岡山市は、スポーツと文化の融合によって地域活性化を目指す新たな多目的屋内施設（アリーナ）の整備に向け、施設の新たなイメージや規模、概算事業費などを発表しました。計画では最大収容人数1万人規模のアリーナを、岡山市北区野田四丁目付近に建設し、2031年の完成を目指しています。このアリーナは、スポーツだけでなくコンサートや展示会など幅広いイベントに対応できる未来型の施設となる予定で、整備費用は約275～280億円。市と経済界、地元トップスポーツチームの連携による官民共創プロジェクトとして進められています。
→岡山市 岡山市多目的屋内施設（アリーナ）整備事業について
→岡山シーガルズ “岡山の未来を創り出すアリーナ”実現に向けた共同声明発表のお知らせ
岡山市多目的屋内施設（アリーナ）整備事業の概要
1．岡山市の新アリーナ構想の目的
岡山市は、スポーツ・文化の融合による地域活性化と将来の都市機能向上を目指し、最大収容1万人の多目的アリーナを2031年までに完成させる計画。スポーツ観戦、コンサート、防災拠点など多用途に対応。
2．トップスポーツクラブの支援とライセンス対応
市内に本拠地を持つ複数のプロクラブ（岡山シーガルズ、トライフープ岡山、岡山リベッツなど）が、リーグ要件に合った施設を必要としており、新アリーナはその支援基盤ともなる。
3．施設の規模と整備計画
北区野田四丁目付近に建設予定で、事業費は約275〜280億円。5,000〜1万人規模で、スポーツ・音楽・展示会など多様な用途に対応。2029年度に着工し、2031年の完成を見込む。
4．官民連携による事業推進
経済界やプロクラブ、市民との“共創”を重視し、寄附・ふるさと納税・国の補助金など多様な財源活用を計画。2026年度に事業者を選定予定。
5．地域経済・都市機能への波及効果
完成後20年間で2,800億円超の経済波及効果が見込まれ、都市間競争や若年層の地元定着など中長期的なまちづくりにも寄与。
6．クラブの期待と市民への訴求
3クラブが共同声明を発表し、地域と連携してアリーナ実現を支援。非日常の演出、国際大会誘致、市民への“夢”の提供を意識した活用を想定。
7．今後のスケジュールと市の姿勢
2025年度に要求水準書作成、2026年度に事業者選定、2029年に着工。市は「誇りと愛着を育む施設」と位置づけ、丁寧な市民説明と着実な計画遂行を目指す。
岡山市は、全国的にも珍しい複数のトップスポーツチーム――岡山シーガルズ（バレーボールSVリーグ）、トライフープ岡山（バスケットボールBリーグ）、岡山リベッツ（卓球Tリーグ）、ファジアーノ岡山（サッカーJリーグ）――を擁する“スポーツ都市”として知られています。しかし近年、各リーグのアリーナに関するライセンス要件が厳格化し、現状の施設ではホーム開催が困難になる恐れが生じています。
このような課題を受け、2021年12月には岡山経済団体連絡協議会と岡山商工会議所が公設民営・独立採算を前提としたアリーナ整備の提言を市に提出。それを受けた岡山市は、2022年度に基礎調査を実施し、既存施設の不足や利便性の高い地域への新設の必要性を確認しました。
その後、2023年度には基本計画の策定を開始し、トップチームが求める5,000席以上を基準に規模の検討が進行。さらに2024年度には、収支面や施設機能を踏まえた追加調査を行い、1万人収容規模が最適との結論に至りました。こうした段階を経て、岡山市は着実にアリーナ構想の具体化を進めています。
新たに建設が予定されているアリーナは、単なる体育館ではなく「観る」「魅せる」ことに特化した多機能施設として設計されます。最大収容人数は1万人。スポーツ利用時は5,000席以上、コンサート開催時には7,000〜8,000席を確保可能で、これまで岡山では実現できなかったスケールのイベント開催が可能になります。
整備予定地は交通利便性の高い岡山市北区野田四丁目周辺。事業費は約275〜280億円と見込まれており、国庫補助金や寄附金、企業版ふるさと納税などを活用した財源確保が進められています。2025年度に要求水準書を作成し、2026年度に事業者選定、2027～2028年度に設計、2029年度に工事着手、そして2031年の完成を予定しています。
また、この施設は北長瀬未来ふれあい総合公園と連携し、災害時の防災拠点としての機能も担うことが期待されています。市内外の交流や若年層への夢の提供といった社会的効果に加え、20年間で2,800億円以上の経済波及効果が見込まれる、大型プロジェクトです。
2025年4月30日に開かれた第5回アリーナ整備検討会議では、岡山シーガルズ、トライフープ岡山、岡山リベッツの3クラブが、「岡山の未来を創り出すアリーナ」の実現に向けた共同声明を発表しました。このアリーナ構想は、単なるスポーツ施設ではなく、文化・経済・防災機能を備えた“未来型アリーナ”として、まちづくりの中核を担う存在になることを目指しています。
各クラブは、ファンや地域企業とのつながりを活かし、アリーナ構想の啓発や寄附制度の活用、広報活動に積極的に取り組む意向を示しており、官民一体でのプロジェクト推進が強調されています。
たとえば、岡山シーガルズは「SV.LEAGUEで戦い続けるには新アリーナが不可欠」と述べ、25年にわたる地域との歩みを踏まえて主体的な関与を宣言。トライフープ岡山は、エンターテインメント性を活かした“非日常”の演出を強調し、アリーナを新たな交流・経済拠点と位置付けています。岡山リベッツは「Tリーグのプレーオフや国際大会の誘致をアリーナで実現する」と語り、世界へとつながる拠点としての可能性を強調しました。
岡山市は、アリーナを「感動を共有し、岡山への誇りと愛着を育む場所」と位置付け、市民、経済界、スポーツクラブと連携しながら整備を進める方針です。令和6年度には市民アンケートも実施され、アリーナに対する市民の期待や関心も高まっていることが確認されています。
今後は、計画の詳細を詰めながら、民間事業者とのパートナーシップ構築、地域住民への丁寧な説明、さらなる財源確保などを通じて、2031年の完成を確実に実現することが求められます。また、このアリーナ整備を契機として、岡山全体の都市格向上、都市間競争への対応、若者世代の定着といった中長期的なまちづくり政策とも連動していく構想です。
スポーツ、文化、経済、防災、そして未来。あらゆる機能が一体となった「夢のアリーナ」は、まさに岡山市の未来を形作る象徴的な施設となることでしょう。
最終更新日：2025年5月3日