横浜港 国際海上コンテナターミナル再編整備事業は、コンテナ船の大型化と船社間の連携による基幹航路の再編に対応するため、令和元年度から令和13年度までの期間で実施される大規模なインフラ整備プロジェクトです。本事業では、新本牧ふ頭地区に水深18mの大型岸壁を、本牧ふ頭地区に水深16mの岸壁を整備し、増加するコンテナ貨物の取扱いと大型船の入港に適切に対応します。これにより、我が国に寄港する基幹航路の維持・拡大を図り、国際競争力の強化を目指すものとされています。
→国土交通省関東地方整備局 横浜港 国際海上コンテナターミナル再編整備事業
→国土交通省関東地方整備局 横浜港新本牧ふ頭地区公有水面埋立免許の取得等のお知らせ
横浜港 国際海上コンテナターミナル再編整備事業の概要
1. 事業期間と規模:
令和元年度から令和13年度までの期間で実施される大規模なインフラ整備プロジェクトであり、新本牧ふ頭地区と本牧ふ頭地区の2つの主要エリアで展開されます。
2. 整備内容:
新本牧ふ頭地区では水深18mの大型岸壁(延長1,000m、2バース)を、本牧ふ頭地区では水深16mの岸壁を中心とした複数の施設を整備し、荷さばき地や道路、荷役施設の建設も含まれます。
3. 事業目的:
コンテナ船の大型化と船社間の連携による基幹航路の再編に対応し、増加するコンテナ貨物の取扱いと大型船の入港に適切に対応することで、我が国に寄港する基幹航路の維持・拡大を図ります。
4. 経済効果:
新本牧ふ頭第1地区の整備による経済波及効果は約2,700億円以上と見込まれ、総事業費は基盤整備費として約180億円が計上されており、費用便益比(B/C)は2.5の高い投資効果を示しています。
5. 環境配慮:
生物共生型護岸の整備により海洋生態系への配慮を行い、水際線緑地の創造で市民に開放された親水空間を提供し、環境影響評価法に基づく環境アセスメントを実施しています。
6. 防災機能:
耐震岸壁の整備により、震災時においても物流機能が維持されることで、我が国の産業活動と市民生活の安全・安心を確保する防災拠点としての役割を担います。
7. 国際競争力強化:
3つの大型アライアンス(2Mアライアンス、オーシャンアライアンス、ザ・アライアンス)に対応できる拠点港として、北米・欧州基幹航路の維持・拡大を通じて我が国産業の国際競争力強化に寄与します。

近年の海運業界では、経済のグローバル化と東アジア地域の急成長により、世界の船会社が3つの大きなアライアンス(2Mアライアンス、オーシャンアライアンス、ザ・アライアンス)を編成し、コンテナ船の大型化と寄港地の絞込みを進めています。横浜港が国際コンテナ戦略港湾として競争力を維持するためには、全てのアライアンスに対応できる大型船対応拠点が必要となります。
本事業は、これらの変化に対応し、大水深・高規格コンテナターミナルと高度な流通加工機能を有するロジスティクス施設を一体的に配置した最新鋭の物流拠点を形成することを目的としています。同時に、公共事業等から発生する建設発生土の受入機能も担い、持続可能な港湾開発を実現します。


新本牧ふ頭地区では、岸壁(水深18メートル)を延長1,000メートルにわたり整備し、2つのバースを設ける計画が進められています。さらに、護岸(防波)および防波堤の整備が行われるほか、約50ヘクタールにおよぶ荷さばき地の造成が予定されています。これらに加え、道路や荷役施設の建設も行われる見込みです。本事業の主体は国土交通省関東地方整備局であり、令和元年度から令和10年代前半にかけて実施される予定です。
一方、本牧ふ頭地区においても複数の整備が進められています。本牧BC地区では、水深16メートルの岸壁、泊地、そして航路の整備が行われ、本牧D5地区では、同じく水深16メートルの岸壁の改良および荷さばき地の整備が計画されています。また、本牧CD地区では、水深7.5メートルの岸壁が新たに設置され、本牧A地区では道路整備が実施されます。これらのうち、第1期地区(約38ヘクタール)については横浜市が事業主体となって整備を進めています。

本事業の実施により、物流効率化の実現から国際競争力の強化まで、多岐にわたる効果が期待されます。まず、コンテナ貨物の増加とコンテナ船の大型化に適切に対応することで、海上輸送コストの削減が可能となり、物流の効率化が図られます。これにより荷主の利便性が向上し、より効率的な貿易活動が実現されます。
また、アライアンス拠点港としての利便性を高めることで、北米・欧州基幹航路の維持・拡大を図ることができ、我が国産業の国際競争力強化に大きく寄与します。経済面では、新本牧ふ頭第1地区のロジスティクスパークの土地基盤整備費や倉庫等の建設による経済波及効果が約2,700億円以上と見込まれており、地域経済の活性化にも大きく貢献します。
さらに、耐震岸壁の整備により、震災時においても物流機能が維持されることで、我が国の産業活動と市民生活の安全・安心を確保する防災機能の強化も実現されます。

横浜港の持続可能な発展を目指し、環境に配慮した革新的な整備を実施しています。最も特徴的な取り組みとして、新本牧ふ頭では生物共生型護岸を整備しています。この護岸は、コンクリートケーソンの壁面にスリットを設け、上部は日が差し込む構造とし、内部に自然石を敷いて海藻や海生生物が生息する自然の岩礁を再現する仕組みです。これにより、海藻類が繁茂し、稚魚の成育や産卵の場として機能することが期待されています。
さらに、護岸上部には親水性のある水際線緑地を形成し、海釣りの場としての利用など、広く市民に開放することで、港湾施設でありながら市民の憩いの場としての機能も提供します。クルーズ船や大型コンテナ船がある風景を楽しめる活気のある景観形成にも努め、海からの景観にも配慮した美しい港湾空間の創造を目指しています。
環境影響の適切な管理のため、約140haの埋立事業として環境影響評価法に基づく環境アセスメントを実施し、市民や市長等の意見を踏まえた検討を行いました。工事期間中は適切な段階で環境監視調査を自主的に実施し、その結果を施工方法の見直しや環境保全措置の強化等に活用しています。

事業は着実に進行しており、令和元年11月に第1期地区の公有水面埋立免許を取得し、第2期地区の埋立が承認されました。令和2年2月には工事に着工し、令和3年10月から埋立てが開始されています。
現在、ケーソンの製作・据付作業が進行中で、航行安全管理も適切に実施されています。建設発生土受入事業については、横浜港埠頭株式会社に委託し、横浜市内の公共事業から発生する建設発生土及び横浜港内の公共事業から発生するしゅんせつ土等の受入れを行っています。
総事業費は基盤整備費として約180億円が計上されており、費用便益比(B/C)は2.5と高い投資効果が見込まれています。事業完了により、横浜港は真の国際競争力を持つ戦略港湾として、我が国の経済発展に大きく貢献することが期待されます。
最終更新日:2025年6月10日