京急グループ本社は、神奈川県横浜市西区高島1丁目に建つ地上18階、地下1階、高さ85.55mの超高層ビルです。立地は、北側をとちのき通り、東側をみなとみらい大通り、南側をキング軸に囲まれたみなとみらい21地区 56-1街区に位置しています。
京浜急行電鉄(京急電鉄)を中心に、京急バス、京急不動産、京急ストアなど計11社のグループ企業が2019年にこのビルに集約されました。従来、各社の本社は東京や神奈川の異なるエリアに点在していましたが、創立120周年を記念して新たな拠点を構築し、約1,200人の社員が一堂に会することで、業務の効率化や連携強化を図っています。
本社ビルの1階には、「京急ミュージアム」が併設されています。このミュージアムは、京急の歴史や魅力を広く紹介する施設で、2020年1月にオープンしました。館内では、昭和初期に活躍した保存車両「デハ230形デハ236号」や、沿線を精密に再現した「京急ラインジオラマ」が展示されています。また、運転シミュレーターや工作体験ができるコーナーもあり、訪れる人々が楽しく京急の魅力に触れられる空間です。入館料は無料で、家族連れや鉄道ファンを中心に人気を集めています。
このビルは「海に開き、空高く羽ばたく」というデザインコンセプトに基づいて設計されました。低層部はガラス面を大きく取り入れた透明感あるデザインで、広がりを感じさせます。内装や外構には木や土、石など自然素材を多用し、さざ波を想起させる細やかなディテールを施しています。一方、高層部の外観は、周辺の建物と調和するように弧を描く壁面とし、縦ストライプの壁柱や竪フィンによって空へ向かう力強い印象を与えます。この竪フィンは時間帯や光の角度によって異なる陰影を生み出し、動的な表情を演出しています。
構造面では、災害時の安全性を高めるため免震構造を採用し、大成建設の独自技術である「TOLABIS」を組み合わせることで、さらに強固な建物を実現しています。また、省エネルギーや環境負荷の低減にも配慮されており、地域冷暖房を主体とした熱源方式や、中圧ガスコージェネレーションシステムを導入することで災害時の電源自立化を実現しています。さらに、日射負荷を軽減する簡易エアフローや、在不在に応じた照明制御機能を備え、快適性を損なうことなくエネルギー効率を高めています。
館内では、各フロアをつなぐ階段がコミュニケーション促進の中心的な役割を果たし、セキュリティ外には誰もが利用できる中間領域が設けられています。オープンパントリーやリフレッシュルーム、共用トイレが各フロアに点在し、社員同士の偶発的な出会いやアイデアの創出を促進する工夫が随所に施されています。また、屋上テラスや公開空地には緑が配置され、オフィスからは空と海を望むことができ、自然と調和した働きやすい環境が整備されています。
さらに、防災拠点としての機能も充実しており、自社・他社線の運行情報を災害時に提供するほか、備蓄品を常備し、帰宅困難者が一時滞在できる施設としても利用可能です。横浜駅と徒歩で接続する便利な立地にあり、地域とのつながりを深める拠点としても期待されています。京急グループ本社ビルは、業務効率化や働きやすさの向上だけでなく、防災や地域社会への貢献も果たす、次世代のオフィスビルです。
建築主は京浜急行電鉄株式会社、設計は大成建設株式会社、施工は大成・京急建設共同企業体です。着工は2017年7月、竣工は2019年8月となっています。
過去の建設状況
→過去の建設状況
概要
名称 |
京急グループ本社 |
計画名 |
(仮称)京急グループ本社ビル |
所在地 |
地名地番:横浜市西区高島1丁目2番51ほか11筆 住居表示:横浜市西区高島1丁目2番8 |
用途 |
事務所、展示場、保育所、駐車場 |
階数 |
地上18階、地下1階、塔屋1階 |
高さ |
85.55m (軒高:84.75m) |
構造 |
鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 免震構造 (TOLABIS) |
基礎工法 |
杭基礎 |
敷地面積 |
2,603.91㎡ |
建築面積 |
1,914.36㎡ |
延床面積 |
25,831.99㎡ |
着工 |
2017年7月 |
竣工 |
2019年8月 竣工記念式典:2019年9月2日 |
建築主 |
京浜急行電鉄株式会社 |
設計 |
大成建設株式会社 エントランスホール内装監修:隈研吾建築都市設計事務所 |
施工 |
大成・京急建設共同企業体 |
最寄駅 |
みなとみらい線「新高島」駅 |
備考 |
ー |
位置図
標識
イメージパース
出典:京浜急行電鉄株式会社
▼当初計画
出典:京浜急行電鉄株式会社
写真
南東側から見た京急グループ本社の様子です。
竣工当時の南東側から見た京急グループ本社の様子です。竣工当時はみなとみらい大通り東側に草の生えた空き地が広がっていましたが、現在は横浜シンフォステージが竣工しています。
頂部には、京急のロゴが取り付けられています。
東側から見た京急グループ本社の様子です。
東側から見た京急グループ本社の低層部分の様子です。
みなとみらい大通り沿いに整備された歩道状空地です。
1階には、京急の歴史や魅力を広く紹介する施設「京急ミュージアム」が入っており、「デハ230形デハ236号」が保存・展示されています。
出典:京浜急行電鉄株式会社
出典:京浜急行電鉄株式会社
「京急ミュージアム」のイメージパースです。「京急デハ230形」を展示しているほか、沿線を忠実に再現した「京急ラインジオラマ」や運転体験コーナー「鉄道シミュレーション」、工作体験ができる「マイ車両工場」など多様な展示や体験施設が入っています。
北東側から見た京急グループ本社の様子です。
北側から見た京急グループ本社の様子です。
北側から見た京急グループ本社の低層部分の様子です。
北西側から見た京急グループ本社の様子です。
南西側から見た京急グループ本社の様子です。
南側のキング軸には、みなとみらい線「新高島」駅1番出入口があります。
キング軸の広場には、京急電車をモチーフにしたキューブ型のイスを複数配置されています。
キング軸から見た京急グループ本社の様子です。キング軸沿いに超高層ビル群が形成されています。
みなとみらい大通りから見た京急グループ本社の様子です。2010年代半ばから10年程度で、みなとみらい大通り沿いに超高層オフィスビル群が形成されました。
京急グループ本社の夜景です。
ロゴだけでなく、頂部の角の壁面も間接照明によって照らされています。
横浜シンフォステージから見た京急グループ本社の夜景です。
最終更新日:2025年1月20日