阪急電鉄は「芝田1丁目計画」の事業実施に向けた駅改良の第一段階として、2026年1月24日(土)から大阪梅田駅・神戸線(7号線・8号線・9号線)の列車停止位置を約14メートル「十三」駅側へ移動させると、2026年1月9日に公表しました。これは3階コンコースおよびホームのリニューアル工事に伴う措置で、将来的な駅設備の拡充や、よりゆとりある空間確保を目的としています。
あわせて大阪梅田駅では、改札や案内カウンターの再配置、エレベーター新設によるバリアフリー設備の充実、将来的な可動式ホーム柵の設置など、段階的な大規模リニューアルが計画されています。さらに駅北側では、芝田1丁目計画の中核をなす旧大阪新阪急ホテル建物の解体工事が2025年12月中旬から始まっており、阪急ターミナルと周辺街区が一体となった再開発が徐々に動き出しています。100年以上の歴史を持つ阪急大阪梅田駅は、都市と鉄道が融合したターミナルの象徴として進化を続けてきました。今回の工事は、その次の時代に向けた大改造の始まりと位置付けられています。
→阪急電鉄株式会社 2026年1月24日(土)より、大阪梅田駅神戸線(7号線・8号線・9号線)の列車停止位置を変更します。
→阪急電鉄株式会社 「梅田ビジョン」にもとづく「大阪梅田駅の将来のありたい姿」を策定「芝田1丁目計画」に向けて2026年1月よりリニューアル工事に着手
→阪急電鉄株式会社/阪急阪神不動産株式会社 2025年12月中旬から旧大阪新阪急ホテル建物の解体工事に着手します
芝田1丁目計画・阪急電鉄大阪梅田駅リニューアルの概要
1.列車停止位置変更の実施
2026年1月24日から神戸線ホームで列車停止位置を約14メートル十三側へ移動する対応。
将来の駅設備拡充とコンコース改修に備えた先行的なホーム位置調整。
2.段階的に進む駅リニューアル工事
改札配置の見直しや案内機能強化、バリアフリー設備拡充を含む総合的な駅改修。
可動式ホーム柵設置を見据えたホーム床面改良と安全性向上対策。
3.3階コンコース機能の再構築
混雑緩和と回遊性向上を目的とした改札口周辺レイアウトの再編。
多機能トイレやカームダウンスペース整備によるインクルーシブ空間形成。
4.芝田1丁目計画と連動した基盤整備
駅改良を起点とするターミナル再構築と周辺街区再編の一体的推進。
阪急ターミナルビル建替や阪急三番街改修を含む大規模複合再開発構想。
5.旧大阪新阪急ホテル建物の解体着手
2025年12月中旬から始まる約3年規模の解体工事による再開発準備段階。
跡地を活用した新たな都市拠点形成への転換局面。
6.駅とまちをつなぐ動線強化
茶屋町口エレベーター新設など北側街区とのバリアフリー連結強化。
駅構内外の移動ストレス低減を図るシームレス動線整備。
7.次の100年を見据えたターミナル進化
歴史ある頭端式ターミナルの機能更新と都市拠点性の再定義。
鉄道と都市開発を融合させた梅田再編の新たな起点形成。

今回発表された最大の変更点は、列車停止位置を約14メートル十三側へ移動させる点です。車両1両分がおよそ19メートルであることから、実質的には1両弱分ホームの先端位置がずれる形となります。この変更は、将来の駅設備拡充やコンコース拡張に必要な空間を確保するためのもので、3階改札口周辺の再配置や新設備設置の前提工事として位置付けられています。
実施時期は路線ごとに異なり、神戸線が2026年1月24日から先行して変更され、その後、宝塚線が2026年春頃、京都線が2026年秋頃に順次実施される予定です。神戸線が最初に変更されることで、7号線から9号線にかけての停止位置表示や乗車位置案内も変更され、工事期間中はホーム上の動線や待機位置が変わることになります。そのため、利用者への周知と安全対策が特に重視されています。

