世界最大級の巨大ターミナル駅として知られる新宿駅は、国内外から数多くの人々が集まり、仕事や買い物、観光や移動の拠点として日々活気に満ちています。その中で、小田急線「新宿」駅は小田急線の始発駅であり、多摩地域や神奈川方面と都心を結ぶ重要な役割を担ってきました。現在、同駅では「100年に一度」と言われる大規模な再開発が進行しており、小田急百貨店本館跡地を中心に新たな駅ビルと都市機能が整備されています。
「新宿駅西口地区開発計画」では、地上48階、地下5階、高さ258.15mの超高層複合ビルを建設し、駅全体を新しい姿へと生まれ変わらせるプロジェクトが進行中です。駅構内や周辺の風景は日々変化し、工事中は利用者にとっては不便もありますが、将来に向けて利便性と快適性を兼ね備えた「新宿の新たな顔」が形づくられようとしています。
→小田急電鉄株式会社/東京地下鉄株式会社/東急不動産株式会社 3月25日「新宿駅西口地区開発計画」新築着工
小田急線「新宿」駅大規模改良工事(新宿駅西口地区開発計画)の概要
- 新宿駅の役割と位置づけ
新宿駅は世界有数の巨大ターミナルであり、通勤通学・買い物・観光など多様な人々が集まる拠点。小田急線「新宿」駅は小田急線の始発駅として、多摩地域や神奈川方面と都心を結ぶ重要な交通ハブとなっている。 - 再開発の背景
駅周辺は老朽化が進み、動線の複雑さや利便性の課題が顕在化していた。このため「100年に一度」ともいわれる規模の再開発が進められており、小田急百貨店本館跡地を中心に駅と街の機能を刷新する取り組みが展開されている。 - 新宿駅西口地区開発計画の中心施設
地上48階・地下5階、高さ258mの超高層複合ビルを建設中。低層部は商業施設、中層部以降はオフィスを配置し、最上階には展望的な商業機能を導入。新宿の新たなランドマークとして期待される。 - 交通結節機能の強化
新設改札を2階に設け、東西デッキ・南北デッキと直結。地下・地上に交通広場を整備し、バスやタクシーとの乗り換えを容易にすることで、駅利用者の動線を抜本的に改善する。 - 都市機能と交流空間の創出
3・4階に交流広場、9〜14階にスカイコリドーを設置。駅ビルを単なる商業・オフィス空間にとどめず、「働く・楽しむ・交流する」多機能型の都市空間として整備する。 - 事業主体と推進体制
小田急電鉄と東京メトロが中心となり、2024年からは東急不動産も参画。3社共同で再開発を推進し、「新宿グランドターミナル構想」の実現を目指している。 - 完成後の将来像
再開発後の新宿は、駅と街がシームレスにつながる都市拠点へと進化。利便性や快適性が飛躍的に高まり、国内外の人々が交流・発信できる拠点として、2030年に向けて「世界一のターミナル駅」の新たな姿が描かれている。

小田急線「新宿」駅は1927年の開業以来、多摩・神奈川方面からの通勤通学客や観光客を受け入れる拠点駅として発展してきました。2023年度の1日平均乗降人員は約40万人強にのぼり、小田急沿線の玄関口であると同時に、日本屈指の利用者数を誇る駅となっています。駅は地上ホームと地下ホームの二層構造を有し、特急ロマンスカーや急行、各駅停車など多様な列車が発着する複雑な構造を持っています。


かつて西口には小田急百貨店新宿店が建っていましたが、再開発のため解体され、西口側からは駅の向こう側の東口を見通すことができる新しい風景が広がっています。現在の駅では、地上ホームに仮設の鉄骨が林立し、屋根も仮設のものに置き換えられ、ホーム先端からは太陽光が差し込む不思議な光景が見られます。地下ホームやコンコースでも天井材が撤去され、配管や設備がむき出しになっており、通路は仮囲いで仕切られています。日々ルートが変わるため、利用者の間では「新宿ダンジョン」とも呼ばれ、駅を熟知している人でも迷いやすい状況です。それでも列車の運行は止まることなく、巨大ターミナルとしての役割を果たし続けています。


