名古屋駅西側駅前広場(名古屋駅太閤通口 駅前広場)では、リニア中央新幹線の開業やアジア・アジアパラ競技大会を見据えた再整備が進められています。名古屋市は2024年2月に「名古屋駅西側駅前広場 整備計画」を策定し、屋根、植栽、舗装、ファニチャー、照明、サインなどの具体的な整備内容を取りまとめています。整備では、駅とまちをつなぐ歩行者動線を確保するとともに、市民や来訪者が憩い、交流できる3つの広場を新設し、名古屋駅西口の新たな顔となる空間を形成するものとしています。
2026年8月時点では、駅前広場内に整備される「名古屋駅観光案内所(太閤通口)」の建物が竣工しており、2026年9月12日の供用開始に向けた準備が進められています。周辺ではタクシー乗り場付近などで駅前広場の整備工事も進行しているほか、観光案内所の隣には「常設型金鯱水」も設置される予定で、駅西口の観光案内・情報発信機能も強化されます。将来的には高速バス・観光バスなどの交通結節機能の立体的な配置や、駅前広場と建築物との一体的な空間活用なども検討されており、スーパーターミナル駅にふさわしい「重層的な拠点形成」へ発展させる構想となっています。
名古屋駅西側駅前広場整備の概要
1.名古屋駅西側駅前広場の再整備
リニア中央新幹線の開業やアジア・アジアパラ競技大会を見据えた駅前空間の再整備
交通機能の強化と歩行者空間の充実による名古屋駅西口の新たな玄関口形成
2.「クラウド広場」をコンセプトにした空間形成
「関係性を紡ぐリニアフロンティア」をテーマとした自然と近未来が融合する広場空間
雲をイメージしたクラウド屋根や植栽などによる象徴的な駅前景観の創出
3.3つの広場による多様な滞留空間
「広場1・広場2・広場3」の3つの広場を整備し、待ち合わせや休憩、交流などに対応
段状ファニチャーやイベント利用にも対応した、駅とまちをつなぐ歩行者空間の形成
4.高質な舗装・植栽・照明などの整備
御影石や愛知県産レンガ、既存樹木を活用した植栽などによる風格と親しみを備えた空間
調光・調色照明や保水性舗装、雨庭、ミスト設備などによる快適性・環境性能の向上
5.名古屋駅観光案内所(太閤通口)の新設
2026年9月12日の供用開始に向けた、名古屋城や伝統文化を発信する新たな観光案内拠点
2026年8月時点で建物が竣工し、周辺ではタクシー乗り場付近を含む駅前広場整備工事が進行中
6.常設型金鯱水と観光・情報発信機能の強化
観光案内所に隣接して整備される水道水直結の冷水機「常設型金鯱水」
タッチパネルディスプレイや展示などを活用した来訪者への観光情報・名古屋文化の発信
7.将来的な重層的ターミナル拠点への発展
駅前広場の地下・上空空間を活用した高速バス・観光バスなどの交通結節機能の高度化
駅・広場・周辺市街地を一体化し、リニア時代のスーパーターミナルを形成する将来構想

名古屋駅西側駅前広場の再整備は、リニア中央新幹線の開業を契機として、スーパーターミナル駅にふさわしい高い機能性を備えた駅前空間を形成するとともに、世界から訪れる人々を迎える名古屋の新たな顔をつくることを目的としています。西側エリアでは、交通機能の高度化だけでなく、将来的な周辺まちづくりと連携した重層的な拠点形成も目指されています。
一方で、地下や上空を含めた重層的な拠点形成には相当な期間を要すると想定されているため、まずは平面レベルでの整備を先行。アジア・アジアパラ競技大会の開催時やリニア中央新幹線開業時に、国内外から訪れる来訪者を温かく迎え入れるため、必要な交通機能の確保と快適な歩行者空間の形成を進めるものとしています。
名古屋市は2022年12月に「名古屋駅西側駅前広場デザイン計画」を策定し、広場の基本的なデザイン方針を示しました。その後、屋根や植栽、舗装、ファニチャーなどについて詳細な検討を進め、2024年2月に「名古屋駅西側駅前広場 整備計画」として具体的な整備内容を取りまとめています。


西側駅前広場のデザインコンセプトは、「関係性を紡ぐリニアフロンティア ~自然を感じ 近未来を想像し 多彩な活動に触れるクラウド広場~」です。駅とまち、来訪者と市民をつなぐ象徴的な景観を創出し、名古屋駅西口を訪れた人が自然を感じながら、近未来的な雰囲気を体験できる広場を目指したものとなります。
特徴となるのが、雲をイメージした曲面形状の白色系「クラウド屋根」です。角のない柔らかな形状とすることで、軽やかで清潔感のある印象を与えるとともに、乗り換え動線や滞留空間における雨よけ・日よけとしても機能します。屋根の素材には、必要な強度を確保しながら自由度の高い造形を可能とするFRP(繊維強化プラスチック)が採用されます。
植栽についても、既存樹木を活かしながらカツラなどを新たに植樹し、低木・地被には名古屋の在来種や四季を感じられる植物を採用。さらに、アジア・アジアパラ競技大会を見据え、アジアの国々にちなんだ植物も取り入れる計画となっています。


