西九州新幹線は、2022年9月23日に武雄温泉駅~長崎駅間(約69.6km) がフル規格新幹線として開業しました。一方、新鳥栖駅~武雄温泉駅間は整備方式が決まらず、現在も武雄温泉駅で在来線特急「リレーかもめ」との対面乗り換えが必要な暫定運行となっています。
2026年7月、国土交通省と佐賀県は「九州新幹線西九州ルートの在り方に関する二者合意」を公表しました。環境影響評価に向けた事前調査の実施に加え、佐賀県の財政負担への特別配慮や在来線の利便性維持、地域振興策を一体的に進めることで合意しており、長年停滞してきた新鳥栖駅~武雄温泉駅間の議論が大きく前進する転機として注目されています。
西九州新幹線延伸の概要
1.二者合意の締結
国土交通省と佐賀県が西九州新幹線の在り方に関する二者合意を締結。 停滞していた新鳥栖~武雄温泉間の議論が前進する大きな転機。
2.環境影響評価の始動
2026年度末までに事前調査を完了し、2027年度から環境影響評価を実施。 特定ルートを前提とせず、技術検証を踏まえた中立的な調査。
3.佐賀県への特別配慮
地方負担に上限設定などの特別措置を講じる方針を明記。 長崎県との共同負担や交付税措置を含めた新たな財政スキーム。
4.在来線の利便性維持
長崎本線・佐世保線の特急・普通列車の運行本数を開業前水準で確保。 並行在来線の経営分離を行わず、現行の経営形態を維持する方針。
5.地域振興策との一体整備
佐賀空港や有明海沿岸道路、佐賀唐津道路などの整備を推進。 ICカード導入や佐賀市南北アクセス強化を含めた広域交通基盤の充実。
6.全線フル規格による整備効果
長崎~博多間約51分、新大阪へ約3時間15分の直通運転を実現。 乗換解消と中国・関西圏との交流人口拡大、インバウンド需要の取り込み。
7.事業化への今後の流れ
今回の合意は着工決定ではなく、将来の新たな合意を前提とした枠組み。 環境影響評価約3年と工事約12年を経て実現を目指す長期プロジェクト。

国土交通省と佐賀県は、2026年7月に「九州新幹線西九州ルートの在り方に関する二者合意」を締結しました。速達性や広域交流などフル規格新幹線のメリットを共有する一方で、佐賀県が懸念してきた財政負担や在来線の利便性低下といった課題についても、双方が正式に認識を共有したことが最大の特徴です。
また、フリーゲージトレイン(FGT)の技術的断念について、国が特殊事情と責任を認識したうえで、今後の議論を前に進める姿勢を明確化しました。これまで平行線をたどっていた整備協議が、具体的な検討段階へ移行する重要な合意となっています。

合意では、新鳥栖駅~武雄温泉駅間を対象とした環境影響評価の事前調査を2026年度末までに完了し、2027年度から本格的な環境影響評価へ着手する方針が示されました。
事前調査は鉄道・運輸機構と国土交通省が実施し、佐賀県を含む技術検討会による検証を経て進められます。なお、現時点では特定のルートを前提とせず、複数の可能性を比較・検討する中立的な調査として実施される予定です。


国土交通省は、通常の整備新幹線とは異なる「特別の配慮」を行うことでも合意しました。最大の焦点となる佐賀県の地方負担については一定の上限を設ける方向で検討し、佐賀県区間の費用は長崎県と佐賀県が受益に応じて共同負担する考え方が示されています。
さらに、佐賀駅経由ルートとなった場合には、長崎本線・佐世保線の特急・普通列車ともに開業前の運行本数を確保することを念頭に、JR九州との合意形成を国が支援するものとしています。並行在来線の経営分離を行わず、現行の経営形態を維持する方針も盛り込まれています。

長崎県は全線フル規格が実現した場合、全国の新幹線ネットワークへ接続し、九州・中国・関西との交流拡大が期待できるとしています。試算では、長崎~博多間は現在の約1時間20分から約51分となり、新大阪へは約3時間15分で直通運転が可能になる見込みです。
武雄温泉駅での対面乗り換えも解消され、乗換不要の移動が実現します。さらに広島へは約1時間54分となり、福岡都市圏だけでなく中国圏・関西圏とのビジネスや観光交流、インバウンド需要の取り込みなど、広域経済圏との結び付き強化が期待されています。

今回の二者合意は、延伸工事そのものを決定するものではありません。佐賀県が将来的にフル規格整備へ合意する場合は、財政負担やルート決定などを具体化した「新たな合意」を改めて締結することが前提とされています。
環境影響評価には約3年、国の試算では工事期間は約12年とされており、労働規制の強化などを踏まえるとさらに長期化する可能性もあります。それでも今回の合意により、停滞していた新鳥栖駅~武雄温泉駅間の議論は大きく前進し、西九州新幹線の全線フル規格実現へ向けた新たなスタートラインに立ったといえます。
出典:国土交通省/佐賀県 九州新幹線西九州ルートの在り方に関する二者合意
最終更新日:2026年9月27日