再開発の中心となる「新宿駅西口地区開発計画」では、旧駅ビル跡地に地上48階・地下5階、高さ258.15mの超高層ビルを建設しています。この建物には、地下1階から地上10階にかけて広大な商業施設が配置され、11階以上はオフィスフロアが主体となります。さらに48階には商業機能が設けられ、上層階からは新宿の街並みを一望できる新たなランドマークとなる予定です。また、地下1階と地上1階には交通広場が整備され、バスやタクシーとの乗り換えがスムーズに行えるよう計画されています。


加えて、駅構内には新設改札が2階に設けられ、東西デッキや南北デッキと直結することで、これまで複雑でわかりにくかった動線が大幅に改善されます。3階・4階には交流広場が設けられ、9階から14階にかけてはスカイコリドーと呼ばれる開放的な空間が整備される計画です。これらの施設は単なる駅ビルにとどまらず、都市の拠点機能を担う複合的な役割を果たすことが期待されています。


この一大プロジェクトを推進するのは、小田急電鉄、東京メトロ、そして東急不動産の3社です。小田急電鉄と東京メトロが中心となって計画を進め、2024年2月に東急不動産が正式に参画することで、事業はより幅広い共同事業へと発展しました。2024年3月には新築工事が着工し、本格的に計画が動き出しています。
開発の基本方針は「新宿グランドターミナルの実現に向けた基盤整備」「国際競争力強化に資する都市機能の導入」「防災機能の強化と環境負荷低減」のとされています。駅周辺には東西・南北をつなぐ歩行者ネットワークが再構築され、交通広場の整備やバリアフリー化も推進されます。また、駅直結の複合施設として「働く・楽しむ・交流する」という多様な活動を支える都市空間を創出することが目指されています。環境性能面でも先進的で、2023年には建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)で最高評価を獲得し、「ZEB Ready」を達成しています。


現在の新宿駅では、既存構造物の解体、新駅舎の建設、地下施設の拡張など複数の工事が同時進行しています。小田急電鉄は「運行に支障を出さず、安全を最優先に進めることが何より重要」としており、利用者の動きと工事作業の両立が大きな課題となっています。通路や改札の位置が頻繁に変わるため、利用者は戸惑う場面も多いですが、仮設案内や係員による誘導など細やかな対応が行われています。
地上ホームでは鉄骨が組まれた仮設の構造物の下で運行が続けられ、地下ホームでは天井材を剥がした状態でも利用者の安全を確保しながら列車の発着が続きます。このように、駅を完全に閉鎖することなく進める工事は極めて難易度が高いものとなっています。しかし、その困難を乗り越えた先には、より快適でわかりやすい駅空間の誕生が待っています。


新宿駅西口地区開発計画において、B区に位置する新宿ミロードの解体工事が進められています。1984年10月に開業した同施設は、小田急小田原線新宿駅南口の真上に立地し、専門店123店舗が入居する専門店ビルとして長らく親しまれてきました。特に、小田急百貨店本館と西口を結ぶ「モザイク通り」や2層構造のショッピングモールは、待ち合わせやイベントの拠点として多くの人々に利用され、西口エリアのにぎわいを象徴する存在でした。
しかし、2022年より始まった再開発事業に伴い、モザイク通りとモール2階は2023年3月に営業を終了。その後も本館部分は営業を続けてきましたが、2025年3月16日をもって全館閉館となり、解体工事が本格化しています。2025年9月現在、屋上にはタワークレーンが設置され、建物の撤去作業が進行中です。長年にわたり新宿の商業文化を支えてきた新宿ミロードは、街の歴史の一端を担いながら、その役割を次世代の都市拠点へと引き継ごうとしています。

再開発が完了すると、西口地区は単なる駅ビル建替えを超えた都市の新しい拠点として機能します。広場やデッキが整備されることで、東西南北の動線は飛躍的に改善し、駅と街がシームレスに結びつきます。さらに、商業施設やオフィスに加えて、ビジネス創発機能やスカイコリドーなど新たな都市空間が生まれ、交流や情報発信の拠点として国内外に開かれた場所となるでしょう。

新宿はこれまで「オフィス街」と「繁華街」という異なる顔を持ち、複雑な魅力を兼ね備えてきました。そこに再開発によって利便性と快適性が加わり、働く人、訪れる人、暮らす人それぞれにとって価値ある空間が提供されることになります。2030年に向けて、世界一のターミナル駅を支える新たなランドマークの完成が、今まさに視界に入りつつあります。
最終更新日:2025年9月4日

