山形市中心部では、旧大沼山形本店の閉店を契機に、中心市街地の活性化に向けた再開発が最重要課題となっています。七日町(なぬかまち)はこれまで、御殿堰や水の町屋、複合ビル、結婚式場、旅篭町のにぎわい拠点施設「gura」など多様な民間投資が集積し、商業・文化・居住の機能が高まりつつあるエリアです。しかし、大沼閉店後は歩行者数の減少が顕著で、商業の核を失った中心市街地の再生が急務となりました。
山形市は「歩くほど幸せになるまち」をテーマに掲げ、旧大沼とアズ七日町などが立地する一帯を「七日町賑わい創出拠点」として再整備する方針を策定。山形市立病院済生館の建替えとも連動し、商業・医療・居住など多様な機能を複合させ、定住人口・交流人口の拡大をめざす再開発へと動き出しています。
→山形市 七日町賑わい創出拠点整備基本方針
→山形市 「七日町第1ブロック東地区市街地再開発基本構想策定等支援業務」公募型プロポーザルの審査結果について
七日町第1ブロック東地区市街地再開発の概要
1.再開発対象エリアの位置づけ
旧大沼からTAN6 SQUARE、済生館までを含む広域的再整備区域。
商業・オフィス・医療など都市機能を束ねる中心市街地の要衝。
2.再開発に至る経緯
大沼破産後の公的取得と利活用検討を起点とした再構築の流れ。
市場調査や地権者勉強会を重ね具体化した再整備方針。
3.再開発施設の規模・竣工時期
商業・医療・居住を複合する大規模街区更新として計画される施設群。
済生館建替えと併せ、2030年~40年代を見据えた段階的整備。
4.市の上位計画との整合性
基本構想・都市計画マスタープラン・立地適正化計画との一致。
中心市街地政策の中核として明確に位置づけられる事業。
5.都市政策との連動性
「健康医療先進都市」や発展計画2025と連動する都市戦略。
歩行者中心の空間形成を掲げた中心市街地グランドデザイン。
6.来街動向と課題認識
短時間滞在・歩行者量減少・消費低迷といった来街者行動の課題。
旧大沼閉店による広域集客核の喪失と中心性の低下。
7.七日町が持つ強みと再開発の方向性
景観資源、文化・大学連携、創造的活動などの蓄積されたポテンシャル。
複合化・ウォーカブル化・地域文化の継承を軸とする持続可能な街区形成。

山形市の中心市街地は、郊外大型店の進出やネット通販の拡大、人口減少により、従来の商圏維持が難しくなり衰退が進んでいました。市では過去に中心市街地活性化基本計画やグランドデザインを策定し、紅の蔵、御殿堰、Q1、コミュニティサイクルなど多様な事業を展開。民間からも新店舗・複合施設の整備が進むなど一定の成果が見られました。

しかし令和2年、中心商業の核であった旧大沼が閉店し、来街者と歩行者量が大幅に減少。中心部への影響が極めて大きいため、旧大沼を含む七日町東地区の再開発を新たな都市政策の最重要事項に位置づけ、法定再開発も視野に入れた「賑わい創出拠点整備基本方針」を策定しました。目的は、商業・医療・居住を含む複合的な都市機能の再集積を図り、中心市街地の価値向上と持続的な賑わいを取り戻すことにあります。

対象エリアは、旧大沼からTAN6 SQUAREビルまでの街区と市立病院済生館を含む一帯で、アズ七日町やCROSS七日町など商業・オフィスが集まる区域を総合的に再整備し、済生館の建替えとあわせて都市機能を再構築する計画です。

経緯としては、令和2年1月の大沼の閉店を受け、同年12月に市都市振興公社が旧大沼を競売で取得し、利活用検討を開始しました。翌令和3年にはセットバック部分をイベント活用しながら22社が参加する市場調査を実施。令和4年には中心市街地グランドデザインが改訂され、エリアの方向性が整理されました。令和5年には済生館建替えと周辺再開発の方針が示され、地権者勉強会が始まるなど具体化が進んでいます。

七日町の再開発は、山形市の複数の都市政策と連動して進められています。基本構想では「健康医療先進都市」を掲げ、医療と文化を軸とした持続可能な都市づくりを重視。発展計画2025でも、アフターコロナを見据えた中心市街地の活性化が重要視されています。中心市街地グランドデザインでは、商業依存から脱却し、居住・観光・医療など多様な魅力の創出を目指し、令和4年には「歩くほど幸せになるまち」を新テーマに掲げました。都市計画マスタープランは都心部を「多様な都市機能と文化が調和したまち」と位置づけ、立地適正化計画でも旧大沼周辺を重要拠点と示しています。

SDGsやコンパクト・プラス・ネットワーク、ウォーカブル推進都市といった政策潮流とも整合し、七日町は市街地更新を先導するエリアとして期待されています。一方、市調査では来街頻度は高いものの、多くが短時間の単独来街で、滞在時間や消費額が低い傾向も明らかになっています。旧大沼閉店による歩行者量の減少や広域的な誘客拠点の不足も課題です。

しかし、御殿堰の整備や周辺店舗の増加、文化施設・大学との連携など、景観資源や創造的活動、リノベーションの蓄積といった強みも育っています。再開発では、商業・医療・居住の複合化、歩行者中心の空間形成、体験・交流機能の導入、景観や文化を生かした街区づくり、済生館建替えと連動した医療・福祉・子育て機能の強化が方向性として示されています。これらを実現するには、市民や地権者、商店街、企業が協働し、持続可能な都市拠点を形成することが求められています。

七日町第1ブロック東地区市街地再開発では、旧大沼山形本店跡地とアズ七日町跡地を2期に分けて整備し、その中心に広場を設ける計画です。事業は約10年以上をかけて進められ、2040年度の完成を目指しています。
1期では旧大沼跡地に地上7階、延床面積約11,000㎡の建物を整備し、2031年度に着工、2034年度の竣工が予定されています。商業や業務などを担う複合施設として位置づけられており、街区再生の先導役となることが期待されています。続く2期ではアズ七日町跡地に地上15階、延床約21,000㎡の高層建物を建設し、2035年度に着工、2040年度に完成する見込みです。また、一体的に行われる山形市立病院済生館の建て替えは、別途延床面積49,198㎡程度の医療施設が2033年度までに整備される計画となっています。

商業・業務に加え、宿泊や住宅など多様な用途の導入も検討されています。また、両施設の間には広場が整備され、通りや周辺商店街との回遊性を高める役割を果たします。憩いの場としても活用でき、街区全体のにぎわい形成に寄与する空間となる計画です。
最終更新日:2025年12月13日

