一次分割工事施行認可」を取得。
支柱・軌道桁・駅舎などモノレール本体工事が本格化する重要段階への到達。
2.上北台〜箱根ケ崎間約7.1kmを延伸
東大和市・武蔵村山市・瑞穂町を結ぶ約7,055メートルの延伸計画。
鉄道空白地帯を解消し、多摩地域北部の交通利便性向上を図る大型交通事業。
3.2030年代半ばの開業を目指す大規模整備
令和7年度から令和16年度まで約10年間に及ぶ段階的整備計画。
総額2,000億円規模となる多摩地域屈指の公共交通インフラ事業。
4.7つの新駅を整備
延伸区間に仮称No.1〜No.7駅を新設する計画。
箱根ケ崎側終点駅では航空制限に対応した特殊構造駅舎の採用。
5.武蔵村山市の悲願となる鉄道導入
鉄道駅が存在しなかった武蔵村山市への初の鉄道系交通導入。
長年の地域要望と政策的後押しが結実した歴史的プロジェクト。
6.道路拡幅・無電柱化を一体整備
新青梅街道を中心に都市計画道路の拡幅や歩行空間整備を推進。
無電柱化や防災性向上を含めた総合的な都市基盤再編事業。
7.多摩地域全体の交通ネットワーク強化
JR八高線と多摩モノレール接続による南北交通軸の形成。
アクセス性向上や沿線開発促進など多摩地域全体の活力向上への期待。

多摩都市モノレール延伸(上北台〜箱根ケ崎)事業は、2025年5月に軌道法に基づく軌道事業特許を取得し、その後「軌道第一次分割工事施行認可」を申請していました。そして2026年5月22日、国土交通大臣より正式に認可が下り、事業は新たな段階へ進みました。
今回認可された工事内容は、支柱・軌道桁・駅舎などモノレールインフラの骨格部分です。これにより、今後は用地取得や埋設物移設と並行して、本格的な建設工事が段階的に進められることになります。
東京都は既に都市計画事業認可も取得しており、上北台駅からJR箱根ケ崎駅方面への延伸を正式事業として推進しています。多摩地域の交通体系を大きく変える重要プロジェクトとして、いよいよ実際の建設段階へ移行していくことになります。


延伸区間は、東大和市上北台一丁目から西多摩郡瑞穂町大字箱根ケ崎字狭山までの約7,055メートルです。現在の終点である上北台駅から北西方向へ進み、東大和市・武蔵村山市・瑞穂町の3市町を縦断しながらJR箱根ケ崎駅付近へ至ります。
整備されるのは都市モノレール専用道である特殊街路で、既存の新青梅街道中央部を活用しながら建設されます。輸送方式は既存路線と同じ跨座式モノレール方式を採用し、4両編成・定員約400人の車両が運行される計画です。延伸区間には7駅が新設され、鉄道空白地帯であった武蔵村山市に初めて鉄道系公共交通が導入されることになります。これにより、多摩地域北部の交通利便性は飛躍的に向上することが期待されています。


多摩都市モノレール延伸(上北台〜箱根ケ崎)事業の工事期間は令和7年度から令和16年度までの約10年間を予定しています。インフラ部の事業費は約904億円で、支柱・桁・駅舎などの構造部分を東京都が整備します。さらに、多摩都市モノレール株式会社が施行する車両・電車線・信号設備・券売機などのインフラ外部費として、約1,290億円が計画されています。総事業費は2,000億円規模に達する見込みで、多摩地域でも屈指の大型交通インフラ整備となります。
施工は段階的に進められ、まず地下埋設物の移設を実施した後、道路交通を外側へ切り替えながら中央部に施工ヤードを整備します。その後、支柱・軌道桁・駅舎などを順次建設し、最終的に歩道整備や無電柱化などを含めた都市基盤整備が完成する計画です。2026年時点では、既にモノレール建設に伴う道路整備事業地の整備工事が進められています。2030年代半ばの開業を目標としており、完成すれば多摩地域の交通体系に大きな変化をもたらすことになります。


