東京メトロ南北線の分岐線(品川~白金高輪間)計画が、いよいよ本格的な建設段階に入りました。本事業は、現在の東京メトロ南北線を白金高輪駅付近で分岐し、品川駅方面へ約2.8km延伸するもので、うち約2.5kmは地下トンネルとして整備されます。事業主体は東京地下鉄株式会社(東京メトロ)で、2030年代半ばの開業を目指しているものとなっています。
延伸区間には新たに地下駅となる「品川駅」が整備され、中間駅は設置されない計画です。品川駅ではJR各線や東海道新幹線、京急線、将来的にはリニア中央新幹線との接続が期待されており、東京の新たな広域交通ネットワークの中核を担う路線として注目されています。
現在、品川駅西口の国道15号では大規模な車線規制が始まり、地下鉄駅や駅前広場整備に向けた準備工事が本格化しています。現地では土留壁工事に使用される鋼材の仮置きや大型重機の搬入が進められており、長年構想段階にあった南北線延伸が、ついに“見える形”で動き出しました。
東京メトロ南北線延伸(品川・白金高輪間)の概要
1.東京メトロ南北線の分岐線計画
白金高輪駅から品川駅方面へ約2.8km延伸される東京メトロ南北線の新線計画。
リニア中央新幹線の始発駅・品川と都心部を直結する新たな地下鉄ネットワークの形成。
2.2030年代半ばの開業を目指す巨大事業
総建設費約1,310億円、工期約10年に及ぶ大規模地下鉄建設プロジェクト。
東京の国際競争力強化と都心アクセス向上を担う国家的都市基盤整備。
3.品川駅西口で本格化する工事
国道15号では大規模な車線規制が始まり、地下駅建設に向けた準備工事が進行。
土留壁用鋼材の搬入や大型重機の稼働など、本格施工段階への移行。
4.地下3階に整備される新・品川駅
国道15号直下に建設される延長約460m、地下3階構造の大規模地下駅。
JR各線、新幹線、京急線、将来のリニア中央新幹線と接続する巨大交通結節点。
5.営業路線直下で進む白金工区の難工事
営業中の南北線直下に分岐トンネルを構築する国内有数の高難度地下工事。
交通を維持しながら段階的に道路切替を行う高度な施工計画。
6.「ミチウエ」構想による駅前空間再編
国道15号上空を活用した巨大デッキと駅前広場の一体整備計画。
歩行者・バス・タクシー・新モビリティを立体的につなぐ次世代交通ターミナル。
7.“日本の顔”へ進化する品川エリア
リニア中央新幹線や京急品川駅地平化と連動して進む大規模再開発。
国際交流拠点として都市機能を飛躍的に強化する品川駅周辺の再編。

今回建設される「都市高速鉄道第7号線品川~白金高輪間建設事業」は、港区高輪四丁目から白金二丁目までを結ぶ新たな地下鉄路線です。路線延長は約2.8kmで、その大部分となる約2.5kmが地下トンネル区間となります。
軌間は既存の東京メトロ南北線と同じ1,067mm、車両は20m級車両による8両編成が使用される計画です。白金高輪駅から分岐することで、南北線の列車が直接品川駅へ乗り入れる構造となり、六本木一丁目・溜池山王・永田町方面と品川エリアが一本で結ばれることになります。
事業期間は約10年を予定しており、総建設費は約1,310億円です。完成後は、リニア中央新幹線の始発駅となる品川駅へのアクセス向上に加え、都心部と国際交流拠点を直結する新たな交通軸として重要な役割を果たすことになります。

