相模鉄道本線(鶴ヶ峰駅付近)連続立体交差事業は、神奈川県横浜市旭区の鶴ヶ峰駅付近において、相模鉄道本線の約2.8kmを地下化し、10箇所の踏切を除却する大規模な鉄道立体交差化事業です。事業主体は横浜市で、相模鉄道株式会社と協力して整備を進めています。事業区間には鶴ヶ峰駅周辺の市街地や保土ケ谷バイパス付近などが含まれ、地下トンネルや地下駅の建設を通じて、踏切による交通渋滞の解消、歩行者の安全性向上、災害時の緊急活動の迅速化、鉄道によって分断された地域の一体化を図るものとされています。
事業は2022年6月に都市計画事業の認可を受け、同年11月に着工しました。工事は3つの工区に分けて進められており、2026年度にはシールドマシンによるトンネル掘削の開始が予定されています。2026年秋時点では、シールドマシンの組み立てや防音ハウスの建設、地下駅の掘削に向けた準備などが進められています。事業完了は2033年度を予定しており、鉄道の地下化と鶴ヶ峰駅周辺のまちづくりを通じて、旭区の主要な生活拠点にふさわしい交通環境と市街地環境の形成を目指す計画とされています。
相模鉄道本線(鶴ヶ峰駅付近)連続立体交差事業の概要
1.相模鉄道本線約2.8kmの地下化
横浜市旭区の鶴ヶ峰駅付近を対象とした連続立体交差事業
鉄道の地下化による10箇所の踏切除却と地域の一体化
2.開かずの踏切9箇所の解消
西谷3号踏切と鶴ヶ峰1号~9号踏切を除却する計画
踏切待ちによる交通渋滞の解消と歩行者・自転車の安全性向上
3.地下方式による鉄道立体交差化
高架方式との比較検討を経て採用された地下方式
開削工法とシールド工法を組み合わせた約2.8kmの鉄道地下化
4.新しい鶴ヶ峰駅の建設
駅全長約200m、ホーム最深部は地上から約35mとなる地下駅
駅周辺のアクセス性向上と地下駅整備に向けた大規模掘削工事
5.シールドトンネル工事の進展
重量約1,200tのシールドマシンの組み立てと掘削準備
2026年度の掘削開始に向けた防音ハウス建設や施工設備の整備
6.交通環境の改善と地域の防災性向上
踏切除却による道路交通の円滑化と緊急車両の通行環境改善
鉄道による市街地の分断解消と歩行者の安全性向上
7.鶴ヶ峰駅周辺のまちづくり
地下化による駅周辺の回遊性向上と鉄道跡地の活用検討
2033年度の事業完了を目指した旭区の主要な生活拠点の形成

本事業は、相模鉄道本線の西谷駅~二俣川駅間に位置する鶴ヶ峰駅付近の約2.8kmを対象に、鉄道を地下化する連続立体交差事業です。事業区間内にある10箇所の踏切を除却することで、鉄道と道路の平面交差を解消し、地域の交通環境が改善されます。対象となる踏切は西谷3号踏切と鶴ヶ峰1号踏切~鶴ヶ峰9号踏切で、このうち9箇所はピーク時の1時間当たりの遮断時間が40分以上となる、いわゆる「開かずの踏切」に該当しています。

踏切の除却により、道路交通の円滑化や踏切待ちによる渋滞の解消が期待されるほか、歩行者や自転車の安全性向上にもつながります。また、鉄道によって分断されていた市街地の往来がしやすくなり、駅周辺の回遊性や地域の一体感の向上も期待されています。事業は2016年度から本格的な検討が進められ、2022年1月に都市計画決定、同年6月に事業認可を受け、同年11月に着工しました。


鶴ヶ峰駅付近の連続立体交差化では、高架方式と地下方式を比較検討した結果、地下方式が採用されました。踏切の除却数や周辺のまちづくりへの寄与、地域からの要望、経済性などを総合的に評価したもので、既成市街地における交通環境の改善と地域の一体化を目指しています。工事区間は3つの工区に分かれており、第1工区では西谷駅側から鶴ヶ峰駅方面にかけて擁壁や箱型トンネル、シールドトンネルが整備されます。


