ソニーセミコンダクタソリューションズとTSMCは、次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けた基本合意書を締結しました。両社は、ソニーが過半数を保有する合弁会社(JV)の設立を検討しており、熊本県合志市で建設が進むソニーの新工場を活用した開発・生産体制の構築を目指すものとしています。
ソニーのイメージセンサー設計技術と、TSMCの先端製造プロセスを組み合わせることで、スマートフォン向けだけでなく、車載やロボティクスなど「フィジカルAI」分野への展開も視野に入れています。一方、熊本県合志市では大規模な新工場建設が進んでおり、2026年5月時点で工場建屋はすでに竣工済みです。日本政府も経済産業省が最大600億円を支援しており、日本半導体産業の重要拠点として注目されています。
SCK新工場建設とTSMCとの戦略提携の概要
1.ソニーとTSMCが戦略提携へ
ソニーセミコンダクタソリューションズとTSMCが、次世代イメージセンサーの開発・製造に向けた基本合意書を締結。
ソニーの設計力とTSMCの先端プロセス技術を融合する大型戦略提携の始動。
2.熊本県合志市で合弁事業を検討
両社はソニーが過半数を保有する合弁会社(JV)の設立を視野に、熊本県合志市の新工場活用を検討。
次世代イメージセンサーの研究開発・量産体制構築に向けた協議の本格化。
3.フィジカルAI分野への展開
提携ではスマートフォン向けだけでなく、車載・ロボティクス分野での協業拡大も視野。
AIが現実空間を認識する時代を支えるセンシング技術強化への取り組み。
4.合志市で進む大規模新工場建設
ソニーは熊本県合志市で約37万㎡規模へ拡張した用地にイメージセンサー新工場を建設。
将来的な需要拡大を見据えた数千億円規模の大型設備投資計画。
5.2026年時点で建屋は竣工済み
新工場は2024年春に着工し、2026年5月時点で主要建屋が竣工済み。
一方で完成予想図に含まれていた一部建物は未着工となる段階的整備計画。
6.政府支援を受ける国家的重要プロジェクト
経済産業省は、合志市新工場で計画される最先端イメージセンサー生産に最大600億円を助成。
経済安全保障や国内半導体供給網強化を担う国家戦略プロジェクトとしての位置付け。
7.世界シェア拡大を目指すソニー
ソニーはイメージセンサー市場でCY25に世界シェア60%を目指す成長戦略を推進。
熊本新工場とTSMC連携を軸にした次世代半導体競争力強化への期待。

ソニーセミコンダクタソリューションズとTSMCは、次世代イメージセンサーの開発・製造に向けた戦略的提携を発表しました。両社は長年協業してきましたが、今回はさらに踏み込んだ連携となります。
提携では、ソニーが過半数株式を保有するJV設立を検討しており、熊本県合志市の新工場に開発・生産ラインを整備する方向です。ソニーのイメージセンサー技術と、TSMCの先端半導体製造技術を融合し、次世代センシング技術の強化を図ります。また、スマートフォン用途に加え、自動運転やロボティクスなど「フィジカルAI」分野への活用も見据えています。

ソニーグループは2023年、熊本県合志市で約27万㎡の土地を取得し、新たなイメージセンサー工場を建設すると正式発表しました。その後、2024年2月には約10万㎡を追加取得し、総敷地面積は約37万㎡へ拡大しています。
立地は、既存の熊本工場がある熊本県菊陽町から西側約1.5km付近で、TSMCの子会社JASMの工場にも近接しています。すでに周辺一帯は「九州シリコンアイランド復活」の象徴とも言える半導体集積エリアへ変貌しつつあります。

2024年4月には新工場が着工し、2025年度下期には建屋完成予定とされていましたが、2026年5月時点では建屋はすでに竣工済みとなっています。一方で、完成予想図で示されていた手前側の建物1棟については未着工であり、現在も敷地全体は仮囲いで囲われています。施工は大成建設が担当しています。
ソニーは将来の需要動向を慎重に見極めながら、生産ラインへの本格投資を段階的に進める方針です。


ソニーは、イメージセンサー市場がFY23~FY30で年平均約9%成長すると予測しています。スマートフォンでは動画性能向上に伴い、高感度化や高速読み出し性能が重要になっています。さらに車載分野では、自動運転の進化によってカメラ搭載数が増加し、市場拡大が期待されています。こうした需要を背景に、ソニーはFY24~26の3年間で約9,300億円規模の設備投資を計画しています。


経済産業省は、2026年4月17日に合志市の新工場で計画される最先端イメージセンサー生産に対し、最大600億円を支援すると発表しました。新工場では2029年5月から供給開始を予定しており、月産1万枚(300mmウエハー換算)の生産を目指します。投資総額は約1800億円です。
AI、自動運転、ロボット分野の拡大に伴い、イメージセンサーは経済安全保障上も重要性を増しています。TSMCとの提携は、日本国内の先端半導体供給網強化にもつながります。

今回の提携と熊本新工場は、単なる半導体増産計画ではなく、「フィジカルAI」時代を支える中核拠点形成という意味合いを持っています。AIはこれまでクラウド上のデータ処理が中心でしたが、今後はロボットや自動運転車、産業機械など、現実空間で動作するAIの普及が進むとみられています。その際に重要になるのが、「見る」「認識する」能力を担う高性能イメージセンサーです。
ソニーは、イメージセンサーの世界シェアをCY25に60%へ引き上げる目標を掲げています。 また、車載イメージセンサーでもFY26に43%シェアを目指しています。
TSMCとの連携によって、先端ロジックとイメージセンサーを高度に融合した新世代デバイス開発が進めば、日本発の半導体技術競争力強化にもつながる可能性があります。熊本・合志市の新工場は、その象徴的な存在として、今後さらに注目を集めそうです。
出典
・ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 ソニーセミコンダクタソリューションズとTSMC、次世代イメージセンサーに関する戦略的提携に向けた基本合意書を締結
・ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 イメージング&センシング・ソリューション分野
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最終更新日:2026年5月8日