列車停止位置変更後は、3階改札口における改札機配置や「ごあんないカウンター」などの駅設備レイアウトが順次見直される予定です。これにより、朝夕の混雑緩和に加え、案内機能の強化やバリアフリー動線の整理が進められます。また、多機能トイレや授乳室、カームダウンスペースといった多様な利用者に配慮した設備の拡充も計画されており、単なる設備更新にとどまらないインクルーシブな駅空間の形成が目指されています。
さらに中長期的には、2031年頃から全ホームへの可動式ホーム柵設置が予定されており、ホーム床面の改良とあわせて段差や隙間の低減も進められます。加えて、茶屋町口改札では2026年春頃からエレベーター設置工事が始まり、北側街区とのバリアフリー連絡が強化される見込みです。駅単体の利便性向上だけでなく、周辺まちとの一体的な動線形成が強く意識された整備内容となっています。

今回のリニューアルは、阪急阪神ホールディングスが掲げる梅田ビジョンに基づき策定された「大阪梅田駅の将来のありたい姿」を具体化するものです。その基本方針は、インクルーシブな空間の実現、シームレスな移動環境の構築、そしてレガシーの継承と進化という三つの考え方で構成されています。
まず、年齢や国籍、文化、心身特性の違いにかかわらず、誰もが安心して利用できる居心地の良い駅空間を整備することが重視されています。次に、駅と周辺街区との回遊性を高め、直感的に移動できる案内や動線を整備することで、「つながる駅、広がるまち」の実現が目指されています。将来的にはウォークスルー改札の導入検討も含まれており、改札機の概念そのものが変わる可能性もあります。

さらに、マルーンカラーの電車や広々としたコンコースといった阪急らしさを継承しつつ、光や緑、デジタル技術を取り入れた新たな駅体験を創出することで、ここにしかない風景と体験を提供する駅づくりが進められます。大阪梅田駅は、単なる交通結節点ではなく、都市の賑わいと交流を生み出す都市空間として再定義されつつあります。


大阪梅田駅の改良は、芝田1丁目計画を支える基盤整備として不可欠な要素と位置付けられています。芝田1丁目計画では、旧大阪新阪急ホテル跡地の再開発、阪急ターミナルビルの建替、阪急三番街の全面改修を一体的に進め、ターミナルと街区が融合した大規模複合都市拠点の形成を目指すものとされています。
駅の停止位置変更やコンコース拡張は、将来的な駅ビル建替や動線再構成に対応できる余地を確保するための準備段階であり、再開発全体を見据えた先行投資ともいえます。つまり今回の工事は単なる駅改修ではなく、ターミナル再構築へ向けた都市再編の第一歩としての意味を持っています。


芝田1丁目計画の象徴的な動きとして、旧大阪新阪急ホテル建物の解体工事が2025年12月中旬から始まりました。同ホテルは1964年に開業し、約60年間にわたり梅田のランドマークとして親しまれてきましたが、2025年1月に営業を終了しています。
建物は地上11階、地下3階、延床面積約4万4千平方メートルの規模を持ち、解体工事は2028年秋頃まで続く予定です。跡地は今後、阪急ターミナルビルや阪急三番街と一体的に再開発される見込みで、商業、業務、宿泊など多機能を備えた新たな都市拠点となる可能性があります。これにより、梅田北側玄関口の景観や人の流れは大きく変わることになります。

阪急大阪梅田駅は、1910年に箕面有馬電気軌道の始発駅として開業した歴史あるターミナルです。現在の北区芝田地区へは1966年から1973年にかけて移転および拡張工事が行われ、9線10面という日本最大級の頭端式ホームを持つターミナル駅が誕生しました。神戸本線、宝塚本線、京都本線のすべてが発着し、日中には3路線同時発車の光景も見られるなど、阪急電鉄を象徴する存在となっています。

また、阪急百貨店うめだ本店と直結する駅ビル型百貨店は、日本の私鉄ターミナル開発モデルの原点ともいわれ、小林一三による鉄道と都市開発の融合思想を体現してきました。2019年には駅名を「梅田」から「大阪梅田」に改称し、国内外の利用者にとって分かりやすい都市玄関口としての役割を強化しています。
今回のリニューアルは、こうした歴史の延長線上にあり、次の100年を見据えた都市型ターミナルへの進化といえます。芝田1丁目計画と連動した再開発が進むことで、大阪梅田駅は再び大きな転換点を迎えることになります。
最終更新日:2026年1月9日