東武東上線「朝霞台」駅とJR武蔵野線「北朝霞」駅が近接する朝霞市の北朝霞・朝霞台地区では、官民連携によるまちづくりが進められています。朝霞市は2025年4月に「北朝霞・朝霞台デザインラボ」などの活動を発展させたエリアプラットフォームを構築し、公共空間の活用や未来ビジョンの実現に向けた取り組みを推進しています。
また、東武鉄道との協定では、朝霞台駅の再整備や駅前広場など周辺環境の整備に加え、駅ビルへの公共施設機能の導入についても検討事項として位置付けられています。今後は駅ビル整備を核としながら、駅前広場、道路、公園、黒目川などを一体的につなぎ、「乗り換えで通過するまち」から「立ち寄り、滞在し、人と人が出会うまち」への転換が期待されています。
北朝霞・朝霞台地区における官民連携まちなか再生推進事業/朝霞台駅駅ビル整備の概要
1.朝霞台駅で進む駅ビル整備計画
東武東上線朝霞台駅では、駅再整備とともに駅ビル整備に向けた計画推進
現時点では規模・用途・階数・開業時期などの詳細は未公表の状況
2.駅前広場や周辺環境を含む一体的な再整備
朝霞市と東武鉄道が駅前広場や周辺環境、駅・駅周辺に必要な機能を共同検討
駅ビルへの公共施設機能導入や公共空間の利活用などを含めた総合的なまちづくり
3.「通過するまち」から「触れる喜びのある日常」へ
北朝霞・朝霞台地区の未来ビジョン「re crossing(リ・クロッシング)」の実現
乗り換え中心の「スルー」から、人・モノ・コトとの出会いが生まれる「タッチ」への転換
4.駅を中心としたウォーカブルなまちづくり
駅前広場や道路、公園、公開空地などを活用した歩きたくなる歩行者空間の形成
駅を起点に南・北・西エリアへ人の回遊と滞在を広げる小さな公共空間の創出
5.人・モノ・コトが交差する駅前広場
東西南北の駅前空間を人中心の広場へ転換し、マルシェや飲食、交流など多様な活動を展開
鉄道の乗り換えだけでなく、地域の文化や歴史に触れられるまちの結節点としての再編
6.黒目川や公園までつながるまちの回遊性
駅前だけでなく、街路、公園、緑地、黒目川など地区内の公共空間を連続的につなぐ取り組み
歩行や寄り道を通じて自然や地域の店舗、人々と出会える回遊ネットワークの形成
7.2040年を見据えた官民連携によるまちづくり
エリアプラットフォームやデザインラボを活用し、社会実験やイベントから日常的な活動へ発展
駅ビル整備を含む駅再整備と公共空間の活用を通じた「歩いて、過ごして、出会えるまち」の実現

北朝霞・朝霞台地区には、東武東上線とJR武蔵野線という2路線の鉄道をはじめ、3か所の駅前ロータリー、道路、公園など、多様な人や交通が交差する高いポテンシャルを持った公共空間があります。一方で、多くの駅利用者にとっては乗り換えを目的に通過するだけの「スルー」のまちとなっており、駅周辺に滞在したり、地域と関わったりする機会が十分ではないことが課題となっています。
そこで未来ビジョンでは、単に通過するだけではなく、人がまちのヒト・モノ・コトに触れる「タッチ」へと転換することを目指しています。その象徴となる考え方が「re crossing(リ・クロッシング)」で、暮らす・働く・訪れるといった日常の行動が交差し、そこから新たな出会いや関係性が生まれるまちを描いています。公共空間を「出会いの場」として活用し、偶然の出会いや新たな発見を生み出すことで、地域への関心や愛着を育てていく考え方です。

将来像の実現に向けては、道路や公園、公開空地など地区内に存在するさまざまな公共空間を活用し、歩行者が自然に歩き、寄り道し、立ち止まって滞在できるウォーカブルなまちを段階的につくり出すことが重要となります。目的地へ直線的に移動するだけではなく、公共空間の豊かさや沿道の活動に引き寄せられて寄り道が生まれ、やがて公共空間そのものが目的地や居場所となることを目指しています。