駅前広場には、利用目的や滞在時間などに応じて性格の異なる「広場1」「広場2」「広場3」の3つの広場を新設します。広場1は約210㎡、広場2は約150㎡、広場3は約230㎡とされ、それぞれ異なる利用シーンを想定した空間構成となっています。
駅に近い広場では、待ち合わせや短時間の休憩などに利用しやすい空間を形成するとともに、広場2では段状タイプのファニチャーを設置。段状ファニチャーは座る場所としてだけでなく、ステージとしても活用できるタイプとなっており、イベントや交流など多様な活動への対応が期待されます。
また、駅とまちを見通すことができる2本の軸を確保し、駅前から周辺市街地へ向かう歩行者の流れを意識した計画としています。交通機能だけを重視した従来型の駅前広場ではなく、歩く、休む、待つ、交流するといったさまざまな行動が生まれる空間として整備されます。


駅前広場の舗装には、流動域と滞留域で異なる素材が採用されます。人が歩く流動域には、リニアの玄関口にふさわしい風格と高質感を演出する御影石を使用し、人が滞在するエリアには親しみやすい愛知県産のレンガを採用します。広場1では保水レンガも用いる計画です。
ファニチャーは、一人掛けタイプ、並んで座るタイプ、段状タイプの3種類を配置。屋根や植栽に囲まれた場所、壁面や植栽帯を背にする場所など、それぞれの特徴に合わせて配置することで、利用者が自由に過ごせる滞留空間をつくります。
照明については、歩行動線を明るく照らして安全性を確保する一方、滞留空間では間接光によって落ち着いた雰囲気を演出。さらに、屋根の照明には調光・調色機能を取り入れ、夜間の広場を印象的に演出します。保水性舗装や雨庭などのグリーンインフラ、ミスト設備も導入され、環境への配慮と夏季の快適性向上を図る計画です。


名古屋駅西側駅前広場では、新たな「名古屋駅観光案内所(太閤通口)」の整備も進められています。名古屋市によると、供用開始は2026年9月12日(土)の午前10時頃を予定しており、新幹線口を出てすぐの太閤通口側、名古屋駅西側駅前広場内に位置します。
施設のコンセプトは「名古屋らしさとおもてなしを、スマートに届ける名古屋観光の新たな玄関口」。名古屋城の金鯱や本丸御殿をイメージした内装を採用し、名古屋の見どころや伝統工芸品を紹介する写真パネル、伝統工芸品の実物展示などを行います。さらに、名古屋市の観光案内所として初めてタッチパネルディスプレイを導入し、観光スポット、イベント、交通などの情報が提供されます。
2026年8月時点の現地では、観光案内所の建物がすでに竣工している状況となっています。一方、ロータリーのタクシー乗り場付近では一部が仮囲いで覆われ、駅前広場の整備工事が進行中です。仮囲いには「歩行者空間を整備しています」と記された案内が掲示されており、広場全体の再整備が進んでいることが確認できます。また、観光案内所に隣接して、水道水直結の冷水機「常設型金鯱水」も整備されます。観光案内所と合わせて、名古屋駅西口を訪れる来訪者への案内・情報発信・おもてなし機能を強化する施設となります。


今回の駅前広場再整備は、現在進められている平面レベルの整備だけで完結するものではありません。リニア中央新幹線の開業後には、できる限り早期に駅前広場の地下や上空なども活用し、高速バス・観光バス乗降場を含む交通結節機能を立体的に配置することが検討されています。さらに、駅前広場と周辺建築物との一体的な空間活用、地下空間などを活用した新たな交通機能、駅・広場・まちをつなぐ緑の回遊空間の形成なども検討。総合案内、文化発信、産業・ビジネス交流、オフィスなど、ターミナル駅にふさわしい新たな都市機能の導入も想定されています。
広場には、災害時の情報発信機能としてデジタルサイネージを活用するほか、一時的に滞留する来訪者が使用できる給電機能も導入予定。プロジェクションマッピングや観光資源の情報発信、事業PRなどにも対応できる機能を備え、多目的な駅前空間としての活用を図ります。

将来的には、名古屋駅西側駅前広場を中心として、駅・広場・周辺市街地が一体となった回遊性の高い都市空間へ発展させることが目指されています。名古屋駅西側では、まず観光案内所の開設や歩行者空間の整備が進み、その先には地下・上空を含めた交通結節機能や新たな都市機能が加わることで、リニア時代の「スーパーターミナル駅」にふさわしい新たな玄関口へと変貌していくことが期待されます。
過去の記事→2025年11月12日投稿 リニア中央新幹線開業に合わせて名古屋駅西口に整備される広場「名古屋駅西側駅前広場」!!雲のような形状のクラウド屋根の連続が印象的な空間に!!
出典
・名古屋市 名古屋駅西側駅前広場 整備計画
・名古屋市 名古屋駅西側駅前広場デザイン計画
・名古屋市 名古屋駅観光案内所(太閤通口)の開設及び常設型金鯱水(きんこすい)の供用開始等について
最終更新日:2026年9月4日