延伸区間には、仮称No.1〜No.7の計7駅が整備されます。基本的には島式ホーム構造を採用し、No.1〜No.6駅は既存区間と同様に、改札階の上にホーム階を配置する二層式駅舎となります。ホーム延長は66メートル、ホーム幅員は約8.5メートルで計画されており、新青梅街道の幅員を最大39.5メートルまで拡幅することで駅施設や連絡通路を確保します。
一方、JR箱根ケ崎駅前に整備される終点のNo.7駅は、横田基地の航空制限を受ける特殊条件下にあるため、改札階とホーム階を同一階に配置した一層式駅舎となる点が特徴です。これは通常の高架モノレール駅とは異なる特殊構造であり、延伸区間を象徴する駅になるとみられています。新駅周辺では駅前広場整備や再開発、商業施設立地なども期待されており、沿線の都市構造にも大きな影響を与える可能性があります。


多摩都市モノレールは1998年から2000年にかけて多摩センター〜上北台間が開業し、多摩地域を南北に結ぶ基幹交通として発展してきました。しかし、上北台駅より北側は鉄道交通が弱く、特に武蔵村山市には現在も鉄道駅が存在していません。
そのため、多摩モノレール延伸は長年にわたり地域最大級の悲願とされてきました。武蔵村山市役所には延伸の都市計画決定を祝う垂れ幕が掲げられ、沿線では現在でも「箱根ヶ崎方面延伸の早期実現」を求める看板や広告を見ることができます。
2016年の交通政策審議会答申198号では、上北台〜箱根ケ崎間が「事業化に向け調整すべき区間」に位置付けられ、東京都も「未来の東京」戦略や「2050東京戦略」の中で重要プロジェクトとして推進してきました。今回の工事施行認可取得は、こうした長年の地域要望と政策的後押しが具体的な形となったものであり、多摩地域北部の歴史的転換点ともいえる出来事です。

多摩都市モノレール延伸(上北台〜箱根ケ崎)事業ではモノレール延伸だけでなく、新青梅街道を中心とした道路整備も一体的に進められます。立川3・2・4号、福生3・4・4号、福生3・4・10号などの都市計画道路が拡幅され、駅部では道路幅員が37メートル以上(No.7駅のみ幅員35.5メートル※断面図より読み取り)へ拡張されます。歩道整備や連絡通路、電線共同溝の整備も行われるため、無電柱化や歩行者空間の改善、防災性向上など都市環境全体の質的向上が期待されています。
特に箱根ケ崎アンダーパス付近では、既存構造物との関係からモノレール軌道を北側へ迂回させる特殊な線形となり、道路幅員は最大39.5メートルまで拡幅される計画です。また、JR箱根ケ崎駅前でも駅前広場や歩行空間確保のため道路拡幅が行われます。単なる鉄道整備ではなく、道路・景観・防災・歩行空間整備を含めた総合的な都市基盤再編事業としての側面も、本計画の大きな特徴となっています。

延伸が実現すると、JR八高線と多摩モノレールが接続され、箱根ケ崎駅から多摩センター駅まで南北方向の公共交通軸が形成されます。これにより、多摩地域内の移動利便性は大幅に向上し、通勤・通学・買い物など日常移動の選択肢が広がります。
特に八高線沿線から立川方面、多摩ニュータウン方面へのアクセス改善効果は大きく、多摩地域全体の広域交通ネットワーク強化につながります。また、新駅周辺では住宅開発や商業開発、都市機能集積なども期待されており、沿線価値向上への波及効果も注目されています。

さらに、多摩都市モノレールは将来的に町田方面や八王子方面への延伸構想も存在しており、上北台〜箱根ケ崎間の整備は、将来の多摩地域広域交通ネットワーク形成の第一歩とも位置付けられます。2030年代半ばの開業に向け、今後は本格的な工事が段階的に進められる予定であり、多摩地域の都市構造や交通環境を大きく変えるプロジェクトとして、今後の動向に大きな注目が集まります。
出典:東京都 多摩都市モノレール延伸事業に着手します 上北台駅からJR箱根ケ崎駅方面へ延伸します
最終更新日:2026年5月27日