中百舌鳥イノベーション創出拠点は、「イノベーションを絶え間なく生み出し続ける中百舌鳥エリアへ」を掲げ、堺市が進める重点的な都市・産業拠点形成プロジェクトです。Osaka Metro御堂筋線、南海高野線、泉北線が交差する高い交通利便性を背景に、大学、産業支援機関、ベンチャー・スタートアップが集積する中百舌鳥エリアでは、これまで培われてきた研究・産業基盤を活かし、産学官連携による新たな価値創出が期待されています。
令和8年度当初予算案では、中百舌鳥駅前北側広場の再編に向けた事業スキーム検討や、基本方針に示された多様な交流・活動を実現するための試行実施が盛り込まれ、ハード整備と並行して「使われ方」を具体化する段階へと進みました。駅前広場と北部エリアを核に、都市空間そのものがイノベーションを生む舞台へと進化しようとしています。
中百舌鳥イノベーション創出拠点の概要
1.中百舌鳥イノベーション創出拠点の基本理念
イノベーションを継続的に生み出す都市拠点の形成。
中百舌鳥エリア全体を舞台とした価値創出の推進。
2.高い交通利便性と都市的立地特性
三路線が結節する中百舌鳥駅を中心とした優れたアクセス環境。
大阪都心と南大阪を結ぶ広域的交通結節点としての優位性。
3.大学・産業支援機関の集積による強み
大阪公立大学や産業支援施設が集積する知的・産業基盤。
研究・人材・企業が近接することによる連携可能性の高さ。
4.産学官連携によるイノベーション創出
研究シーズと企業ニーズを結び付ける共創の仕組み。
新産業創出と地域課題解決を両立する取組の展開。
5.交流を促進するソフト施策の展開
Community room cha-shitsuを核とした交流・共創の場。
人と人をつなぐコミュニティ形成によるアイデア創出。
6.駅前北側広場再整備による都市空間再編
駅前広場を交流・滞留拠点として再構築する基本計画。
交通機能と都市活動を両立させる駅まち空間の形成。
7.北部エリアと一体となった拠点形成
産業支援施設と低・未利用地を活かした北部エリア活用。
駅前広場と連動した一体的イノベーション拠点の構築。

中百舌鳥エリアは、大阪市中心部へ直結する御堂筋線の終点であり、南大阪の玄関口としての役割を担っています。土地区画整理事業により計画的に整備された街区には、堺市産業振興センター、さかい新事業創造センター(S-Cube)、堺商工会議所、大阪公立大学中百舌鳥キャンパスなどが立地し、産業・研究・人材育成機能が高密度に集積しています。
これらの施設が徒歩圏内に集中していることは、オフィスワーカー、研究者、学生、起業家が日常的に交わる環境を生み出しており、偶発的な出会いや情報交換が新たなアイデアにつながりやすい点が大きな強みです。中百舌鳥は、物理的な近接性がそのままイノベーションの可能性を高めるエリアといえます。

堺市は「堺市基本計画2025」において、中百舌鳥エリアを市内外の成長を牽引する中核的なイノベーション創出拠点として位置づけています。高い技術力を有する製造業を中心とした中小企業群、S-Cubeを拠点に活動するスタートアップや起業家、大学・研究機関の知的資源を結び付けることで、新産業の創出や既存産業の高度化を図ることが狙いです。単なる企業誘致にとどまらず、地域課題や社会課題の解決につながるビジネスを育てる点に、本拠点の政策的意義があります。


中百舌鳥イノベーション創出拠点では、産学官連携を軸とした持続的なイノベーション創出の仕組みづくりが進められています。大阪公立大学との包括連携協定に基づき、研究成果の社会実装や共同研究の促進、人材育成プログラムの展開などが行われています。
企業の抱える技術課題と大学の研究シーズを結び付けることで、新製品や新サービスの創出につなげるとともに、学生が地域企業やスタートアップと関わる機会を増やし、次世代人材の定着を図ることも重要な目的の一つです。


ソフト施策の象徴的な存在が、さかい新事業創造センター1階に設置されたイノベーション交流拠点「Community room cha-shitsu(茶室)」です。
ここでは、起業家やスタートアップ、学生、研究者、社会課題解決に関心を持つ市民など、多様な立場の人々が気軽に集い、交流や対話を行うことができます。常駐するコミュニティマネージャーが利用者同士をつなぎ、アイデアの具体化や協働のきっかけづくりを支援している点が特徴です。日常的な交流からプロジェクトが生まれる「場」として、拠点全体の活性化を支えています。

令和3年2月に設立された「NAKAMOZUイノベーションコア創出コンソーシアム」は、中百舌鳥エリアの将来像を共有し、実現に向けた議論を行う産学官連携組織です。
ロードマップの策定や、駅前北側広場および北部エリアを含めた土地活用の方向性検討など、中長期的な視点での拠点形成に取り組んできました。堺市は本コンソーシアムと連携し、公民連携による柔軟で実効性の高いまちづくりを推進しています。


令和6年5月に策定された「中百舌鳥駅周辺活性化基本方針」では、駅、駅前広場、周辺市街地を一体として捉える「駅まち空間」の形成が打ち出されました。
これを具体化する形で、同年12月に「中百舌鳥駅前北側広場再整備基本計画」が策定され、駅前広場と民間施設を整備し、交通結節点としての機能向上とともに、人々が滞在し交流できる都市空間の創出が目指されています。駅前広場は、移動のための空間から、活動と出会いを生む拠点へと役割を転換しようとしています。


令和8年度当初予算案では、駅前北側広場再編に向けた事業スキームの検討や、産学官連携による実証的・試行的な取組が新たに盛り込まれました。
イベントや社会実験を通じて、多様な交流や活動が実際に生まれるかを検証し、その成果を将来の整備や運営に反映させる考えです。ハード整備を待つのではなく、早い段階から「使いながら育てる」姿勢が示されています。


中百舌鳥駅前北側広場と並び、イノベーション創出拠点形成の重要な要素となるのが北部エリアです。堺商工会議所や堺市産業振興センターなどの産業支援施設が立地する一方、低・未利用地も点在しており、将来的な活用余地が大きいエリアでもあります。
駅前広場の再編と連動し、北部エリアを産業支援・交流機能の受け皿として位置づけることで、エリア全体としての相乗効果が期待されます。中百舌鳥全体を一体的なイノベーション拠点として成長させるための鍵となるゾーンです。
出典・引用元
・堺市 中百舌鳥イノベーション創出拠点
・堺市 令和8年度当初予算案
最終更新日:2026年2月8日