松江市中心部の大橋川沿いに位置する白潟地区で、水辺空間と市街地を一体的に再生するまちづくりが進められています。白潟地区は、JR松江駅周辺と松江城周辺を結ぶ動線の中間に位置し、大橋川や宍道湖にも近接する、水の都・松江を象徴するエリアの一つです。一方で、近年は空き家や空き地の増加、商業活動の衰退などによる「空洞化」が課題となっています。
こうした状況を踏まえ、松江市では2013年に「大橋川周辺白潟地区 水辺空間とまちづくりの基本計画」を策定し、大橋川改修を契機として、水辺の公共空間整備と市街地の再生を一体的に進める方針を示しました。その後、2020年には「白潟地区都市再生整備計画」を策定し、現在は2025年度から第2期計画による事業が進められています。関連事業として大橋川改修や都市計画道路「白潟本町天神町線」、街なみ環境整備事業なども進められており、今後、白潟地区の景観や人の流れが大きく変化していくことが期待されます。
大橋川周辺白潟地区 水辺空間まちづくりの概要
1.大橋川改修を契機としたまちづくり
大橋川の河川改修を契機に、治水対策と水辺空間の整備を一体的に推進する白潟地区の再生事業
水辺と市街地をつなぎ、中心市街地の新たな魅力を創出するエリア再生
2.歩きたくなる水辺空間の形成
大橋川沿いに歩行者や自転車が快適に移動できる散策空間を整備する「歩きたくなる水辺」の形成
松江駅や松江大橋、松江城、島根県立美術館などを結ぶ回遊ネットワークの構築
3.水辺と市街地を結ぶ道路整備
都市計画道路「白潟本町天神町線」などの整備を進め、水辺と市街地をつなぐ安全で快適な道路空間の形成
白潟本町通りの社会実験や電線共同溝、雨水渠などを組み合わせた沿道環境の改善
4.歴史的なまちなみの継承
蔵や小路、歴史的建築物など地域固有の資源を生かし、城下町・水運都市としての歴史を感じられる景観の形成
古地図や古絵図なども活用しながら、松江らしいまちなみを次世代へ継承する取り組み
5.空き家・空き店舗を活用した賑わい創出
増加する空き家や空き店舗、蔵、駐車場などを活用し、新たな店舗や交流機能を誘導する中心市街地の再生
オープンカフェやイベント、伝統文化を生かした催しなどによる日常的な賑わいの創出
6.水辺を核とした交流・観光拠点
松江大橋南詰めなどに水辺を楽しみながら休憩・交流できる広場や飲食機能を整備し、商店街への回遊を促す拠点形成
水上交通の発着場や交通機能などを活用し、松江駅や宍道湖、県立美術館などを結ぶ観光・交流ネットワーク
7.「住んでよし、訪れてよし」の白潟地区へ
水辺、道路、歴史的景観、商業、住宅を一体的に整備し、地域住民と来訪者がともに楽しめる市街地の形成
大橋川改修と関連事業を連動させ、かつて水運で栄えた白潟地区に新たな人の流れと賑わいを生み出すまちづくり

白潟地区のまちづくりの大きな契機となっているのが、大橋川の改修です。松江市周辺では過去に大規模な洪水被害が発生しており、特に昭和47年7月豪雨を契機として斐伊川水系の治水対策が進められてきました。大橋川についても河川整備計画に基づいて改修が進められ、白潟地区では川幅を拡げるとともに、堤防や護岸、道路などを再整備する計画となっています。

白潟地区では、単に治水機能を高めるだけではなく、河川改修によって生まれる空間をまちづくりに活用することが重視されています。魚町では「歩きたくなる水辺」をテーマとして、歩行空間の美装化や護岸整備などが計画されており、治水と都市再生を一体的に進める取り組みとなっています。


水辺空間の整備では、大橋川沿いを歩行者や自転車が快適に移動できる連続した散策空間として再生することが目指されています。松江駅から松江大橋、さらに松江城周辺へとつながる「まち歩き回遊コース」として、水辺を歩きながら松江らしい景観や歴史を楽しめる空間を形成していく考えです。
沿川にはベンチや植栽、休憩所などを配置し、水面を活用したイベントにも対応できる広場や護岸の整備も検討されています。松江大橋や新大橋についても、大橋川の南北を結ぶ重要な歩行者動線として位置付けられ、夕日スポットや島根県立美術館、白潟公園などと連続した水辺ネットワークを形成する構想です。白潟本町天神町線などの関連事業とともに、白潟地区の整備区域が位置付けられています。


水辺の魅力を高めるためには、河岸だけでなく、水辺とまちをつなぐ道路空間の再整備も重要となります。計画では、車両と歩行者・自転車の安全な通行を確保しながら、水辺を身近に感じられる道路空間を形成することが目指されています。舗装や道路付帯施設などにも配慮し、車中心ではなく、人が歩きたくなる沿道環境を整備する考えです。

また、都市計画道路「白潟本町天神町線」の整備や街なみ環境整備事業など、複数の関連事業が進められています。白潟本町通りにおける社会実験や電線共同溝工事、雨水渠工事なども示されており、水辺整備と道路・景観整備を組み合わせながら地区全体の環境を改善していく方向性とされています。

白潟地区には、かつての水運によって形成された蔵や小路、歴史的な建物、伝統的な商店などが残されています。新しい水辺空間を整備する一方、こうした地域固有の資源を生かして松江らしい景観を形成することも計画の重要なテーマです。古地図や古絵図を活用しながら、城下町としての歴史を感じられるまちなみを形成することが検討されています。
また、住民が安心して暮らせる「住んでよし」のまちづくりと、観光客や来街者が訪れたくなる「訪れてよし」のまちづくりを両立させることも目標です。空き家や空き店舗、蔵、駐車場などを活用した新たな店舗の誘致、水辺を利用したオープンカフェやイベント、伝統文化を生かした催しなどを通じて、日常的な賑わいを生み出すことが期待されています。

白潟地区では、水辺を単なる散策空間として整備するのではなく、商業や観光、交流を生み出す「賑わいの拠点」として活用することが目指されています。松江大橋南詰めには水辺の拠点空間を整備し、景観を楽しみながら休憩できる飲食・交流機能を誘導することで、白潟本町商店街や天神町商店街への人の流れを生み出す構想です。

さらに、水上交通の発着場やバス停・バスベイなどを整備し、松江駅や県立美術館、宍道湖などとのアクセス性を高めることも検討されています。魚町や和多見町では、水辺を眺められる空間や散策路、イベントなどを組み合わせ、地域住民と来訪者がともに楽しめる場所を形成していく考えです。
2026年8月時点では、既存建築物の解体が進められるなど、現地でも整備に向けた動きが確認されています。今後、大橋川改修、道路整備、水辺空間、歴史的なまちなみ、空き家・空き店舗活用などが連動することで、かつて水運によって栄えた白潟地区に新たな人の流れと賑わいが生まれることが期待されています。
最終更新日:2026年9月28日