福岡県福岡市東区の九州大学箱崎キャンパス跡地地区では、2028年度に第1期のまちびらきが予定されており、2036年度までにまちの概成を目指した大規模な再開発事業が進められています。本事業は、約100年にわたり九州大学が立地してきた歴史を受け継ぎつつ、箱崎が有する千年以上の文化的背景と融合した新たな都市拠点を創出するものです。
福岡市、九州大学、UR都市機構、そして住友商事を代表とする民間事業者グループが連携する官・学・民一体のプロジェクトとして、総面積約56ヘクタール(区画整理区域約23.4ヘクタール、南エリア事業企画提案区域約28.5ヘクタール)で「FUKUOKA Smart East」の実現に向けた先導的なまちづくりが展開されます。
→住友商事九州株式会社 九州大学箱崎キャンパス跡地に国内最大級のスマートシティ開発
→福岡市 九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくり
→福岡市 令和7年 福祉都市委員会 第5回定例会 九州大学箱崎キャンパス跡地の事業基本計画(案)の概要について
→福岡市 令和7年 福祉都市委員会 第5回定例会 九州大学箱崎キャンパス跡地の事業基本計画(案)の概要について2
→国立大学法人九州大学 第1回 九州大学箱崎キャンパス跡地地区における事業基本計画書に係る審議委員会
九州大学箱崎キャンパス跡地地区の概要
1.再開発事業の位置づけ
九州大学箱崎キャンパス跡地を活用した官・学・民連携の大規模再開発事業。
2028年度まちびらき、2036年度まち概成を目指す次世代都市拠点の形成。
2.計画理念と将来像
百年にわたる九州大学の知的蓄積と箱崎千年の歴史文化を継承するまちづくり。
イノベーション創出と高質なライフスタイルが共存する都市モデルの構築。
3.FUKUOKA Smart Eastの先導地区
最先端技術とデータ活用による持続可能な都市運営の実証フィールド。
箱崎から市全体、さらに広域展開を見据えたスマートシティ構想。
4.多様な都市機能の集積
業務・研究、交流・にぎわい、生活支援、医療・福祉、教育、居住の複合配置。
イノベーション拠点や食の交流拠点を核とした都市機能の高度化。
5.段階的整備と住宅供給
第1期まちびらきを皮切りとした段階的な施設整備と街区形成。
多世代・多様なライフスタイルに対応する住宅ストックの計画的供給。
6.みどりと歩行者重視の都市空間
歩行者ネットワーク「歩の軸」と広場を中心とした回遊性の高い都市構造。
緑化率約40%、1万本超の樹木による記憶と景観を継承する街並み形成。
7.スマートサービスとまちづくりマネジメント
共通IDとデータ連携基盤による一人ひとりに最適化された都市サービス。
エリアマネジメントとイノベーション支援を担う持続的運営体制の構築。

箱崎キャンパス跡地の活用検討は、2010年に周辺4校区から跡地利用の提案が行われたことから本格化しました。2013年には跡地利用将来ビジョンが提言され、2015年に跡地利用計画が策定されています。
その後、地域代表、学識経験者、経済界などの意見を反映しながら検討が進められ、2018年にはまちづくりの基本方針となるグランドデザインが策定されました。用途地域の見直しや区画整理、公園整備などの都市基盤整備も段階的に実施され、2023年には土地利用事業者の公募が開始されました。
2024年4月には、住友商事株式会社を代表とする企業グループが優先交渉権者に選定され、現在は事業基本計画(案)の具体化と都市計画手続きが進められています。


グランドデザインでは、九州大学が百年にわたり存在した地としてのブランド力や、広大な敷地、JR新駅設置などの交通利便性といった強みを最大限に生かすことが掲げられています。働く人、学ぶ人、住む人、訪れる人が交差し、イノベーションを生み出す新たな拠点の創出が基本理念です。
また、箱崎の歴史や文化を大切にしながら、高質で快適なライフスタイルと都市空間を実現し、未来に誇れるまちを創造していくことが目標とされています。これらを具現化するコンセプトが「FUKUOKA Smart East」であり、箱崎地区での取り組みを先駆けとして、市全体、さらには市域を超えた展開を目指しています。

事業基本計画(案)では、「業務・研究」「交流・にぎわい」「生活支援」「医療・福祉」「教育」「居住」といった多様な都市機能を、平面・立体・複合的につなぐ形で配置する方針が示されています。
業務・研究機能としては、次世代通信技術を活用したIOWN構想研究拠点を核とするイノベーション拠点「BOX FUKUOKA」が整備され、研究機関や企業が集積する知的創造の場が形成されます。
交流・にぎわい機能では、日本最大級の食のエンターテインメント拠点「フクオカサステナブルフードパーク」が計画され、国内外から人を惹きつける新たな交流の核となります。


まちづくりは段階的に進められ、2028年度の第1期まちびらきでは、イノベーション拠点やフードパークなど、まちの中心となる施設が先行して開業する予定です。その後も各種施設の整備が順次進められ、2036年度にはまちの概成が見込まれています。
住宅については、ファミリー向け分譲住宅をはじめ、単身者向け賃貸住宅、学生寮、企業寮、高齢者向け住宅など、多様な住まいが供給される計画です。多世代が共に暮らし、交流できる都市構造が形成されます。特にファミリー向け共同住宅に関しては、2028年度以降、南エリアから年度ごとに約250戸ずつ供給され、最終的には合計2,000戸規模となる見込みです。規模としては、地上5階程度の中層から地上18階、高さ60m程度の高層まで板状の大規模マンションが数十棟規模で建ち並びます。

都市空間の整備では、歩行者動線と広場、みどり空間の確保が重視されています。まちの骨格となる歩行者ネットワーク「歩の軸」を中心に、周辺地域とつながる街角広場や、交流・発信・実証の場となる広場が整備されます。敷地全体では緑化率約40%を目標とし、1万本以上の樹木を確保する計画です。九州大学時代の歴史的資源や既存樹木を生かした景観形成により、記憶を継承する街並みが創出されます。


環境面では、建築物のZEB・ZEH化や再生可能エネルギーの活用、水素利活用などを通じて、カーボンニュートラルの実現を目指します。エネルギーマネジメントにより、電力使用量やCO₂削減効果を可視化し、効率的な運用が図られます。防災面では、防災活動拠点や一時滞在施設、非常用エネルギーの確保などにより、災害時にも地域を支える拠点としての機能を担います。平常時と非常時の両面で安全・安心を支える都市づくりが進められます。


本地区では、共通IDとデータ連携基盤を活用したスマートサービスが導入されます。健康、移動、防災、買物などの分野において、利用者一人ひとりに最適化されたサービスの提供が可能となり、利便性と生活の質が向上します。
また、まちびらきにあわせて設立される「箱崎まちづくりマネジメント組織」が、エリアマネジメント、スマートサービスの運営、イノベーション導入支援を担い、地域と連携しながら持続的なまちの発展を支えていきます。九州大学箱崎キャンパス跡地地区は、福岡市東部の将来像を示す象徴的なプロジェクトとして、今後も高い注目を集めることになりそうです。
最終更新日:2025年12月19日