第2工区では鶴ヶ峰駅の地下駅建設を進め、第3工区では保土ケ谷バイパス付近を含む区間で擁壁や箱型トンネルなどを整備しています。施工では、地上から掘削する開削工法と、シールドマシンで地中を掘り進めるシールド工法を組み合わせます。地上の道路や市街地への影響を抑えながら地下構造物を構築するとともに、仮受け桁や土留め壁の設置、掘削などを行い、列車の安全な運行と工事の両立を図るものとしています。

鶴ヶ峰駅は、鉄道の地下化に合わせて新たな地下駅として整備されます。新駅は現在の駅ホーム北側から帷子川親水緑道の地下にかけて建設される計画で、駅の全長は約200m、ホームの最深部は地上から約35mの深さとなる予定です。地下に駅施設を整備することで、鉄道と道路の平面交差を解消し、駅周辺の交通環境を改善する計画です。駅の建設に向けては、土留め壁の設置や作業構台の整備などが進められています。

駅全体の掘削土量は約11万㎥と見込まれており、大規模な掘削工事を経て地下駅の躯体を構築していきます。2026年春時点では駅ホーム北側で掘削工事が進められ、同年秋時点では作業構台の組み立てや土留め壁の施工準備などが進められています。駅の出入口や駅施設の配置などについても、北口周辺のまちづくり計画と連携して検討が進められており、駅へのアクセス性や歩行者の回遊性を高める計画です。

西谷駅側の第1工区では、地下トンネルを構築するためのシールド工事に向けた準備が進められています。シールド工法は、大型の掘削機械であるシールドマシンを地中で前進させながらトンネルを構築する工法で、地上の道路や市街地への影響を抑えられることが特徴です。2026年7月時点では、重量約1,200tのシールドマシンの現地組み立てが進められており、最大130tにもなる部品をクレーンで立坑内に搬入し、組み立てや動作確認などが行われているとのことです。

また、工事に伴う騒音を低減するため、施工現場では約2,225㎡、テニスコート約8面分に相当する広さの防音ハウスの建設も進められています。シールドマシンによる掘削は2026年度中の開始が予定されており、その後、トンネルの構築や擁壁・箱型トンネルの整備などを進めます。第3工区では保土ケ谷バイパス付近の鉄道が半地下構造となる計画で、道路の付け替えなども含め、各工区で地下化に向けた工事が進められています。


本事業の大きな目的は、踏切によって発生している慢性的な交通渋滞を解消し、地域の交通環境を改善することです。鶴ヶ峰駅周辺では、踏切の遮断によって自動車や歩行者の通行が妨げられるほか、鉄道による市街地の分断も課題となっています。10箇所の踏切が除却されることで、踏切待ちによる渋滞の解消や緊急車両の通行環境の改善が期待されるとともに、通学路を利用する児童や高齢者など、歩行者の安全性向上にもつながります。

さらに、鉄道によって分断されていた市街地の往来がしやすくなることで、鶴ヶ峰駅を中心とした地域の一体化が期待されています。鶴ヶ峰駅周辺は二俣川駅周辺とともに旭区の主要な生活拠点に位置付けられており、駅北口周辺では地下駅の整備と連携したまちづくりの検討が進められています。地下化によって生まれる鉄道跡地の活用も含め、駅へのアクセス性や歩行者の回遊性を高め、地域の利便性向上を目指します。事業完了は2033年度を予定しており、交通環境の改善、防災性の向上、駅周辺の魅力向上を一体的に進める計画です。
過去の記事→2022年5月17日投稿 (仮称)相模鉄道本線 (鶴ヶ峰駅付近)連続立体交差事業
関連記事→2017年5月5日投稿 鶴ヶ峰駅前 都市景観
出典・引用元
・相模鉄道株式会社 踏切を減らす(連続立体交差事業)
・横浜市 相模鉄道本線(鶴ヶ峰駅付近)連続立体交差事業
最終更新日:2026年10月31日