具体的には、ストレスなく歩くことのできる主要な歩行者動線を確保するとともに、東武東上線とJR武蔵野線が交差する高架下ゲートや自由通路など、異なる領域をつなぐ空間を積極的に活用。さらに駅周辺を起点として南・北・西地区へ歩行空間を広げ、小さくても魅力的な公共空間が地区内に点在し、それらを歩いて巡ることができるまちなかの形成を目指しているものとされています。

未来ビジョンでは、地区内の公共空間を5つのタイプに分類し、それぞれの特性を生かした「望ましいシーン」を描いています。街路では買い物や交流を楽しめる人優先の道、幹線道路では人と車が安全に共存するメインストリート、公園では子どもから大人まで多様な活動ができる居場所、黒目川周辺では豊かな自然と人々の活動が交差するふるさとの風景を目指す計画です。

なかでも駅前広場は、「ヒト・モノ・コトの交差する結節的空間」として重要な位置付けとなっています。交通機能を整理することで広場として利用できる空間を生み出し、飲食店などの収益施設の展開に加えて、マルシェ、路上ライブなどさまざまな活動を受け入れることを想定。北朝霞駅西口ロータリーで実施された実証実験なども踏まえながら、駅前空間を単なる乗降・乗り換えの場所から、人が集まり、過ごし、交流できる人中心の広場へと転換していく方向性が示されています。

朝霞台駅では東武鉄道による駅再整備の検討が進められており、朝霞市との「朝霞台駅再整備に伴う朝霞台駅周辺エリアにおけるまちづくりに関する協定」では、駅そのものの再整備だけでなく、駅前広場など周辺環境の整備、駅・駅周辺に必要な機能や配置、さらに想定される駅ビルへの公共施設としての機能導入についても連携・協力して検討することが盛り込まれています。これにより、駅施設と周辺の公共施設・公共空間を別々に整備するのではなく、駅を中心とした一体的なまちづくりへ発展する可能性があります。

現時点では駅ビルの具体的な規模・用途・完成時期などは明らかにされていませんが、東武鉄道の2024~2027年度中期経営計画では「沿線開発(まちづくり)の実現に向けた計画推進」が掲げられ、「人流の創出を図る沿線中核拠点開発」も重点的な取り組みの一つとされています。朝霞台駅の再整備についても、駅単体の更新にとどまらず、駅前広場や周辺施設と一体となった開発へ発展することが期待されます。駅ビルにどのような商業・サービス・公共機能が導入されるのか、今後の具体化が大きなポイントとなりそうです。

未来ビジョンでは2040年を見据え、行政と民間が連携して公共空間を生み出し、活用し、運営していく段階的なまちづくりが描かれています。社会実験やイベントから始まり、日常的な活動へと発展させながら、小さな公共空間を地区内に増やし、それぞれの空間と人・活動をつないでいく考え方です。最終的には、行政による初期的な支援から、中間組織や利活用団体による自立した運営へ移行することも想定されています。
朝霞台駅の駅ビル整備についても、こうした大きなまちづくりの流れの中で捉えることができます。駅を単なる交通結節点ではなく、公共施設や商業機能、人々の交流が生まれる「まちの結節点」として再構築できれば、北朝霞駅・朝霞台駅周辺から公園、道路、黒目川へと人の回遊を広げるきっかけとなります。「乗り換えるだけのまち」から「歩いて、過ごして、出会えるまち」へ2040年を見据えた北朝霞・朝霞台地区の変化に注目が集まっています。
出典
・朝霞市 北朝霞・朝霞台地区における官民連携まちなか再生推進事業
・東武鉄道株式会社 「東武グループ中期経営計画2024~2027」の策定について
最終更新日:2026年9月14日