千葉県船橋市の海老川上流地区では、東葉高速線の新駅設置と船橋市立医療センターの移転建て替えを核とした大規模なまちづくり「海老川上流地区土地区画整理事業」が進められています。船橋市の中心市街地に近接する海老川沿いの約42.3haを対象に、医療・健康・福祉機能と住宅、商業、公共施設などが集積する新たな都市拠点の形成を目指すものです。
地区内には、東葉高速線の新駅(仮称)海老川新駅を中心とした駅前市街地を形成するほか、北側には船橋市立医療センターの新病院を配置し、医療関連施設や健康づくりの拠点が整備されます。また、道路や公園、河川、調整池などの都市基盤を一体的に整備し、交通利便性と防災性、自然環境との調和を兼ね備えた新たなまちづくりが進められています。
海老川上流地区土地区画整理事業の概要
1.医療・健康を核とした新都市拠点の形成
船橋市立医療センターの移転建て替えと東葉高速線新駅整備を一体的に推進する約42.3haの土地区画整理事業
「ふなばしメディカルタウン構想」に基づく医療・福祉・健康機能を備えた新たな都市拠点の形成
2.医療・健康関連施設の集積
地区北西部に船橋市立医療センターの新病院を配置し、医療・健康関連施設の立地を誘導
医療・福祉機能の充実と日常的な健康づくりを支えるメディカルタウンの実現
3.東葉高速線の新駅整備
東海神駅と飯山満駅の間に仮称・海老川新駅を設置し、2028年度末の開業を目指す計画
駅前広場やアクセス道路、商業・業務施設、中高層住宅の整備による交通結節点の形成
4.計画的な土地利用と住宅地整備
新駅周辺に商業・業務機能や中高層住宅、北側に医療関連施設、周辺部に低層住宅地を配置
沿道サービス施設や複合施設、公園などを組み合わせた利便性と住環境が調和する市街地の形成
5.道路・公園・都市基盤の整備
幹線道路や区画道路、歩行者専用道路、上下水道などの整備による安全で利便性の高い都市基盤の構築
地区内7カ所の公園や河川・水路を活用した緑豊かな歩行空間と憩いの場の創出
6.治水対策・防災機能の強化
地区内6カ所の調整池や雨水排水施設の整備による雨水流出抑制と浸水被害の軽減
河川整備との連携や盛土・地盤対策による流域全体の治水安全性と災害対応力の向上
7.段階的な事業推進とまちづくりの完成
2022年3月の組合設立認可、2023年12月の仮換地指定を経て、2033年3月の事業完了を目指す計画
計画人口約3,300人の新市街地と医療・健康・商業・住宅機能が一体となった都市拠点の形成

本事業は、船橋市高根町、東町、米ヶ崎町、飯山満町一丁目、夏見五丁目・七丁目の各一部に位置する約42.3haを対象とした土地区画整理事業です。施行者は船橋市海老川上流地区土地区画整理組合、業務代行者は株式会社フジタで、2022年3月4日に組合設立が認可されました。事業期間は2022年3月4日から2033年3月31日まで、事業費は約212.7億円(2026年3月時点)となっています。
まちづくりの基本方針は、医療・健康をテーマとした「ふなばしメディカルタウン構想」の実現です。船橋市立医療センターの移転建て替えと東葉高速線の新駅整備を一体的に進めることで、医療・福祉機能を中心とした都市拠点を形成するとともに、周辺地域の生活利便性や交流機能の向上を図ります。また、海老川周辺の自然環境との調和や水害対策にも配慮し、住宅地、商業地、医療関連施設、公園などが共存する良好な市街地の形成を目指すものとなっています。

本地区のまちづくりの根幹となるのが、医療や健康をテーマとした「ふなばしメディカルタウン構想」です。高度な医療を提供する船橋市立医療センターを地区の中核に位置付け、医療・福祉機能の充実とともに、日常生活の中で健康維持や疾病予防に取り組める環境の形成を目指しています。
単に病院を移転するだけではなく、医療・健康関連施設の立地誘導や歩行者空間、公園などの整備を通じて、地域全体で健康づくりを支えるまちを形成する計画です。また、医療技術や健康に関する新しい情報を積極的に取り入れ、時代の変化に対応しながら進化し続ける都市拠点を目指しています。


土地利用計画では、地区北西部に船橋市立医療センターの建設予定地を配置し、その周辺には医療・健康関連施設を誘導します。地区の南側に位置する東葉高速線の新駅周辺は、商業・業務機能と中高層住宅を集積させる地区拠点商業ゾーンとして整備し、駅を中心とした利便性の高い市街地を形成します。
また、都市計画道路3・4・25号宮本古和釜町線沿いには、幹線道路の交通量やアクセス性を活かした沿道サービス型店舗などが誘導されます。そのほかの区域には戸建て住宅を中心とした落ち着きのある住宅地を配置し、駅周辺の都市的な土地利用と周辺住宅地の調和を図ります。
土地利用計画図では、北側に医療センター用地と健康医療拠点施設用地、南側に新駅予定地と拠点施設用地が配置されています。新駅周辺から幹線道路沿いにかけて複合施設用地や中高層住宅地を設け、さらに周辺部には低層住宅地を配置する構成です。地区内には公園や調整池、河川、水路なども計画され、都市機能と自然環境、防災機能を組み合わせた土地利用となっています。


地区北西部では、船橋市立医療センターの移転建て替えが計画されています。現病院は1983年に開院し、第三次救急医療やがん医療を主体とする高度な医療を提供する東葛南部保健医療圏の中核病院として機能しています。一方、既存施設の老朽化や診療部門の狭隘化、高度化する医療技術への対応、新興感染症への対応力などが課題となっており、海老川上流地区への移転によって医療提供体制の強化を図ります。