2024年11月5日に着工した本事業ですが、2026年からはいよいよ本格的な施工段階へ移行しています。特に変化が大きいのが、品川駅西口側の国道15号(第一京浜)です。
国土交通省は、港区高輪三丁目から高輪四丁目までの約800m区間において、2026年1月15日から2033年2月頃まで長期的な車線規制を実施すると発表しました。昼間は片側2車線、夜間には片側1車線規制となる場合もあり、長期にわたる交通影響が見込まれています。
現在の現地では、開削工法による地下駅建設に向け、柱列式地下連続壁で使用される鋼材の仮置きが始まっています。また、アースオーガなどの大型重機も搬入され、地下掘削に向けた準備工事が本格化しています。
現地の工事看板には、「駅前広場と地下鉄の新しい駅をつくる工事を行っています」と記載されており、工期は令和15年2月28日までとされています。品川駅西口では今後、道路の切り回しを行いながら段階的に掘削工事が進められる予定です。


新設される東京メトロの品川駅は、国道15号直下に整備される地下3階構造の島式ホーム駅となります。ホーム延長は約165m、駅全体の延長は約460mにも及ぶ大規模地下駅です。
工事では、幅約19m~22m、深さ約23m~27mにわたり地下を掘削する計画で、都心部でも最大級クラスの開削工事となります。施工は、道路交通を維持しながら進められるため、まず路面覆工板を設置し、その下で掘削を行う手法が採用されます。

掘削後は地下構造物を下層から順次構築する「順巻工法」により施工し、鉄筋組立やコンクリート打設を繰り返しながら駅躯体を構築していきます。完成後には換気施設や変電設備も駅地下に設置され、東京メトロ南北線の新たなターミナルとして機能することになります。
また、品川駅ではJR在来線、東海道新幹線、京急線、将来的なリニア中央新幹線との接続が期待されており、国内有数の巨大交通結節点へ進化することになります。


白金高輪側では、営業中の南北線直下で分岐トンネルを構築する極めて難易度の高い工事が進められます。工事区間は目黒通り沿い約120mで、既存路線の真下に新たな構築物を設置する必要があります。
まず、南北線直下に高さ約10m・幅約13mの分岐トンネルを構築し、その後、線路脇に高さ約30m規模の電気設備用構築物を整備します。掘削深度は最大約40mに達し、都内地下鉄工事でも特に大規模な部類に入ります。
工事期間中は営業線を維持する必要があるため、路面覆工や土留壁を活用しながら慎重に施工が進められます。添付されている交通切替図でも示されているように、工事は「東寄り通行」「西寄り通行」「完成」の3段階で進められ、交通を維持しながら地下構造物を構築していく計画です。
完成後には、現在の南北線から品川方面へ列車が分岐可能となり、白金高輪駅がネットワーク上の重要な結節点へ変貌することになります。


今回の地下鉄延伸は、単なる鉄道建設に留まらず、品川駅西口一帯の大規模再編と一体で進められている点が最大の特徴です。
国土交通省は「ミチウエ&スクエア&品川」というコンセプトを掲げ、国道15号上空を活用した巨大歩行者デッキや交通ターミナルの整備を進めています。道路上空に広大なデッキ空間を整備し、駅・まち・道路を立体的につなぐことで、多様な交通モードをシームレスに接続する計画です。


デッキ階には歩行者空間や新モビリティ乗降場、待合施設などが整備され、地上階にはバス・タクシー・一般車両の交通結節機能が配置されます。さらに災害時には、一時退避場所や代替交通拠点として機能する防災拠点としての役割も担います。
品川駅周辺では、京急品川駅地平化、リニア中央新幹線、駅街区再開発、高輪ゲートウェイ周辺開発など巨大プロジェクトが同時進行しています。今回の南北線延伸は、その都市構造変化を支える“最後のピース”とも言える存在であり、2030年代の品川は現在とは全く異なる都市景観へ進化していくことになりそうです。
出典
・東京都 東京メトロ南北線の分岐線(品川~白金高輪)計画
・東京地下鉄株式会社 新たな未来へ向けた第一歩!有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)新線プロジェクトが本日ついに始動します
・有楽町線・南北線延伸 新線プロジェクト
・国土交通省関東地方整備局 国道15号品川駅西口基盤整備及び地下鉄南北線延伸工事に伴う車線規制のお知らせ
最終更新日:2026年5月28日