TOPPANホールディングスは、東京都台東区台東一丁目で大規模な建替解体工事を進めています。現地標識によると、工事名称は「TOPPAN台東地区建替解体工事」で、解体対象は営業ビルやスタジオ棟、旧会館など計10棟、総延床面積は32,013.78㎡に及びます。施工は鹿島建設が担当し、2026年5月1日に解体着工、2029年9月30日の解体完了を予定しています。
この計画は、TOPPANホールディングスの第179期株主通信にも記載がある「秋葉原の再構築」の一環とみられています。現地は秋葉原駅から北東へ約450m、徒歩8分程度の場所に位置し、1968年に竣工した旧本社系施設「トッパンビルディング」を中心とする一帯です。2025年5月時点では既に仮囲いが設置され、段階的に解体工事が進められていました。跡地活用の詳細や新施設の規模・用途は現時点では公表されていませんが、秋葉原〜台東エリアにおけるTOPPANグループ再編の象徴的プロジェクトとして注目されています。
TOPPAN台東地区の概要
1.TOPPAN台東地区で進む大規模解体工事
TOPPANホールディングスが東京都台東区台東一丁目で進める「TOPPAN台東地区建替解体工事」。
営業ビル群など計10棟、総延べ床面積32,013.78㎡に及ぶ大規模解体計画。
2.2029年完了を目指す長期工事
解体工事は鹿島建設が担当し、2026年5月着工、2029年9月完了予定。
SRC造・RC造・S造が混在する建築群を対象とした長期解体事業。
3.「秋葉原の再構築」の一環
2023年の新中期経営計画で掲げられた「秋葉原の再構築」に伴う再編計画。
老朽化した拠点群の更新と事業構造転換を見据えた都市再整備。
4.1968年竣工の旧トッパンビル解体
創業地・台東区に建設された旧本社系施設「トッパンビルディング」を含む解体。
高度経済成長期を象徴するTOPPANの歴史的拠点群の更新。
5.営業ビル群を中心とした計10棟
営業ビル1号館から3号館、西館、東館、スタジオ棟など多様な施設群。
最大規模は延べ9,765.78㎡の営業ビル1号館。
6.秋葉原駅徒歩圏の高い開発ポテンシャル
秋葉原駅から徒歩約5~10分、商業地域・容積率500%の高度利用可能地。
商業・業務・都心居住複合エリアに位置する再開発適地。
7.跡地利用に注目集まる創業地再編
現時点で跡地活用や新施設計画の詳細は未公表。
秋葉原東側エリアの新たな都市景観形成につながる可能性。

今回の解体工事は、単なる老朽建築物の撤去ではなく、TOPPANホールディングスが推進する大規模な事業再編の一環として位置付けられています。同社は2023年に持株会社体制へ移行し、商号を「凸版印刷株式会社」から「TOPPANホールディングス株式会社」へ変更しました。1900年創業以来初となる社名変更であり、従来の印刷会社から総合ソリューション企業への転換を鮮明にしています。

TOPPANは印刷技術を核にしながら、情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスといった幅広い分野へ事業を拡大してきました。近年では液晶カラーフィルタや半導体向けフォトマスク、ICタグ関連事業、デジタルコンテンツ分野などにも力を入れており、従来型の「印刷会社」という枠を超えた企業へ変貌しています。
こうした変革の中で掲げられたのが「秋葉原の再構築」です。秋葉原に隣接し、創業地でもある台東地区には、長年にわたりTOPPANの事業拠点群が集積してきましたが、施設の老朽化や事業構造の変化に対応するため、大規模な再整備が必要になっていました。今回の解体工事は、その新たなまちづくりへ向けた第一段階といえます。


解体対象となっている建物群は、TOPPANの歴史を支えてきた重要拠点です。特に象徴的なのが、1968年に下谷工場跡地へ建設された旧本社ビル「トッパンビルディング」です。創業地である台東区台東一丁目に立地し、営業部門や生活環境事業本部、マテリアルソリューション事業本部などが配置されてきました。
このエリアは道路を挟んで現在の本社機能とも向かい合っており、TOPPANグループの中核地区として長年機能してきました。また、各館は連絡通路で接続されるなど、一体的な業務環境が形成されていました。
高度経済成長期に整備された大型オフィス群は、当時としては先進的な企業施設でしたが、築50年以上が経過し、設備更新や耐震性能、働き方改革への対応などが課題となっていました。今回の解体によって、昭和後期から続いたTOPPAN台東地区の風景は大きく変わることになります。

今回の計画では、営業ビル群を中心に計10棟が解体対象となっています。総延べ床面積は32,013.78㎡に達し、秋葉原周辺でも比較的大規模な解体事業となっています。
最大規模の建物は「営業ビル1号館」で、延べ床面積は9,765.78㎡、高さ36.55m、地上8階・地下2階・塔屋1階のSRC造です。続く「営業ビル2号館」は8,096.83㎡で、地上11階・地下1階、高さ48.05mを誇ります。「営業ビル3号館」も7,572.26㎡の規模を持つSRC造の大型建築でした。

そのほか、「西館」は6階建てRC造、「東館」は7階建てRC造となっており、複数の中規模オフィス棟が密集していたことが分かります。また、「スタジオ棟」や「旧年金会館」、小規模なゴミ小屋なども解体対象に含まれており、敷地全体を一体的に再編する計画であることがうかがえます。
これらの建物はSRC造・RC造・S造が混在しており、解体工事も長期間に及びます。工期は約3年5か月に設定されており、アスベスト除去作業も含めた慎重な工程が組まれています。

計画地は秋葉原駅から徒歩約5~10分という立地にあり、都心部でも非常に高い再開発ポテンシャルを持つエリアです。用途地域は商業地域に指定され、容積率500%、建ぺい率80%という高度利用が可能な条件を備えています。また、防火地域に指定されており、都心型の大規模複合開発にも対応できる土地です。
都市計画マスタープランでは「上野地域」に属し、「商業・業務・都心居住複合エリア」として位置付けられています。商業・業務機能のさらなる強化に加え、利便性の高い職住近接型の都市機能形成が誘導されている地域でもあります。
秋葉原周辺では近年、オフィス、ホテル、複合施設、住宅などの再開発が相次いでおり、台東区側にも都市更新の波が広がっています。今回のTOPPAN台東地区再整備も、秋葉原駅東側エリアの街並みを大きく変えるプロジェクトへ発展する可能性があります。

現時点では、解体後の跡地利用についてTOPPAN側から正式な発表は行われていません。しかし、これほど大規模な敷地が秋葉原徒歩圏で再編される事例は希少であり、都心部での新たな不動産開発として注目を集めています。
TOPPANは現在、デジタル分野や半導体関連、DX支援事業など成長領域へのシフトを進めており、今後の拠点整備でも従来型オフィスだけではない新しい都市機能が導入される可能性があります。研究開発機能やイノベーション拠点、あるいは複合用途型施設への転換も考えられます。
また、秋葉原エリアでは近年、オフィス需要だけでなく、ホテルや住宅、交流施設など多機能化が進んでいます。TOPPANが長年保有してきた創業地周辺の広大な土地をどのように再構築するのかは、今後の秋葉原・台東エリアの都市形成にも大きな影響を与えそうです。2029年の解体完了後、この場所にどのような新たな都市景観が誕生するのか、引き続き注目されます。
最終更新日:2026年5月30日