新病院の敷地面積は約44,674㎡で、病院棟は地上7階、塔屋2階、高さ約33.6m、延床面積約53,374㎡となります。鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造の免震構造を採用し、エネルギーセンター棟や医療ガス棟、駐車場棟なども整備します。病院棟のほか、救急ステーションや保育所も計画されており、救急医療から日常的な医療・福祉サービスまでを支える施設構成となっています。
病床数は精神病床の稼働後に500床を想定し、ICUやSCU、緩和ケア病床なども設ける計画です。診療科は32科を予定し、救急医療、がん医療、高度急性期医療を中心に、幅広い診療機能を備えます。なお、2022年度から2023年度にかけて基本設計、2024年度に実施設計が進められましたが、最新の船橋市の案内では新病院の開院時期は未定とされています。


地区南側では、東葉高速線の東海神駅と飯山満駅の間に新駅を設置する計画が進められています。新駅は海老川上流地区の玄関口として、船橋市立医療センターをはじめとする医療関連施設や駅周辺の商業・業務施設、住宅地へのアクセスを担う交通拠点となります。
新駅の整備は東葉高速鉄道株式会社が進めており、総事業費は約71億円、2028年度末の開業を目指しています。駅周辺では駅前広場や道路などの都市基盤整備と連携し、公共交通と徒歩による移動を中心とした利便性の高い市街地形成を図るものとしています。また、駅周辺への商業・業務機能や中高層住宅の誘導により、新駅の利用者だけでなく周辺住民にとっても便利な生活拠点の形成が期待されています。


地区内では、住民や来街者が憩い、交流できるオープンスペースとして7カ所の公園が整備されます。公園面積は地区面積の3%以上を確保する計画で、地区内の配置バランスや誘致距離を考慮しながら配置されます。公園には遊具、ベンチ、植栽、舗装などを整備し、子どもから高齢者まで幅広い世代が利用できる身近な憩いの空間を形成するものとしています。
また、地区内を流れる河川や水路などの水辺環境を活かし、周辺の自然環境との調和を図ります。土地利用計画では、住宅地や医療関連施設、商業施設などの都市機能とともに、公園や河川、緑地を組み合わせた都市空間を形成する構成となっています。
こうした公園や歩行者専用道路の整備は、日常的な散策や健康づくりにも寄与するものであり、医療・健康をテーマとするメディカルタウン構想を都市空間の面から支える役割を担います。


地区内では、周辺の幹線道路と新駅、医療センター、住宅地を結ぶ道路ネットワークを整備します。幹線道路には、地区東側を南北方向に走る主要地方道船橋我孫子線や、地区を東西方向に横断する都市計画道路3・4・25号宮本古和釜町線のほか、都市計画道路3・3・8号古作町前原東2丁目線を位置付けています。
さらに、新駅へのアクセスを担う都市計画道路3・4・40号海老川新駅前線と3・4・41号海老川新駅前広場線を新設し、駅前広場と周辺道路を一体的に整備します。地区内には幹線道路から交通を集約する主要区画道路や、沿道宅地へのアクセスを確保する区画道路を配置するほか、歩行者専用道路も設け、自動車と歩行者の動線を分離します。
また、上水道、都市ガス、電気、通信、雨水排水、汚水排水などのインフラを新設・移設し、地区全域に供給できる基盤を整備します。地区の一部では電線類の地中化も計画されており、良好な街並み景観と安全性の向上を図ります。


海老川上流地区では、雨水排水対策と浸水被害の軽減を重視した基盤整備を進めます。地区内に降った雨水は、道路側溝や道路内の雨水管を通じて集水し、6カ所の調整池に一時的に貯留したうえで、流域ごとに計画的に河川へ放流する仕組みです。これにより、開発による雨水流出量の増加を抑制し、下流河川への負荷を軽減します。

また、造成計画では土地利用や道路、排水計画との整合を図り、大雨時における道路や宅地の浸水を回避・低減できるよう、地区外周の道路や宅地、既存の都市計画道路の高さなどを踏まえて整備されます。盛土による造成では、地盤沈下が予想される箇所に載荷盛土を実施し、あらかじめ沈下を促進させるなど、地盤の安定性にも配慮するものとしています。
さらに、船橋市や千葉県では、海老川下流部の河道掘削や海老川調節池の暫定掘削などを考慮した流域全体の治水シミュレーションも実施しています。土地区画整理事業区域内の排水対策に加え、河川整備との連携によって流域全体の治水安全性向上を目指す計画です。


基盤整備工事は、医療センター予定地や東葉高速線新駅に関係する区域から順次着手し、施工区域を10ブロックに分けて段階的に進めます。造成・盛土、上下水道などのインフラ整備、道路舗装、公園・調整池の整備を行い、良好な市街地の形成が図られます。
新駅整備は2025年2月に準備工事が始まり、同年5月23日に起工式が開催されました。2028年度末の開業を目指すほか、土地区画整理事業は2022年3月の組合設立認可、2023年12月の仮換地指定を経て、2033年3月31日の完了を予定しています。完成後は、新駅周辺の商業・業務・住宅機能と、医療センターを中心とした医療・健康機能が一体となった新たな都市拠点の形成が期待されています。
出典・引用元
・船橋市 海老川上流地区のまちづくりの概要
・船橋市海老川上流地区土地区画整理組合
・船橋市立医療センター 船橋市立医療センターの建て替え
最終更新日:2026年11月2日