リニア中央新幹線の中間駅として計画されている「山梨県駅(仮称)」は、2025年度中に着工し、2031年9月の完成を目指して整備が進められることが正式に公表されました。駅が立地する甲府市大津町周辺では、中央自動車道甲府中央スマートIC(仮称)や新山梨環状道路との一体的な整備が検討されており、実現すれば日本で初めて、新幹線駅と高速道路施設が直結する交通拠点となります。
あわせて甲府市は、リニア駅前エリア約24.5haを対象としたまちづくりの方向性を明らかにし、「こうふを、こうふくにする」をスローガンに掲げました。単なる駅前開発にとどまらず、リニア開業を契機に、甲府市および山梨県全体の価値向上を図ることが狙いです。市長やリニアまちづくりデザインディレクターからは、3つのシナリオを含む複数の提案が示されており、今後は市民や民間事業者との対話を重ねながら、公民連携による段階的なまちづくりが進められる予定です。
→甲府市 【開催報告】未来のこうふまちづくりミーティング#01〜リニア駅から広がるこうふくなまちづくり〜
→甲府市 リニア山梨県駅前エリアのまちづくりについて
リニア山梨県駅(仮称)/駅前エリアまちづくりの概要
1.リニア中央新幹線・山梨県駅の概要
2025年度中着工、2031年9月完成を目指すリニア中央新幹線の中間駅計画。
甲府市大津町に位置する山梨県の新たな広域交通拠点。
2.所要時間短縮による広域連携効果
品川駅まで約25分、名古屋駅まで約40分を実現する高速移動環境。
首都圏・中京圏と日常的につながる甲府圏域の時間距離短縮効果。
3.駅構造と一体的な基盤整備
島式2面ホームを備えた高架駅と、副本線を含む駅施設計画。
駅舎と同時に進められる交通広場・アクセス道路・駐車場整備。
4.駅位置決定までの検討経緯
県内4地域による誘致活動を経て選定された峡中地域・大津町周辺。
環境負荷や用地条件を踏まえた直線ルート重視の判断過程。
5.高速道路直結型駅としての特性
中央自動車道甲府中央スマートIC(仮称)との一体整備構想。
新幹線と自動車交通が融合する日本初の交通結節モデル。
6.リニア駅前エリアのまちづくり方針
駅前約24.5haを対象とした産業・生活・観光融合型の土地利用構想。
官民連携ゾーンを核とする高質で柔軟性のある都市空間形成。
7.「こうふく」を軸とした将来ビジョン
幸福と甲府らしさを重ねた「こうふく」を掲げるリニア時代の都市像。
憩い・産業振興・新たな暮らし方の3シナリオによる段階的展開。

山梨県駅(仮称)は、リニア中央新幹線の品川駅―名古屋駅間に設置される中間駅で、甲府市大津町に計画されています。最速達列車は停車せず、各駅停車型のみが停車する予定ですが、品川駅まで約25分、名古屋駅まで約40分で結ばれる見込みです。
これにより、現在は在来線や高速バスで長時間を要している首都圏・中京圏との移動時間が大幅に短縮されます。甲府圏域は、二大都市圏を日常的な生活圏・経済圏として捉えられる位置づけとなり、通勤、業務、観光、二拠点居住、移住促進など、幅広い分野で交流拡大の効果が期待されています。


山梨県駅は、島式プラットホーム2面と副本線を備えた高架駅として整備される計画です。JR東海は2025年度中の着工を表明しており、約6年の工期を経て、2031年9月の完成を目指しています。
駅舎そのものに加え、駅前交通広場、南北のアクセス道路、パークアンドライド駐車場、スマートICなどの都市基盤施設が段階的に整備される予定です。これらが一体的に機能することで、広域交通拠点としての利便性と、将来の交通需要変化に対応できる柔軟性を兼ね備えた駅となることが期待されています。

山梨県駅の位置を巡っては、郡内地域、峡東地域、峡中地域、峡南地域の4地域が誘致に名乗りを上げました。山梨県は、用地取得の難しさや振動・騒音などの環境負荷、並行する中央本線への影響といった課題を踏まえ、甲府盆地の市街地を避ける直線的なルートを支持しました。

こうした検討を経て、JR東海は峡中地域への設置方針を示し、甲府市大津町周辺が有力候補地として位置づけられました。2019年には小井川駅周辺との比較検証も行われましたが、甲府市は独自の検証結果として大津町周辺が優位であると公表し、現在の計画に至っています。

山梨県駅は、在来線と直接接続しないリニア単独駅として整備される予定です。そのため、甲府市中心部とのアクセス手段として、荒川堤防などを活用したBRT(バス高速輸送システム)による接続が提案されています。
一方で、JR身延線小井川駅とのシャトルバス構想も示されていますが、運行本数や駅機能の課題から慎重な意見もあります。これらを踏まえ、中央自動車道甲府中央スマートIC(仮称)や新山梨環状道路と直結することで、自動車交通を含めた広域的な交通結節点を形成することが、山梨県駅の大きな特徴となっています。

甲府市は2025年に「リニア山梨県駅前エリアのまちづくりについて」を公表し、駅前約24.5haを対象とした整備方針を示しました。北側にはスマートIC、パークアンドライド駐車場、北側交通広場を配置し、南側にはアイメッセ山梨に隣接した官民連携ゾーンと南側交通広場を整備する計画です。
このエリアでは、産業・生活・観光が融合する複合的な土地利用を進めるとともに、浸水対策やグリーンインフラの導入など、防災・環境面にも配慮した基盤整備を行い、高質で象徴性のある都市空間の形成を目指しています。


樋口甲府市長は、リニア新時代に向けたまちづくりのキーワードとして、「幸福」と「甲府らしさ」を掛け合わせた「こうふく」を提示しました。その実現に向け、駅前エリアの将来像として3つのシナリオが示されています。
1つ目は、広場や緑地を重視し、人々が集い憩う空間を中心としたシナリオです。2つ目は、研究開発施設や産業支援機能、高層複合施設などを集積する産業振興型のシナリオです。3つ目は、移住者や就労者も滞在しやすい住宅や生活機能を備えた、新たな暮らし方を提案するシナリオです。

さらに深澤直人氏からは、リニア駅前に「こうふくの森」を育て、緑を起点として甲府盆地全体へこうふくを波及させていく構想が示されており、今後は市民参加型のミーティングやコンセプトブック策定を通じて、構想の具体化が進められる予定です。
最終更新日:2025年12月25日

